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五話、【昔の友達】(流羽ver)
6(正樹ver)
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この前、流羽の連絡先と一緒に番号を交換した『流羽の友人』に…数日後、呼び出された。
「こんにちは」
やけに美形で、長身のすらっとした男。
中性的な整った顔立ちに、切れ長の目元は涼しげで、
…きっと真顔だと冷酷に見えるだろう薄い唇が今は笑みを作り、優しげに微笑んでいた。
顔のせいか、雰囲気のせいか、…服装はシンプルで特別お洒落ってわけでもないのに、何故かその表情や存在感に目が吸い寄せられ、惹かれる。
……一目見ただけで、そういう男なんだとわかった。
「…どうも」
なんとなく負けたような気がして、雑な返しで視線を逸らしてしまう。
けど、それも仕方がない。
(…だって、流羽が、…今まで見たことのないような顔をして…一緒にいた男だから)
「何?どうかした?」
「…いえ」
少しでも俺で勝てそうなところがないか、後は流羽の友人と名乗ったこの男がどういう人間なんだろうと、…無意識に警戒し、チラチラ見ていたら…すぐにばれてしまった。
あの時…休日に会った日同様、一見ふんわりと甘い笑みを浮かべているのに、何を考えているのかまるで読めない。
余計に何か感情が抵抗を覚えて、愛想の良い返事なんかできなかった。
「…えっ、と…正樹、さん…だよね?」
「さん、とかなしで、呼び捨てで良いですよ」
多分そっちの方が年上ッスから。と付け加える。
「じゃあ、お言葉に甘えて。正樹くんは…流羽のこと、好きなの?」
「…っ、」
”さん”から”くん”に変わった。
それだけなのに、何かが大きく変化したような気がする。
まるで催眠術のようなその声音に、「…好き、です、けど」と勝手に言葉が滑り落ちていった。
「…”です”…現在進行形なんだ」
「…っ、な、何が、言いたいんですか。俺が男だから、気持ち悪いとか、って言いたいなら、もうアイツにそういう感じで関わる気もないですから、ただの友達としてこれからは接していくつもりだから…っ」
そうだ。
前連絡先を交換したいって言ったのだって、
昔間違えた選択を、…何度もした後悔を、今度は…ちゃんと正しく、アイツの望んだ友人でいられるように。
やり直したい。
そう、思ったからで、
一気にまくしたてるようにして言い返すと、…その男の表情が微妙に変化した。
「…へぇ、」
「ッ、」
「…そんなに好きなのに、”友達”で満足できるなんて凄いね。君」
嘲るような、感心したような意味合いを込められた言葉に、羞恥でカッと頭に血がのぼる。頬が紅潮する。
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