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魔法少女

咲と未菜1

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 未菜を追いかける咲。

「おい、止まれ」

 そこで1発、空に向けて銃を撃つ。先日の1発がこの状況を招いた一因だという事実は覚えていない事にする。
 少女の肩が跳ね上がり、足を止めた。

「話し合いで決着付けた方がお前らのためだぞ」

 未菜は背中を向けたまま話し出す。

「私のお母さんは、3年前に死にました。自衛隊の船に乗って戦ってました。でも、その船がパンドラの怪物に攻撃されて、お母さんは帰ってきませんでした」

 1呼吸置く。

「悲しむ事しかできなかった私を、舞花ちゃんが誘ってくれたんです。自分の力で、私のお母さんを殺した怪物に復讐できるかもって」

「それで魔法少女なんてものになったのか」

 未菜は頷く。

「私の親も死んだよ。3年前だ。家が潰されて、両親も妹もぺちゃんこだ。私だけが運よく生き残っちまった」
 笑えねーよな。と咲は笑う。

「なら、私たちを止めないでください。私たちは一生懸命に戦っています。危ないのも解ってます。でも、でもお母さんの使命を受け継ぎたいんです」

 咲は一瞬、憂いにも似た表情を作るが、瞬きと共に消す。

「くだらねーんだよ。復讐したいから復讐相手の力を借りる? やっぱりガキはガキだ。何もわかってねー」
 そう言って銃を構える。

「お前は危険だ。殺さなければ良いんだよな」

 もはや無駄、それは未菜も同じだった。

 彼女は息を大きく吸い、

「魔女たちの宴《バンケット・オブ・ウィッチーズ》」

 静かに告げた。

 燃え上がる少女を見つめる咲。

 炎を右手で薙ぎ、現れた少女はすぐさまに叫ぶ。

「来て」

 その声に反応して辺りに白い炎が灯る。

 引き金に指をかけ、その1つに照準を定める。

 揺らぐ炎から、白い人間の様なモノが出て来た。1メートル60センチほどの、線の細いラインを持った顔の無いモノ。顔の無い女性のマネキンが動いているようだった。
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