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魔法少女
食事
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藤十郎と咲が事務所の扉を開けると、竜聖、聡里、つばきの3人は襲撃の準備を始めていた。
「おかえりなさぁい」
咲たちに気付いた聡里が顔を上げる。
「休憩は必要か?」
竜聖の質問に2人は大丈夫だと告げ、用意を始める。
事務所の奥の部屋が倉庫になっているため、咲はその部屋から愛銃であるステアーと【シグSG550】アサルトライフルを取り出した。
日頃からメンテナンスはしているので、軽い動作確認だけで問題ない。
「竜聖、撤退は?」
シグSG550の動作確認をしながら咲が訪ねる。
「ない。今日は総力戦だ。決着を付ける」
竜聖は既に銃の確認を終えているらしく、デスクの端に【グロック17】ハンドガンを、デスクに立て掛けるように【HK416】アサルトライフルに置き、デスク上の大半を使用し、全員の無線のチェックに入っていた。
「アサルトスーツ出しとくねぇ」
聡里は奥の部屋から、黒色のアサルトスーツを抱えて現れた。
戦闘において制服や私服はあり得ない。きちんと運動性の高い服装が必要だ。そのため、全員が揃いのスーツを使用している。
聡里はソファの背にアサルトスーツを掛けると、再び奥の部屋に消えていった。
彼女の使用している銃は【S&W5906】ハンドガンと【FNP90】アサルトライフル。
そして、床に腹ばいになっているつばきは、バイポッドを立てた【レミントンM700】スナイパーライフルの調整をしていた。
皆が戦闘の準備をしている中、1人だけが違う行動をしていた。だが、今の彼らにとって一番重要な事と言えるだろう。
「もうすぐできるからテーブル片付けろ」
部屋の一角にある給湯スペースで卓上コンロを使って、お手軽なパスタを作っていた。
大量に茹で上がったパスタがザルの中で湯気を立てており、コンロの上にはフライパンが熱を発していた。
フライパンにカルボナーラ。
「私ボロネーゼが食いたい」
咲が藤十郎に背中に言うと、次々にリクエストが上がった。
「じゃ私はぁ、オムライスが良いなぁ」
「僕は親子丼の気分かな」
「カレー」
それぞれの我儘を完全に無視し、カルボナーラを作り続ける。藤十郎がカルボナーラを選んだ理由は匂いだった。ボロネーゼやカレーは匂いが強いために却下。オムライスや親子丼は一気に人数分は作れない。カルボナーラならば、匂いもきつくなく一気に作れる。
彼らも理由は当然わかっている。ただ、あわよくば次の食卓に並ぶ料理に、自分の案が採用される可能性を残すためのアピールに過ぎなかった。
「出来たぞ。運んでくれ」
藤十郎のその一声で準備は一時中断し、食事が始まる。
テーブルに並べられた人数分のパスタと、付け合わせのトマトのブルスケッタにんにく抜きが並んだ。
「「「「「いただきます」」」」」
濃厚なチーズと生クリームが口の中を満たす。
それを無言で食べ続ける彼らに対し、藤十郎は文句を言う。
「お前ら、毎度言うが美味いとか不味いとかあんだろ? 感想を言えよ」
その間も、ただ無言でフォークを動す。作り手側からすると、料理をエネルギーとしてしか見ていない節がある彼らに対して不満があった。
「不味かったら食わないだろ?」
咲が当然の様に言い放つ。
「お前らしい感想だ。でも、覚えておけよ? 料理を作ってもらったら感想を言え。じゃなきゃ今後、お前のリクエストは聞かない」
藤十郎はそれだけ言って黙る。
「パスタの茹で加減がアルデンテで最高だ」
「竜聖のリクエストは親子丼だったな。半年は作らない」
的外れな感想を述べた竜聖のリクエストは採用されない事が決まった。
その後、素直に感想を述べた咲や、一生懸命味を伝えた聡里とつばきは事なきを得たのだった。
「おかえりなさぁい」
咲たちに気付いた聡里が顔を上げる。
「休憩は必要か?」
竜聖の質問に2人は大丈夫だと告げ、用意を始める。
事務所の奥の部屋が倉庫になっているため、咲はその部屋から愛銃であるステアーと【シグSG550】アサルトライフルを取り出した。
日頃からメンテナンスはしているので、軽い動作確認だけで問題ない。
「竜聖、撤退は?」
シグSG550の動作確認をしながら咲が訪ねる。
「ない。今日は総力戦だ。決着を付ける」
竜聖は既に銃の確認を終えているらしく、デスクの端に【グロック17】ハンドガンを、デスクに立て掛けるように【HK416】アサルトライフルに置き、デスク上の大半を使用し、全員の無線のチェックに入っていた。
「アサルトスーツ出しとくねぇ」
聡里は奥の部屋から、黒色のアサルトスーツを抱えて現れた。
戦闘において制服や私服はあり得ない。きちんと運動性の高い服装が必要だ。そのため、全員が揃いのスーツを使用している。
聡里はソファの背にアサルトスーツを掛けると、再び奥の部屋に消えていった。
彼女の使用している銃は【S&W5906】ハンドガンと【FNP90】アサルトライフル。
そして、床に腹ばいになっているつばきは、バイポッドを立てた【レミントンM700】スナイパーライフルの調整をしていた。
皆が戦闘の準備をしている中、1人だけが違う行動をしていた。だが、今の彼らにとって一番重要な事と言えるだろう。
「もうすぐできるからテーブル片付けろ」
部屋の一角にある給湯スペースで卓上コンロを使って、お手軽なパスタを作っていた。
大量に茹で上がったパスタがザルの中で湯気を立てており、コンロの上にはフライパンが熱を発していた。
フライパンにカルボナーラ。
「私ボロネーゼが食いたい」
咲が藤十郎に背中に言うと、次々にリクエストが上がった。
「じゃ私はぁ、オムライスが良いなぁ」
「僕は親子丼の気分かな」
「カレー」
それぞれの我儘を完全に無視し、カルボナーラを作り続ける。藤十郎がカルボナーラを選んだ理由は匂いだった。ボロネーゼやカレーは匂いが強いために却下。オムライスや親子丼は一気に人数分は作れない。カルボナーラならば、匂いもきつくなく一気に作れる。
彼らも理由は当然わかっている。ただ、あわよくば次の食卓に並ぶ料理に、自分の案が採用される可能性を残すためのアピールに過ぎなかった。
「出来たぞ。運んでくれ」
藤十郎のその一声で準備は一時中断し、食事が始まる。
テーブルに並べられた人数分のパスタと、付け合わせのトマトのブルスケッタにんにく抜きが並んだ。
「「「「「いただきます」」」」」
濃厚なチーズと生クリームが口の中を満たす。
それを無言で食べ続ける彼らに対し、藤十郎は文句を言う。
「お前ら、毎度言うが美味いとか不味いとかあんだろ? 感想を言えよ」
その間も、ただ無言でフォークを動す。作り手側からすると、料理をエネルギーとしてしか見ていない節がある彼らに対して不満があった。
「不味かったら食わないだろ?」
咲が当然の様に言い放つ。
「お前らしい感想だ。でも、覚えておけよ? 料理を作ってもらったら感想を言え。じゃなきゃ今後、お前のリクエストは聞かない」
藤十郎はそれだけ言って黙る。
「パスタの茹で加減がアルデンテで最高だ」
「竜聖のリクエストは親子丼だったな。半年は作らない」
的外れな感想を述べた竜聖のリクエストは採用されない事が決まった。
その後、素直に感想を述べた咲や、一生懸命味を伝えた聡里とつばきは事なきを得たのだった。
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