溶かしてくずして味わって

辻河

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本編

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「は♡……ぁ♡ッひ、お♡……ッ♡……~~~~♡♡」
「うん、口の中と一緒に触られると気持ちいいね」

 そうじゃない。そんなことを言いたい訳ではないのに、抗議の声は喉の奥から迫り上がってきた喘ぎ声へと変わる。二本の指で舌を挟み込まれ、すりすりと表面や側面を擦られる度にぞくぞくとした震えが走る。時折爪先で裏筋を引っ掛かれると堪らず背中が弓形になり、伊織の首元に後頭部を押し付けてしまう。

「や、ぁ♡……ぁ゛♡っひ♡~~~~♡♡ぅ♡あ♡……ッ?♡」

 絶頂の予感にきゅうと爪先が丸まる。あと少しで達するところで、不意に伊織の手がぱ、と離れていった。

「ごめん。ちょっと意地悪しすぎた」

 中途半端に高められた状態で寸止めする方が意地悪だろう。反論しようと口を開く前に、伊織の手が下腹部に触れた。熱い掌がするすると肌を撫で回す刺激すらもどかしい。

「早くこっちで気持ちよくなろうね。服も全部脱いじゃおうか」
「ぁ♡……ッ♡」

 優しい口調とは裏腹に有無を言わせない手付きで身に纏っているものを取り払われる。伊織自身も手早く服を脱ぎ、ベッドに押し倒すようにして覆い被さってきた。ちゅ、ちゅ、と鎖骨から胸にかけて何度も吸い付くようにキスを落とされ、ちくりとした痛みが走る。

「っひ♡や……♡ぁ♡跡、付いちゃ……♡」

 制止の言葉など聞こえていないかのように、伊織は胸元に赤い華を散らしていく。時折思い出したように乳首を掠める舌の動きに身体が小さく跳ねた。

「いお、り……♡も♡胸、いらな……♡ッ♡」

 放置された下半身が疼いて仕方がない。硬く張り詰めたままの自身と伊織のそれを擦り合わせるように、無意識に腰を揺らしてしまう。はしたなさに顔が熱くなるのを感じながら、それでも動きを止めることはできなかった。そんなこちらの様子に気付いたのか、伊織は宥めるような笑みを浮かべると、優しく頬を撫でてきた。

「っふ……可愛いね、吉野」

 胸の辺りを彷徨う手が離れていったかと思えば、ぐり、と互いのものが密着するように押されて息を飲む。そのままゆっくりと腰が動き、ぬち、という粘着質な音と共に二つの性器が擦れ合った。敏感になった亀頭が擦れる感覚だけでもおかしくなりそうなほど気持ちが良いのに、伊織のものが脈打つ感覚までも伝わってきて、腹の底からじわりと熱がこみ上げてくる。

「……ふ♡ぁ♡……ッん♡♡」

 身体中が燃えるように熱くて、頭がぼうっとする。身体の中心に集まった熱を逃す術を求めてシーツの上で身じろぐと、腰の下に枕を差し込まれた。いつの間にかローションを絡めていたらしい指先が、秘部をつつくように動いた。つぷ、と指の先端が埋め込まれた瞬間、背筋にびりびりとした感覚が走った。浅いところを探るようにかき回し、抜き差しを繰り返しながら少しずつ奥へ押し進められる。

「……いつもより柔らかいかも。もしかして自分で準備してくれたの?」
「……っそ、だから♡はや、く……♡いおりの、ほしい……♡」

 恋人の家に泊まるのだから、そういうことがあっても良いようにと事前に慣らしておいた後孔は二本目の指も難なく飲み込んでいく。すんなりと根元まで入った指はピースサインを作るように中で広がり、内壁を押し拡げた。

「あ、ぁ♡おく……♡ひろげる、の……ッ♡や……ぁ♡」
「中もとろとろ……自分で慣らした時はどうやって解したのか教えて?」
「ん♡ぅ゛♡ゆび、やめ……♡そこ♡ッ♡……だ、め♡」

 前立腺を二本の指で挟むように押し潰され、揺さぶるように動かされる。突然訪れた強烈な快感に内腿が痙攣し、視界がちかちかと瞬く。

「ねえ、吉野。こうやって前立腺も触った?」
「ぅあ゛♡さわ、ってない♡……ッ♡ならした、だけ……♡」
「本当に?でもこんなに感度が良くなってる」
「ま、って♡……~~~~♡♡……ッ!♡あ♡ぁ゛♡……~~~~ッ!!♡♡」

 三本目の指が挿入され、ばらばらと不規則に動くそれが容赦なく弱点を攻め立てる。激しく出し入れされる度に空気を含んだ水音が響き渡り、耳を塞ぎたい衝動に駆られる。

「さっきまで何でもないような顔で俺の隣に座ってたのに、本当はお尻の穴ひくひくさせてセックスすること考えてたの?」
「ち、が♡……~~~~♡♡ッひ♡ぁ♡や♡……~~~~!♡♡」

 否定の言葉を口にしようにも、快楽に浸された頭では上手く言葉にならない。それどころか蕩けきった内襞はきゅう♡と更なる刺激を強請るように指を食んでしまう。

「ぁ♡ッひ♡いおり♡だめ……♡イ、っちゃ……ッ♡」
「まだ駄目だよ。もう少しだけ我慢して」
「は、ぅ♡なん、で……♡ッんお゛♡♡」

 もうすぐで達せる、と思ったところでぴたりと全ての動きが止まった。ぢゅぽっ♡と勢いよく指が引き抜かれ、濁った声が漏れ出る。絶頂寸前で放り出された身体はがくがくと震え、物足りないとばかりに腰が揺れてしまう。
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