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第2章
初めての友達(1)
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「雛ちゃんこっち!」
「わ、わ、」
「あちらに美味しそうな物が売ってるみたいですよ、買ってもらいましょう団長に」
「え、えっ、」
「お前らあまりはしゃぐな引っ張り回すな!」
城下町への視察に雛鳥も同行することになったのは突拍子もない双子の提案だった。
「雛ちゃんも一緒に行く?」
冗談で言っただろうルイの言葉に、意外にも興味を示したのは雛鳥の方。行きたい、と自分の口からは言えないまでも、その表情は興味津々ですと言わんばかり。
そんな表情を見てしまってから、「じゃあ行ってくるね」では終われなかった。
「「団長ぉ…」」
双子だけでなく、雛鳥からも期待の眼差しを向けられる。
「……絶対に俺から離れないで」
結局折れたのはアランの方で、今すぐ王の許可を取りに行くべきかどうか頭を悩ませていると、両手をあげ喜ぶ双子と共にぱぁぁっと輝く雛鳥の顔を見た途端、これくらいで喜んでもらえるのならいくらでも、と思ってしまうのだった。
ふと感じた視線に振り返り城を見上げると、とある一室からこちらを見下ろす王を発見した。
遠目から決して剣呑な雰囲気では無いと察すると咄嗟に腰を折り会釈を送る。すかさず手をあげ応えていただけた事から、許しを得たのだと都合よく解釈し、戻ってから改めて説明へ向かおうと今は踵を返し部下二名と雛鳥一名を引き連れ城下町へと繰り出すことにした。
「……さすがにサイズデカすぎか?」
「雛ちゃん、てるてる坊主みたい」
「かわいいかわいい」
「?」
せめてその容姿が目立たないよう、城門を出る手前で鞄の中からアランの旅用マントを取り出し、頭から被せ、首元でキュッと紐を結ぶと世界一かわいいてるてる坊主ができあがった。
つま先まですっぽり覆ってしまう丈になったが、ワンピースから覗く脚を隠すのにはちょうど良かった。
「いい?何度も言うけど、絶対に俺たちから離れないように。知らない人にはついて行っちゃダメだよ」
口が酸っぱくなるほど言い聞かせた言葉を再度雛鳥へ確認を込め伝えると、コクコク一生懸命頷く様子にただホッコリしてしまう。
それは双子も同じだったらしく、後ろから勢いよくガバッと抱きつくルイと、よしよしよしよしと永遠に頭を撫で続けるカイ。多少は戸惑いながらも、既に双子のパーソナルスペースの狭さに慣れつつあるのか、されるがまま受け入れている雛鳥の意外な順応力にこっそり驚かされた。
「だーっ、ホントかわいいなんでこの子こんなにかわいいのっ」
「う、うぅ…」
腕の中にすっぽりおさまり丁度頭が顎の高さに来るサイズ感が気に入ったのか、ぎゅうぎゅうグリグリ猫可愛がりするルイ。そんな二人を腰に手を当てながら眺めうーむ、と何かを考える様子のカイが何を言い出すのかと思えばそれは正直アランも気になっていた事。
「彼は幾つくらいなんでしょうか…この見た目、まだ10代前半の可能性もありますよね…」
そう、雛鳥の年齢。
段階をかなりすっ飛ばし、最後まで行為をしてしまったが、カイの言う通りもし本当に10代前半の少年だったら……アランの国では後ろ指さされるどころでは無い、大問題だった。
内心冷や汗を垂らし、今は亡き姉になんて弁解をすればいいのか、そんなことを考えながらきょとんと首を傾げる雛鳥を恐る恐る見つめてしまう。そして、
「雛ちゃんいまいくつ?」
三つの視線が雛鳥へ集中する。
「え…と、21…です」
左右の手で2と1と指を立ておずおず答えた雛鳥へ、三者三様の驚きの声が再び城門付近で響き渡った。
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