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第1章
雛鳥の役目(1)
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隣国初日での最後のスケジュールは王主催の晩餐会への参加だった。
単独行動の末、自室へと戻ったアランは日中着ていた物から自国の正装へ素早く着替え、髪もそれに相応しいよう左側の前髪をかきあげ、右側は過度になりすぎないようにだけ注意し適当にセットした。
鏡の前に立ち、袖のカフスを留めながら上から下まで変なところはないか最終チェックをするアラン。
そんな後ろ姿をじーっと眺める執拗な視線がふたつ―――不貞腐れた表情の双子だった。
「……団長、こう見るとやっぱり貴族のぼんぼんっすよねぇ野良育ちの俺らと違ってそういう格好が様になりすぎ」
「普段僕たちと遠征中普通に野宿とかしてるから忘れがちですけど、貴族のぼんぼんでしたもんね」
「「ねー」」
既に準備を終えた双子は、着替え途中だったアランの部屋へ問答無用で押し入ると、折角の衣装がシワになる事も厭わず勝手にベッドを我が物顔で占拠し、終始このように野次を飛ばし続けていた。
そんな双子に、はぁ…ともれるため息。
「……だから、置いて行ったことは悪かったと何度も謝っただろ?」
「別に~?一緒に王宮内を散策しましょーぜーって誘いに行ったらもうもぬけの殻だった団長の部屋を見て俺たちショックを受けたりなんてしてないしぃ?」
「他国で放置されて不安になる年頃でもないですし?」
「「全然寂しかったなんて思ってないですしー」」
「……悪かったって」
ベッドの上に仰向けでむくれる二人に近寄ると「機嫌直してくれよ」と苦笑しながらその頭を撫でてやる。
それで少しは機嫌を直したのか、のっそり上半身を起こし、もっと撫でろ、と言うように頭を寄せてくる猫みたいな二人にセットが崩れるぞとさらに苦笑をもらした。
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