113 / 131
3【招待という名の呼び出し】
3-31混じり合い(3)※
しおりを挟む息も絶え絶えに重い瞼を震えさせながら薄ら開けた視界はぼんやりと白くもやがかって見える。
何度も瞬きを繰り返し少しずつ鮮明になるにつれて視界いっぱいにうつりこむのは、最後に見た景色と何ら変わらない僕を見下ろす楓真くん。
「大丈夫?」と尋ねる優しい声にこくりと小さく頷けば、目にかかる邪魔な前髪を払ってくれるついでに頭も撫でられ少しばかり呼吸に落ち着きが戻ってくる。
「落ち着きました?」
「……ん」
「よかったフェロモンも薄まってる」
そう言われて初めて、さっきまで感じていた体の熱が嘘みたいに楽になっていることに気がついた。
「僕、意識飛んでた?」
「一瞬だけ。最後上手にイケましたね」
よしよしとお腹を撫でる手がまだ中にいる楓真くんを意識させ、「んぅ」と声がもれてしまう。
そんな僕に「かわい」と呟く声と表情が相変わらず甘々だった。
よいしょ、と手を引っ張られ体を起こして導かれる楓真くんの膝の上。
体勢を変えながらも未だ繋がったまま、ずっと見上げていた顔が今は上目遣いで見上げてくるのを向かい合いながらまじまじと見下ろす。
「さっきは意地悪言ってごめんなさい、俺で気持ち良くなってくれるのが嬉しくて可愛くてちょっといじめちゃった」
「……意地悪だった」
「あぁ~すみませんすみませんっつかささんが悪い子なんて嘘です、ありえません!つかささんは世界一いい子です」
「いい歳していい子っていうのも…って感じだけど」
じとー…っと目を細める僕に、さっきまでのSっけが完全になりを潜めた楓真くんが必死に取り繕いぎゅうと抱きしめてくる。そんな背中を弱々しく抱き締め返していると不意に中の存在が再び存在を示し、ビクッと僅かに体が反応してしまう。
なんでまた急に、と思いながらもなんともないよう誤魔化そうとするが、それを見逃さないのが楓真くんの流石とも言えるところで――
首筋でふっと笑う吐息を感じる。
「つかささんのここ、俺の事大好きぃってアピールしてくれてる」
「~~っ」
下から小刻みに揺すられ、洩れそうになる声を必死に我慢しながらも、やられてばかりは悔しい。
涙が滲む目にキッと力を込めた、次の瞬間――楓真くんを頭ごと抱き込むと下半身に全身全霊で集中する。
「っ、あなたって人は――!」
ぐねんぐねんうねる中の動きに不意打ちのように一瞬息を呑む楓真くんにしてやったりと笑うも、自分もゾクゾク感じてそこまで余裕は無かった。
「は、っ…ん、ぁ、……ね、僕の、気持ち……っ、伝わった?」
「っは、はは―――最高っ」
「んあぁっ」
汗が滴る肉体美と息を飲むほど綺麗な顔を見下ろしながら強く下から座面で貫かれる快感に一気に絶頂をむかえ、本日何度目かわからないそれはもはや吐き出すものもなく、お腹の中に広がる最新の熱い濁流を終始ビクビク体を震わせながら受け止めていた。
感じてる時のだらしない顔を見られるのは心底嫌なのに、本当に嬉しそうに目に焼きつけるように見守る楓真くんを目にしたらまぁいいか…と、素直に気持ちいいという感情を晒せるようになったのは、いつの頃からか……
大好きだと、愛されてると、骨の髄までわからせてくれる、楓真くん。
「―――大好き」
312
お気に入りに追加
617
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる