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86: 少年と魔王とお見舞いの話 33
しおりを挟む「ふぅ、んっ、あぁっ……ッ!」
じわじわと中に入ってくる指の感触に、ツァイトはレステラーにすがりついたまま甘い声を漏らした。
何度も抱かれ、慣らされた身体だ。
酒も力も加わって、最奥へと侵入してくるレステラーの長い指を拒めなかった。
無意識に腰が揺れる。
「気持ちよさそうだな」
ツァイトの耳元でそう囁くと、耳にかかる息にまで感じているのか、ツァイトは短い悲鳴を上げた。
レステラーの指はすぐに二本に増やされ、中指と人差し指でツァイトの中を広げるように抜き差しを繰り返していた。
中の感じるところを刺激してやると、ツァイトの身体がびくびくと震えた。
「ん、んっ! そ、それ……やめっ……あ、あぁっ!」
「なんで? ここがいいんだろ」
「ち、ちが……あ、あっ、ああ……っ!」
襲い来る快感を堪えるようにレステラーの肩に額をつけたまま、ツァイトは何度も首を横にふった。
レステラーの服を握りしめる手に、ぎゅっと力が入った。
感じすぎて辛いのに、レステラーはやめてくれない。
根元まで突き入れられた指が中を掻き交ぜるようにして動き、指の腹で中にある敏感な場所を刺激してくるのだ。
ツァイトの口からはひっきりなしに喘ぎ声が漏れ、まともに言葉が紡げない。
「……そ、そこ、ばっかり……やだぁ……」
「うそつけ。ここがいいくせに。素直になった方が身のためだぜ」
「あ、あっ、んんっ!」
感じすぎて生理的な涙がぽろぽろと零れ落ちる。
口では否定してるが、後ろで感じてるのは一目瞭然だ。
一度放って萎えたはずのツァイトのものが、後ろの刺激だけで再び勃ちあがり、だらだらと蜜をこぼしていた。
先走りの蜜で、中途半端に脱げたままだったツァイトの服も、そしてツァイトに密着しているレステラーの服もぐっしょりと濡れていた。
「もう一本いれるぞ」
「やあぁ……、む、無理……むりぃ……」
「いつも指より太いのいれてるんだ。無理じゃねえよ」
「ん、んんっ!」
三本の指が、内壁を押し広げて入ってくる。
縋り付いて耐えるしかないツァイトは、レステラーの服をぎゅっと握りしめた。
ぐちゅぐちゅと聞こえてくる濡れた音が、より羞恥心を煽る。
いつもより執拗な愛撫に何も考えられなくなる。
頭の中を占めるのは、気持ちいい、ただそれだけだ。
「あ、ああ……れすたぁ……れすたぁ……」
後孔の感じるところばかり責めてくるくせに、達しそうになると愛撫の手を緩められる。
イきいたいのにイけない。
つらすぎる快楽に、ツァイトはそうそうに根を上げた。
泣きたくて泣いているわけじゃないのに、止むことなく押し寄せる快感で涙がツァイトの目から零れ落ちていた。
「どうしてほしい?」
「や、やだぁ……いじわる、しないで……」
「欲しいか? 俺が」
最奥から指を抜きながら、レステラーはツァイトの耳元で問いかける。
ツァイトはレステラーの肩に顔を埋めたまま何度も頷いた。
指で無理やり高められた身体の熱は一向に引く気配を見せない。
むしろ快感は増すばかりで、早く入れてほしいという思いで頭がいっぱいだった。
こめかみに口づけられ、頭を撫でられるだけじゃ、物足りない。
「ほし、い……レスターが……」
「だったら自分で入れてみろよ。支えててやるから、ゆっくりと自分で腰をおろせ」
ツァイトのむき出しの首筋に唇を当て、そこをきつく吸い上げると、ツァイトの身体がびくりと震えた。
下衣をくつろげ取り出したレステラーの楔が後孔に当てられる。
「出来るだろ?」
自分からは動く気はないのか、レステラーの手はツァイトの身体を支えるために添えられただけで、止まっていた。
こういう時の彼はとても意地悪だ。
ツァイトが動かない限り、レステラーは絶対に動かない。
普段は有無を言わさず、好き勝手に突き入ってくるのに、時々こうやってツァイトに無理難題を押し付けてくる。
だが、そんな時のレステラーとの我慢比べは、ツァイトに軍配が上がることはほとんどない。
レステラーがわざと折れてくれる時でさえ、さんざんレステラーを欲しがる言葉を言わされた後だから、勝った気がしなかった。
しかも今日は酒が入ってる。
羞恥心と理性を頭の隅に追いやったツァイトは、ゆっくりと腰をおろしはじめた。
「ふぅ……っく……んんっ」
十分に解されたとはいえ、内壁を押し広げて入ってくる熱い楔に、ツァイトはレステラーの服を握り締める手に力をいれた。
「あ、ああ……れす、たー……」
「そのまま腰を落とせよ。先っぽ咥えたら残りは楽だろ?」
「あっ、あぁ……はぁ、んっ……」
耳元で囁かれるレステラーの声に導かれるように、ツァイトが膝を曲げ、腰を落としていく。
内壁が硬いもので擦れる度、吐息とも喘ぎ声ともつかない音がツァイトの口から漏れた。
「んんっ……ああぁっ!」
じわじわと味わわされるのが嫌で、体重をかけて自分から一気に押し込む。
その拍子に、先端が一番敏感な場所を掠めたのか、ツァイトは背を仰け反らせて後ろの刺激だけで二度目の精を放った。
あまりの快感に一瞬意識が飛んだツァイトの身体から力が抜け、後ろにがくりと倒れる。
完全に倒れ落ちなかったのは、レステラーの腕に支えられていたからだ。
魔族よりも白い喉をさらけ出し、唾液で濡れた半開きの唇からは、全力疾走した後のような息遣いが漏れていた。
「入れただけで気持ちよかったのか?」
「あ、あぁ……んっ」
魔王の楽しそうな声が耳をくすぐる。
うっすらと目を開ければ、口角を上げたレステラーの顔が近づき、唇を塞がれた。
舌を絡めとられ、咥内を貪られる。
「……れ、すたぁ……」
見上げてくるツァイトの瞳は解放の余韻で潤み、頬は赤く上気して、艶っぽい。
今すぐにでも無茶苦茶にしてやりたい衝動が沸き起こってくる。
「も、もぅ……むり……」
「なにが?」
「……やぁ……も、もう、動けな……」
喘ぎ疲れて途切れそうになる声を懸命にだして、レステラーに訴える。
もう指一本さえ動かすのも億劫だった。
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