転生者は隠しボス

アロカルネ

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第三章

3-6

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ワシこと、炎の四天王として名をはせた魔人であったが、今は、にっくき勇者の膝の上で抱っこされるという屈辱に頬を膨らませる。
「なんつーか・・・一気に可愛くなったな」
「うぬうぅぅ!!はなさんかー!!」
「ああもうっ、うるせぇな・・・」
自慢だった体躯も、矮小な童のような身体になってしまい、自慢の筋肉もほとんどなくなってしまった。唯一良かったのはふさふさの赤毛になった事だけで、今もわしゃわしゃとワシの頭を撫でる勇者に手足をばたつかせる。
しかし、死を免れなかった筈のワシを救う復活魔法リザレクションを使いこなした勇者の仲間は本当に何者なのか、博学だったワシでもさっぱり分からん。
「なあ、本当に何も覚えてないのかよ。レッド」
「ワシの方こそ知りたいぐらいだ」
復活した副作用なのか、ワシはほとんどの記憶を失っており、勇者たちと激戦を行った後や四天王として過ごしていたいた日々を全く思い出せない。
「これ・・・どうすっかな?」
「本当だよ・・・お菓子食べる?」
「子供扱いするでない!!」
エルフの小娘に渡されたお菓子を貪りながら、ワシがこうなった原因であるフェルという少年に視線を向ける。
「・・・・・なに?」
「ふ、ふんっ、ワシを助けた事だけは感謝してやる!!」
「・・・・そう」
他の二人と違い、表情を一切変えないフェルはこちらに近づいてくると、頭をなで回してきて妙に心地よいのが困ってしまう。こいつに殺され掛けたはずなのに、何故、こんな風に思ってしまうのか・・・・
というか、コイツ、ワシが復活してから雰囲気が変わりすぎてないか?
「そういえば、アイツらはどこに行ったんだ?」
「? こやつらの事か?」
「ボウ!!」
「ゴオォ!!」
「うおっ!?」
そう言いながら呼びかけると、ワシの腹から精霊たちが出てくる。
「ふふんっ、こやつらはワシの大事な部下だからな。当然一緒にいるに決まっておろう」
「お、おう・・・・」
目をぱちくりする勇者に、一矢報いたような気分で鼻を鳴らす。
「ねえ、本当に付いてくるの?」
「当たり前ではないか」
困った顔で聞いてくるエルムにワシは胸を張りながら、勇者の膝の上から降りて精霊たちを腹の中に戻す。
「嫌だと言ってもついて行くからな!!」
こいつらについて行けば、失った記憶を取り戻すきっかけになるかもしれない。
「「「はぁ・・・」」」
「ええぇい!!ため息を漏らすんじゃない!!」
前途多難な気もするが、ワシの旅はこれからだ!!
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