26 / 30
第三章
3-6
しおりを挟む
ワシこと、炎の四天王として名をはせた魔人であったが、今は、にっくき勇者の膝の上で抱っこされるという屈辱に頬を膨らませる。
「なんつーか・・・一気に可愛くなったな」
「うぬうぅぅ!!はなさんかー!!」
「ああもうっ、うるせぇな・・・」
自慢だった体躯も、矮小な童のような身体になってしまい、自慢の筋肉もほとんどなくなってしまった。唯一良かったのはふさふさの赤毛になった事だけで、今もわしゃわしゃとワシの頭を撫でる勇者に手足をばたつかせる。
しかし、死を免れなかった筈のワシを救う復活魔法リザレクションを使いこなした勇者の仲間は本当に何者なのか、博学だったワシでもさっぱり分からん。
「なあ、本当に何も覚えてないのかよ。レッド」
「ワシの方こそ知りたいぐらいだ」
復活した副作用なのか、ワシはほとんどの記憶を失っており、勇者たちと激戦を行った後や四天王として過ごしていたいた日々を全く思い出せない。
「これ・・・どうすっかな?」
「本当だよ・・・お菓子食べる?」
「子供扱いするでない!!」
エルフの小娘に渡されたお菓子を貪りながら、ワシがこうなった原因であるフェルという少年に視線を向ける。
「・・・・・なに?」
「ふ、ふんっ、ワシを助けた事だけは感謝してやる!!」
「・・・・そう」
他の二人と違い、表情を一切変えないフェルはこちらに近づいてくると、頭をなで回してきて妙に心地よいのが困ってしまう。こいつに殺され掛けたはずなのに、何故、こんな風に思ってしまうのか・・・・
というか、コイツ、ワシが復活してから雰囲気が変わりすぎてないか?
「そういえば、アイツらはどこに行ったんだ?」
「? こやつらの事か?」
「ボウ!!」
「ゴオォ!!」
「うおっ!?」
そう言いながら呼びかけると、ワシの腹から精霊たちが出てくる。
「ふふんっ、こやつらはワシの大事な部下だからな。当然一緒にいるに決まっておろう」
「お、おう・・・・」
目をぱちくりする勇者に、一矢報いたような気分で鼻を鳴らす。
「ねえ、本当に付いてくるの?」
「当たり前ではないか」
困った顔で聞いてくるエルムにワシは胸を張りながら、勇者の膝の上から降りて精霊たちを腹の中に戻す。
「嫌だと言ってもついて行くからな!!」
こいつらについて行けば、失った記憶を取り戻すきっかけになるかもしれない。
「「「はぁ・・・」」」
「ええぇい!!ため息を漏らすんじゃない!!」
前途多難な気もするが、ワシの旅はこれからだ!!
「なんつーか・・・一気に可愛くなったな」
「うぬうぅぅ!!はなさんかー!!」
「ああもうっ、うるせぇな・・・」
自慢だった体躯も、矮小な童のような身体になってしまい、自慢の筋肉もほとんどなくなってしまった。唯一良かったのはふさふさの赤毛になった事だけで、今もわしゃわしゃとワシの頭を撫でる勇者に手足をばたつかせる。
しかし、死を免れなかった筈のワシを救う復活魔法リザレクションを使いこなした勇者の仲間は本当に何者なのか、博学だったワシでもさっぱり分からん。
「なあ、本当に何も覚えてないのかよ。レッド」
「ワシの方こそ知りたいぐらいだ」
復活した副作用なのか、ワシはほとんどの記憶を失っており、勇者たちと激戦を行った後や四天王として過ごしていたいた日々を全く思い出せない。
「これ・・・どうすっかな?」
「本当だよ・・・お菓子食べる?」
「子供扱いするでない!!」
エルフの小娘に渡されたお菓子を貪りながら、ワシがこうなった原因であるフェルという少年に視線を向ける。
「・・・・・なに?」
「ふ、ふんっ、ワシを助けた事だけは感謝してやる!!」
「・・・・そう」
他の二人と違い、表情を一切変えないフェルはこちらに近づいてくると、頭をなで回してきて妙に心地よいのが困ってしまう。こいつに殺され掛けたはずなのに、何故、こんな風に思ってしまうのか・・・・
というか、コイツ、ワシが復活してから雰囲気が変わりすぎてないか?
「そういえば、アイツらはどこに行ったんだ?」
「? こやつらの事か?」
「ボウ!!」
「ゴオォ!!」
「うおっ!?」
そう言いながら呼びかけると、ワシの腹から精霊たちが出てくる。
「ふふんっ、こやつらはワシの大事な部下だからな。当然一緒にいるに決まっておろう」
「お、おう・・・・」
目をぱちくりする勇者に、一矢報いたような気分で鼻を鳴らす。
「ねえ、本当に付いてくるの?」
「当たり前ではないか」
困った顔で聞いてくるエルムにワシは胸を張りながら、勇者の膝の上から降りて精霊たちを腹の中に戻す。
「嫌だと言ってもついて行くからな!!」
こいつらについて行けば、失った記憶を取り戻すきっかけになるかもしれない。
「「「はぁ・・・」」」
「ええぇい!!ため息を漏らすんじゃない!!」
前途多難な気もするが、ワシの旅はこれからだ!!
0
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
弟いわく、ここは乙女ゲームの世界らしいです
慎
BL
――‥ 昔、あるとき弟が言った。此処はある乙女ゲームの世界の中だ、と。我が侯爵家 ハワードは今の代で終わりを迎え、父・母の散財により没落貴族に堕ちる、と… 。そして、これまでの悪事が晒され、父・母と共に令息である僕自身も母の息の掛かった婚約者の悪役令嬢と共に公開処刑にて断罪される… と。あの日、珍しく滑舌に喋り出した弟は予言めいた言葉を口にした――‥ 。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる