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第10章 イグドラシルとの闘い
第4話 ローマの災日 前編
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「神聖なる炎」
天空から凛とした声が響くと、虚空から神々しい炎が現れ、泥人形たる男たちを焼き尽くす。その光景に茫然とするリンに対して、鷹司は口元をゆがめていった。
「遅いぞ、小僧」
その言葉にこたえるように鳳凰を自分の中に戻した桜夜は、リオに認識疎外を解かせて彼女とホムラを伴って地に降り立った。鷹司たちを守るようにその前に立った桜夜はからかうように言う。
「先代こそ、勝手にローマの休日しないでくださいよ。リオ、先代の手当を」
「はい」
桜夜とホムラが周囲の警戒を行っている間に、リオは両ひざをついて鷹司の傷を見る。
「助かる?」
リンがリオにすがるように尋ねる。
「大丈夫ですよ。鷹司様は強い方ですから」
リオは傷口を確かめ、銃弾が貫通していることを確認する。
(これなら傷口をふさいでしまえば輸血するだけで大丈夫でしょう)
リオは水の魔力を持つ者が得意とする治癒魔法で鷹司の傷を塞いでいく。その間も泥人形の男たちの増援はあったが、桜夜とリオがせき止め、切り捨てていった。神殺しと炎の剣は、どちらも泥人形の弱点を突くことに成功していた。しかしキリがないことにホムラは若干いら立っていた。
「たくっ、どんだけいるんだよ」
「あはは、これは逃げた方が良さそうだ。ホムラ、デカいのを頼むよ」
「おっしゃ!」
ホムラは丹田から炎の魔力を引き出し、ホノカグツチに吸収させていく。そして一線。炎の津波が泥人形たちを飲み込んでいった。津波が収まったあと、路地裏には誰もいなくなっていた。
◆◆◆
ローマ市内の病院、そこで鷹司が輸血を受けている間に、桜夜はリンからmicroSDカードを受け取っていた。その中身をスマホで確認した途端、桜夜は勢いよくスマホを操作し、そのデータを四方院家やイグドラシルと対立する勢力に送った。それは抗ウイルス薬のデータだったからだ。
「リンちゃん。このデータの原本は?」
リンは首を左右に振る。
「もう存在しない。それが原本」
「そうか……」
桜夜は考え込む。
(抗ウイルス薬のデータが広まった以上、イグドラシルはすぐに作戦を実行できない可能性が高い。いや、それも希望的観測だ。確実にイグドラシルの勢力を削いでいくには……)
「リン……いえ、イグドラシルの姫。イグドラシルの主になる覚悟がおありですか」
to be continued
天空から凛とした声が響くと、虚空から神々しい炎が現れ、泥人形たる男たちを焼き尽くす。その光景に茫然とするリンに対して、鷹司は口元をゆがめていった。
「遅いぞ、小僧」
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「先代こそ、勝手にローマの休日しないでくださいよ。リオ、先代の手当を」
「はい」
桜夜とホムラが周囲の警戒を行っている間に、リオは両ひざをついて鷹司の傷を見る。
「助かる?」
リンがリオにすがるように尋ねる。
「大丈夫ですよ。鷹司様は強い方ですから」
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(これなら傷口をふさいでしまえば輸血するだけで大丈夫でしょう)
リオは水の魔力を持つ者が得意とする治癒魔法で鷹司の傷を塞いでいく。その間も泥人形の男たちの増援はあったが、桜夜とリオがせき止め、切り捨てていった。神殺しと炎の剣は、どちらも泥人形の弱点を突くことに成功していた。しかしキリがないことにホムラは若干いら立っていた。
「たくっ、どんだけいるんだよ」
「あはは、これは逃げた方が良さそうだ。ホムラ、デカいのを頼むよ」
「おっしゃ!」
ホムラは丹田から炎の魔力を引き出し、ホノカグツチに吸収させていく。そして一線。炎の津波が泥人形たちを飲み込んでいった。津波が収まったあと、路地裏には誰もいなくなっていた。
◆◆◆
ローマ市内の病院、そこで鷹司が輸血を受けている間に、桜夜はリンからmicroSDカードを受け取っていた。その中身をスマホで確認した途端、桜夜は勢いよくスマホを操作し、そのデータを四方院家やイグドラシルと対立する勢力に送った。それは抗ウイルス薬のデータだったからだ。
「リンちゃん。このデータの原本は?」
リンは首を左右に振る。
「もう存在しない。それが原本」
「そうか……」
桜夜は考え込む。
(抗ウイルス薬のデータが広まった以上、イグドラシルはすぐに作戦を実行できない可能性が高い。いや、それも希望的観測だ。確実にイグドラシルの勢力を削いでいくには……)
「リン……いえ、イグドラシルの姫。イグドラシルの主になる覚悟がおありですか」
to be continued
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