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第9章 ロリ、参戦!
第5話 家族
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朝6時、あずさは遠くから聞こえる桜夜の声で目を覚ました。起き上がって寝ぼけまなこをこすり、あたりを見回すが桜夜の姿はなかった。ふわあとあくびを嚙み殺しながら、あずさは桜夜の声のする方へ向かった。
◆◆◆
声は縁側から見える庭から聞こえていた。どうやら桜夜がホムラに剣の修行をつけているようだ。
(そういえば桜夜の育ての親って剣術やっていたもんね)
2人が気づかないのをいいことに、あずさは2人の様子を覗き見る。
「ほらほら、脇が甘い。そんなんじゃ自分の身も守れないぞ。親衛隊隊長」
「うっせい! って親衛隊隊長!?」
「ほらっ油断しない」
ぽこっと竹刀でホムラの頭を叩く。
「ってえ。それより親衛隊隊長ってなんだよ」
「親衛隊なんだから隊長がいないと恰好がつかないでしょ。親衛隊の中で一番戦闘に向いているからホムラちゃんを隊長に指名したんだ」
桜夜がいたずらっぽく笑うと、ホムラもうれしそうに笑う。
「うおお、ついに隊長か! よし桜夜! もう1本!」
「ホムラちゃん、もう朝ごはんできてるからだめだよ」
そこにサイカが顔を出した。そしてあずさの存在にも気づくのだった。
「あっ、あずさちゃんおはよう。朝ごはんできてるよ」
桜夜とホムラもあずさの方を向く。
「おはよう、あずさ。ほら、ホムラちゃん朝の挨拶は?」
「ふん」
ホムラが不貞腐れたようにそっぽを向くのを見て、桜夜はわざとらしく言った。
「あーあ、あいさつもできないんじゃ隊長の件はなしかな」
「あーもー! うるっさいな。おはよう! これでいいんだろ!」
「はい、よくできました。あずさ」
長年一緒にいたことがわかる桜夜たちのやりとりにぼんやりしていたあずさは、声をかけられて慌てて「おは、ようございます」とだけ述べた。そのまま全員でリビングに移動すると、黒いスーツ姿で待機していたリオが桜夜に近づいてくる。
「桜夜様、おはようございます。本日のスケジュールは……」
立ち話をしている桜夜とリオをぼんやり見ていたあずさはホムラに声をかけられた。
「おらっ、突っ立ってないで座れ。桜夜とリオねえも、まだ仕事の時間じゃないだろ」
「あ、ホムラちゃん、あずさちゃん、おはようございます」
急に仕事モードから切り替わったリオはのんびりと朝の挨拶をすると、桜夜を伴って席についた。それを見てあずさも桜夜の隣に座る。するとタイミングを見計らったようにサイカが朝食を運んできた。今日は洋風だった。
「みんなおまたせ、朝ごはんだよー」
サイカはにっこりと笑うと、朝食をテーブルに並べ、自分も椅子に座る。そしてみんなで合唱する。
「いただきます!」
そうやって食事を摂る桜夜たちを眺めたあずさはつぶやく。
「なんだかあなたたちって、家族みたいよね」
「まあ、長い付き合いだからなあ。自然とそう見えるようになるのかもね」
桜夜があずさにそう答える。その言葉に、あずさはおずおずとつぶやく。
「あ、あたしも家族になれるかな。みんなと……」
その言葉にあずさとホムラ以外の全員が微笑み、サイカが代表して言葉をつむいだ。
「なれるよ。きっとね」
to be continued
◆◆◆
声は縁側から見える庭から聞こえていた。どうやら桜夜がホムラに剣の修行をつけているようだ。
(そういえば桜夜の育ての親って剣術やっていたもんね)
2人が気づかないのをいいことに、あずさは2人の様子を覗き見る。
「ほらほら、脇が甘い。そんなんじゃ自分の身も守れないぞ。親衛隊隊長」
「うっせい! って親衛隊隊長!?」
「ほらっ油断しない」
ぽこっと竹刀でホムラの頭を叩く。
「ってえ。それより親衛隊隊長ってなんだよ」
「親衛隊なんだから隊長がいないと恰好がつかないでしょ。親衛隊の中で一番戦闘に向いているからホムラちゃんを隊長に指名したんだ」
桜夜がいたずらっぽく笑うと、ホムラもうれしそうに笑う。
「うおお、ついに隊長か! よし桜夜! もう1本!」
「ホムラちゃん、もう朝ごはんできてるからだめだよ」
そこにサイカが顔を出した。そしてあずさの存在にも気づくのだった。
「あっ、あずさちゃんおはよう。朝ごはんできてるよ」
桜夜とホムラもあずさの方を向く。
「おはよう、あずさ。ほら、ホムラちゃん朝の挨拶は?」
「ふん」
ホムラが不貞腐れたようにそっぽを向くのを見て、桜夜はわざとらしく言った。
「あーあ、あいさつもできないんじゃ隊長の件はなしかな」
「あーもー! うるっさいな。おはよう! これでいいんだろ!」
「はい、よくできました。あずさ」
長年一緒にいたことがわかる桜夜たちのやりとりにぼんやりしていたあずさは、声をかけられて慌てて「おは、ようございます」とだけ述べた。そのまま全員でリビングに移動すると、黒いスーツ姿で待機していたリオが桜夜に近づいてくる。
「桜夜様、おはようございます。本日のスケジュールは……」
立ち話をしている桜夜とリオをぼんやり見ていたあずさはホムラに声をかけられた。
「おらっ、突っ立ってないで座れ。桜夜とリオねえも、まだ仕事の時間じゃないだろ」
「あ、ホムラちゃん、あずさちゃん、おはようございます」
急に仕事モードから切り替わったリオはのんびりと朝の挨拶をすると、桜夜を伴って席についた。それを見てあずさも桜夜の隣に座る。するとタイミングを見計らったようにサイカが朝食を運んできた。今日は洋風だった。
「みんなおまたせ、朝ごはんだよー」
サイカはにっこりと笑うと、朝食をテーブルに並べ、自分も椅子に座る。そしてみんなで合唱する。
「いただきます!」
そうやって食事を摂る桜夜たちを眺めたあずさはつぶやく。
「なんだかあなたたちって、家族みたいよね」
「まあ、長い付き合いだからなあ。自然とそう見えるようになるのかもね」
桜夜があずさにそう答える。その言葉に、あずさはおずおずとつぶやく。
「あ、あたしも家族になれるかな。みんなと……」
その言葉にあずさとホムラ以外の全員が微笑み、サイカが代表して言葉をつむいだ。
「なれるよ。きっとね」
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