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9 予想外に保険が増える
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カイン様の上書き誕生日は、私の予想を越えて大変なことになっていた。
「アルファー伯爵令嬢は何て多才なのでしょう!! 私、感動いたしましたわ!!」
「アルファー伯爵!! 是非とも我が家でもあの劇をしてくれ!! いや、あの劇団を紹介してくれないか!!」
「アルファー伯爵!!」
そうあの劇が大盛況だったため、お父様もお母様もあれから色んな所に引っ張りだこになっている。今や時の人となってしまい、『アルファー伯爵と会話しないものは貴族ではない』なんて意味不明な噂まである。
なので必然と婚約者のカルフィシファー公爵家の皆さんまで巻き込んでしまい、私は心の中で反省する。
(よし! 次からは大人しく目立たないプレゼントを渡すことにしよう!!)
だがそんな想いとは裏腹に親族たちが屋敷に押し寄せては是非とも家で誕生日企画の劇をしてくれとうるさい。
(…………おい、お前ら! 我、まだ10歳ぞ? 何をただでこき使おうとしてるんじゃい!!)
しかもいとこ達はいいとしても、ほぼ関わりのない親族のおっさんの誕生日までお願いに来る図々しい猛者まで現れて流石の父親もキレた。
「親族を名乗るハイエナ共など無視しろ!! 私がいない時の手紙、訪問は全て断っていい!!」
「全く、図々しい人たちだわ」
(でもいとこ達の劇はやるんだよねぇ。まぁ、みんな私より小さいし可愛いからいいけど、やっぱり両親に上手く駒にされているような……)
複雑な気持ちのまま、今度は母方の従姉妹たちに頼まれて劇をすることになった。私は今回も同じ新人役者を借りようとしたら、前回の公演でその新人さんたちは人気者になり使えなくなってしまった。
だが私が劇をまたするのであれば使ってほしいと中堅役者さんたちが我先にとアピールしだしてちょっとビックリしてしまったが、これはラッキーかもしれない。
「今回は女の子の向けの劇なので、女優さん多めでお願いします」
「今回はどんな劇にするんですか?」
「美少女魔法戦士です」
幼い女の子なら変身ヒロインなら鉄板だろうと、今回も前世の魔法少女ものを詰め込んで可愛くオシャレな服装と華麗な戦いで夢と希望を見せましょう。
結果は勿論、大盛況で従姉妹たちは私が適当に考えたプレゼントの変身グッズを見て更に興奮し、ずっと変身呪文と攻撃呪文(泡とキラキラ七色に光だけの呪文)を唱えていた。
「あの衣装凄く可愛いわ……」
「でも少しスカートが短いわ」
「なら、裾を長くすれば私たちも大丈夫じゃないかしら?」
「あのピンクの衣装可愛い過ぎるわ……」
どうやら少し年上のお姉様方にも日本のロリータファッションが刺さったようだ。
「くっ、あの黒のハレンチな衣装……エロいだろ……」
「はぁ、はぁ……白の衣装がヌメヌメでやられるシーン最高……もっと見たい……」
「可愛い過ぎる……ウサギの耳衣装があんなに女の子に合うなんて思わなかった……」
……こちらは違う意味で刺さった年頃のお兄様方にも好評で何よりです。
そして私は戦隊もの、魔法少女ものを公演し、演劇に革命を起こしたと演劇関係者に感謝され、新人役者さんたちも新たに仕事の需要が増えたと大喜びだったと聞いた。
(うむ。これでまた平民に落ちたとしても演劇関係で働くことが出来るパイプが増えたな。大変だったけど保険が1つでも多くなることは私のメリットに繋がるのでよしとしよう!!)
後は物理攻撃と毒耐性か回避をなんとか会得してどの話のどんな役職でも生き延びられるよう頑張るだけだ。
(来年は魔法鑑定がある。それの能力を知ってから対処した方がいいな……)
「公演関係もお父様にお願いして使用料入るようにして貰ったし、当分はゆっくり出来るかな」
「……あの、お嬢様、お客様が……」
「? えっ? 私? もう演劇関係は断って!」
「いえ、それがマダムパピヨンことシルバー婦人が是非ともお嬢様にお会いしたいと……」
(? なぜ有名ブランドのオーナー様が直々に会いに来るの?)
「よく分かんないけど会うわ」
「まぁ! お会いしたかったですわぁ!! 無理を言って申し訳ござぁません!!」
お母様を伴って会うマダムパピヨン会長はその名に恥じぬ洗練された衣装を纏いながら丁寧な挨拶をしてくれた。
「それでシルバー婦人。早速ですが、どうして家の子に会いたいのですか?」
「実はアルファー伯爵令嬢がこの前公演した劇のお衣装があまりぃにも素晴らしく、是非ともうちでデザイナーをしてほしいのでござぁますの!」
「デザイナー?!! 娘はまだ10歳ですわよ?」
「えぇ。了承しておりますわ。ですが!! あまりぃにもその才能を埋もれさせておくのは勿体無いのうござぁますわ!!」
(まさか今度はデザイナー……。保険が増えるのはいいけど、同時に知名度も上がりすぎるのは困る)
よし! ここはお母様に頑張って断って貰おう!!
「アルファー伯爵令嬢は何て多才なのでしょう!! 私、感動いたしましたわ!!」
「アルファー伯爵!! 是非とも我が家でもあの劇をしてくれ!! いや、あの劇団を紹介してくれないか!!」
「アルファー伯爵!!」
そうあの劇が大盛況だったため、お父様もお母様もあれから色んな所に引っ張りだこになっている。今や時の人となってしまい、『アルファー伯爵と会話しないものは貴族ではない』なんて意味不明な噂まである。
なので必然と婚約者のカルフィシファー公爵家の皆さんまで巻き込んでしまい、私は心の中で反省する。
(よし! 次からは大人しく目立たないプレゼントを渡すことにしよう!!)
だがそんな想いとは裏腹に親族たちが屋敷に押し寄せては是非とも家で誕生日企画の劇をしてくれとうるさい。
(…………おい、お前ら! 我、まだ10歳ぞ? 何をただでこき使おうとしてるんじゃい!!)
しかもいとこ達はいいとしても、ほぼ関わりのない親族のおっさんの誕生日までお願いに来る図々しい猛者まで現れて流石の父親もキレた。
「親族を名乗るハイエナ共など無視しろ!! 私がいない時の手紙、訪問は全て断っていい!!」
「全く、図々しい人たちだわ」
(でもいとこ達の劇はやるんだよねぇ。まぁ、みんな私より小さいし可愛いからいいけど、やっぱり両親に上手く駒にされているような……)
複雑な気持ちのまま、今度は母方の従姉妹たちに頼まれて劇をすることになった。私は今回も同じ新人役者を借りようとしたら、前回の公演でその新人さんたちは人気者になり使えなくなってしまった。
だが私が劇をまたするのであれば使ってほしいと中堅役者さんたちが我先にとアピールしだしてちょっとビックリしてしまったが、これはラッキーかもしれない。
「今回は女の子の向けの劇なので、女優さん多めでお願いします」
「今回はどんな劇にするんですか?」
「美少女魔法戦士です」
幼い女の子なら変身ヒロインなら鉄板だろうと、今回も前世の魔法少女ものを詰め込んで可愛くオシャレな服装と華麗な戦いで夢と希望を見せましょう。
結果は勿論、大盛況で従姉妹たちは私が適当に考えたプレゼントの変身グッズを見て更に興奮し、ずっと変身呪文と攻撃呪文(泡とキラキラ七色に光だけの呪文)を唱えていた。
「あの衣装凄く可愛いわ……」
「でも少しスカートが短いわ」
「なら、裾を長くすれば私たちも大丈夫じゃないかしら?」
「あのピンクの衣装可愛い過ぎるわ……」
どうやら少し年上のお姉様方にも日本のロリータファッションが刺さったようだ。
「くっ、あの黒のハレンチな衣装……エロいだろ……」
「はぁ、はぁ……白の衣装がヌメヌメでやられるシーン最高……もっと見たい……」
「可愛い過ぎる……ウサギの耳衣装があんなに女の子に合うなんて思わなかった……」
……こちらは違う意味で刺さった年頃のお兄様方にも好評で何よりです。
そして私は戦隊もの、魔法少女ものを公演し、演劇に革命を起こしたと演劇関係者に感謝され、新人役者さんたちも新たに仕事の需要が増えたと大喜びだったと聞いた。
(うむ。これでまた平民に落ちたとしても演劇関係で働くことが出来るパイプが増えたな。大変だったけど保険が1つでも多くなることは私のメリットに繋がるのでよしとしよう!!)
後は物理攻撃と毒耐性か回避をなんとか会得してどの話のどんな役職でも生き延びられるよう頑張るだけだ。
(来年は魔法鑑定がある。それの能力を知ってから対処した方がいいな……)
「公演関係もお父様にお願いして使用料入るようにして貰ったし、当分はゆっくり出来るかな」
「……あの、お嬢様、お客様が……」
「? えっ? 私? もう演劇関係は断って!」
「いえ、それがマダムパピヨンことシルバー婦人が是非ともお嬢様にお会いしたいと……」
(? なぜ有名ブランドのオーナー様が直々に会いに来るの?)
「よく分かんないけど会うわ」
「まぁ! お会いしたかったですわぁ!! 無理を言って申し訳ござぁません!!」
お母様を伴って会うマダムパピヨン会長はその名に恥じぬ洗練された衣装を纏いながら丁寧な挨拶をしてくれた。
「それでシルバー婦人。早速ですが、どうして家の子に会いたいのですか?」
「実はアルファー伯爵令嬢がこの前公演した劇のお衣装があまりぃにも素晴らしく、是非ともうちでデザイナーをしてほしいのでござぁますの!」
「デザイナー?!! 娘はまだ10歳ですわよ?」
「えぇ。了承しておりますわ。ですが!! あまりぃにもその才能を埋もれさせておくのは勿体無いのうござぁますわ!!」
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よし! ここはお母様に頑張って断って貰おう!!
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