13 / 13
13.それから
しおりを挟む
「先生~!」
私は私室を訪れたアルト先生の元に駆け寄った。
「お嬢様、お部屋の中とはいえみだりに走ってはいけません。
旦那様に叱られてしまいますよ」
「バレなければ問題ないわ。だからお父様に言ってはダメよ」
「仕方ないですね。今回だけですよ」
アルト先生が苦笑を漏らした。
私はアルト先生が好きだ。
もちろん異性として。
両親とも使用人とも違い、客人として我が家に住んでいるアルト先生は特別な存在だった。
皆に慕われ、私にも優しくしてくれる。
そんなアルト先生の柔らかな笑顔を見ている内に、いつの間にか心の中が先生のことでいっぱいになっていた。
歳は親子ほど離れているし、先生だって産まれたときから知っている私のことなど異性とは思っていないだろう。
それでもこの気持ちを抑える理由にはなりえなかった。
私は侯爵令嬢だ。
いずれどこかの貴族の子息を婿として迎え入れることになるだろう。
私の恋が実ることはない。
それでも自分の気持ちに嘘をつくような生き方はしたくなかった。
だから私は時間さえあればアルト先生の元を訪れ、少しでも一緒にいられるようにした。
お父様だけは私がアルト先生と仲良くしていると難しい顔をするが、何か言われるわけではないので気にしないようにしている。
「それではお嬢様、健康観察を始めます。お召し物を脱いでください」
「はい!」
私はなれた手付きで身につけていた衣類を脱いでいく。
普通の侯爵令嬢であれば、着替えもメイドが手伝うところだろう。
だが私はアルト先生と二人きりになるために、身の回りのことは一人でできるように特訓した。
だから今、この部屋には私とアルト先生しかいない。
私は躊躇することなく下着まで下ろすと、その裸体をアルト先生の前に晒した。
当然隠すようなことはしない。
お母様譲りの均整のとれた身体をむしろアピールするようにアルト先生に見せつける。
お父様にすらもう何年も見せていない私の裸体。
それを知る異性は世界で唯一、アルト先生だけである。
その背徳感が私の恋心を酷く刺激する。
「身体の隅々まで調べて、健康であると旦那様に報告しましょうね」
「はい!」
アルト先生の手がゆっくりと伸びた。
私は私室を訪れたアルト先生の元に駆け寄った。
「お嬢様、お部屋の中とはいえみだりに走ってはいけません。
旦那様に叱られてしまいますよ」
「バレなければ問題ないわ。だからお父様に言ってはダメよ」
「仕方ないですね。今回だけですよ」
アルト先生が苦笑を漏らした。
私はアルト先生が好きだ。
もちろん異性として。
両親とも使用人とも違い、客人として我が家に住んでいるアルト先生は特別な存在だった。
皆に慕われ、私にも優しくしてくれる。
そんなアルト先生の柔らかな笑顔を見ている内に、いつの間にか心の中が先生のことでいっぱいになっていた。
歳は親子ほど離れているし、先生だって産まれたときから知っている私のことなど異性とは思っていないだろう。
それでもこの気持ちを抑える理由にはなりえなかった。
私は侯爵令嬢だ。
いずれどこかの貴族の子息を婿として迎え入れることになるだろう。
私の恋が実ることはない。
それでも自分の気持ちに嘘をつくような生き方はしたくなかった。
だから私は時間さえあればアルト先生の元を訪れ、少しでも一緒にいられるようにした。
お父様だけは私がアルト先生と仲良くしていると難しい顔をするが、何か言われるわけではないので気にしないようにしている。
「それではお嬢様、健康観察を始めます。お召し物を脱いでください」
「はい!」
私はなれた手付きで身につけていた衣類を脱いでいく。
普通の侯爵令嬢であれば、着替えもメイドが手伝うところだろう。
だが私はアルト先生と二人きりになるために、身の回りのことは一人でできるように特訓した。
だから今、この部屋には私とアルト先生しかいない。
私は躊躇することなく下着まで下ろすと、その裸体をアルト先生の前に晒した。
当然隠すようなことはしない。
お母様譲りの均整のとれた身体をむしろアピールするようにアルト先生に見せつける。
お父様にすらもう何年も見せていない私の裸体。
それを知る異性は世界で唯一、アルト先生だけである。
その背徳感が私の恋心を酷く刺激する。
「身体の隅々まで調べて、健康であると旦那様に報告しましょうね」
「はい!」
アルト先生の手がゆっくりと伸びた。
0
お気に入りに追加
51
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫
梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。
それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。
飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!?
※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。
★他サイトからの転載てす★
無表情いとこの隠れた欲望
春密まつり
恋愛
大学生で21歳の梓は、6歳年上のいとこの雪哉と一緒に暮らすことになった。
小さい頃よく遊んでくれたお兄さんは社会人になりかっこよく成長していて戸惑いがち。
緊張しながらも仲良く暮らせそうだと思った矢先、転んだ拍子にキスをしてしまう。
それから雪哉の態度が変わり――。
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
二階堂まや
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる