上 下
9 / 13

9.知りたくなかった自分

しおりを挟む
 私はつい想像してしまった。
 アミーラが放尿する姿を。
 私たちが普段寝起きしている寝室。
 その床にタライを置き、剥き出しの下半身を晒しながらしゃがみこむアミーラ。
 そして秘すべき陰部を覗き込むアルト。

 アミーラはアルトに見せつけるように陰唇を指で開き、そして尿をほとばしらせるのだ。

「なかなか勢いのある放尿でした。
 タライを叩く水音が寝室中に響いておりましたよ。
 もしかしたら、廊下にいても丸聞こえだったかもしれませんね。
 さすがにアミーラ様も恥ずかしかったのか、顔を赤く染めていらっしゃいました。
 私はすかさずアミーラ様の股間へと魔道具を伸ばしました。
 すぐに尿に触れさせる必要がありますからね。
 尿道口とタライを結ぶ水流。
 その流れを絶つように魔道具を差し込みました。
 すると魔道具に当たって弾けた飛沫が私の手だけでなく服や顔まで濡らしたのです。
 アミーラ様はさらに顔を赤くして涙目になりながら、『申し訳ありません』と謝っていらっしゃいました。
 謝りながらも放尿は続いていましたけどね」

 顔を赤くし、涙目で謝りながら放尿をするアミーラ。
 私が見たことのない、そして今後も見ることのないだろう光景。
 それを私はアルトの言葉を頼りに脳裏に描く。
 描いてしまう。

「そしてこれが昨日使用した魔道具です」

 アルトは先ほどと同じ細長い紙を取り出した。
 ただし、先ほどの紙が白かったのに対し、今取り出した紙は赤く染まっていた。

「妊娠している女性の尿に触れると、このように赤く反応するのです。現状は使用にコツが必要であり、また使い捨てであるためコストがかかりますが、いずれ改良を重ねていけば画期的な魔道具になると思いませんか」

「……そう、だな」

 そう答えるのがやっとだった。
 昨日、私が仕事をしている間に繰り広げられていたアミーラの痴態。
 それはまるで鈍器で殴られたような衝撃をもたらした。

「……旦那様もお疲れのようですし、今日の報告はこの辺で終わりに致しましょう」

 反応が鈍くなった私の様子を見てアルトが言った。
 私を心配しての言葉ではない。
 アルトが望むような反応を、今日はこれ以上引き出せないと判断したからだろう。

 アルトが書斎を去ってからも私は動くことができないでいた。
 震えるほど怒りが込み上げている。
 大切なアミーラが医療行為とはいえ、他の男に辱しめられ、その話を聞かされたのだ。
 夫として怒りの感情が沸くのは当然のことだろう。
 そのはずなのに。
 私の内にある感情は怒りだけてはなかった。

 興奮していたのだ、アルトの話を聞いて。
 アミーラが私にも見せたことのない痴態をアルトの前に晒していたと知って、表面上はアルトを睨みながら、テーブルの下では股間を硬くしていたのだ。

「なんなのだ……、これは……っ!」

 このような気持ち、あってはならない。
 そのはずなのに、頭に思い浮かぶのはアミーラがアルトの前で股を開いて尿を放つ姿ばかりだ。

 昂る感情を沈めようにも、アミーラと行為をするわけにもいかない。
 仕方なく独り己を慰めた。
 そのことがどこまでも虚しく、そしてかつて体験したことのない快楽に身を委ねたことに悦を感じていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

優しい紳士はもう牙を隠さない

なかな悠桃
恋愛
密かに想いを寄せていた同僚の先輩にある出来事がきっかけで襲われてしまうヒロインの話です。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

おとなりさんが元彼だなんてツイテナイ!!

鳴宮鶉子
恋愛
一生独身で生きていくと駅前の高層マンションの低層階を分譲したのに、お隣さんが最悪な別れ方をした元彼で……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫

梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。 それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。 飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!? ※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。 ★他サイトからの転載てす★

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

処理中です...