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2.元旦:家族の証言
元旦:家族の証言
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『新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします』
―――そう言って、この年も新しい朝を向かえるはずだった。
1月1日、元旦。
毎年、家族で神社にお参りに行って。
おみくじを引いて。
好みのお守りを買ってもらって。
お店で福袋買ってもらって。
その他色々。
……この年も、そうやって元旦は忙しい日になるはずだった。
----------
「~♪」
朝、お父さんは起きてからすぐに年の始めということで、神棚に水やご飯をお供えしていたらしい。
そこへわたしが自分の寝床から起きて来て、お父さんの目の前を通りすぎた。
「おい」
お父さんがわたしに話し掛ける。
「さくら。お前、何か言うことはないのか?」
お父さんはわたしに怒っていた。
「ちょっと」
近くにいたお母さんがお父さんを止めた。
「さくら。何で昨日はせっかくの大晦日だってのに、21時すぎに黙って寝たんだ?」
「何時に寝ようがさくらの勝手でしょう。疲れてて、眠かったんでしょ」
「だからってこいつは昨日、『おやすみ』の一言もなしに勝手に寝るし、人が起こしに言ったら、人のこと叩くし……って、おい!!」
「………」
わたしは無言でトイレへ向かう。
「今だって、『おはよう』の一言もなしだ。一回“ヤキ”をいれるか?」
「止めなさい」
お父さんはわたしに本気で怒っていた。
そして……。
「おいっ、さくらっ!!」
お父さんはトイレから戻って、手を洗っていたわたしに話し掛ける。
―――次の瞬間。
バッターン
ガンッ
「……っ!?」
お父さんは一瞬、目の前で何が起こったのか理解出来なかったらしい。
お父さんの瞳に映るのは、仰向けに倒れている自分の娘。
「さくらっ!!!?」
お父さんは倒れているわたしの身体を急いで抱き抱え、意識を確かめる為に本当はダメなのだが、ガクガクとわたしの身体を揺らす。
「どうしたの!?」
「おいっ! 早く―――救急車呼べっ!!!!」
「えっ!?」
「「…どうしたの?」」
大きな音に驚いて、お姉ちゃんと妹が眠い目をこすり起きて来る。
「さくらが倒れたっ!」
「「えぇっ!!!?」」
「……ぁ……」
「さくら……?」
「……ぁあ"……っ……あ"ぁ"ーっ……!!!!」
ガクガク……ガクガク……
身体の痙攣。
わたしは意識がなく、正気を失い暴れる……。
「さくらっ! さくらっ!!」
お父さんはそんなわたしを必死に押さえる。
「……ぅ"……っ………う"ーっ……あ"ぁ"ー……っ……!!!!」
「さくらっ。しっかりしろっ!!」
―――十数分後、救急車が家に到着した。
無意識だが暴れるわたしを救急隊員2人とお父さんの3人がかりで救急車に乗せ、病院へ運んだ。
「すぐ帰って来るから、2人でおとなしく留守番をお願いね」
「「お母さんっ!!」」
お父さんもお母さんもわたしに付き添い救急車に乗り、病院へ行ってしまった。
ただ、ずっとお姉ちゃんと妹はいつもと違うわたしの姿と光景を見ているしか出来なかった。
当時、お姉ちゃんと妹はまだ小学生だった。
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『新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします』
―――そう言って、この年も新しい朝を向かえるはずだった。
1月1日、元旦。
毎年、家族で神社にお参りに行って。
おみくじを引いて。
好みのお守りを買ってもらって。
お店で福袋買ってもらって。
その他色々。
……この年も、そうやって元旦は忙しい日になるはずだった。
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「~♪」
朝、お父さんは起きてからすぐに年の始めということで、神棚に水やご飯をお供えしていたらしい。
そこへわたしが自分の寝床から起きて来て、お父さんの目の前を通りすぎた。
「おい」
お父さんがわたしに話し掛ける。
「さくら。お前、何か言うことはないのか?」
お父さんはわたしに怒っていた。
「ちょっと」
近くにいたお母さんがお父さんを止めた。
「さくら。何で昨日はせっかくの大晦日だってのに、21時すぎに黙って寝たんだ?」
「何時に寝ようがさくらの勝手でしょう。疲れてて、眠かったんでしょ」
「だからってこいつは昨日、『おやすみ』の一言もなしに勝手に寝るし、人が起こしに言ったら、人のこと叩くし……って、おい!!」
「………」
わたしは無言でトイレへ向かう。
「今だって、『おはよう』の一言もなしだ。一回“ヤキ”をいれるか?」
「止めなさい」
お父さんはわたしに本気で怒っていた。
そして……。
「おいっ、さくらっ!!」
お父さんはトイレから戻って、手を洗っていたわたしに話し掛ける。
―――次の瞬間。
バッターン
ガンッ
「……っ!?」
お父さんは一瞬、目の前で何が起こったのか理解出来なかったらしい。
お父さんの瞳に映るのは、仰向けに倒れている自分の娘。
「さくらっ!!!?」
お父さんは倒れているわたしの身体を急いで抱き抱え、意識を確かめる為に本当はダメなのだが、ガクガクとわたしの身体を揺らす。
「どうしたの!?」
「おいっ! 早く―――救急車呼べっ!!!!」
「えっ!?」
「「…どうしたの?」」
大きな音に驚いて、お姉ちゃんと妹が眠い目をこすり起きて来る。
「さくらが倒れたっ!」
「「えぇっ!!!?」」
「……ぁ……」
「さくら……?」
「……ぁあ"……っ……あ"ぁ"ーっ……!!!!」
ガクガク……ガクガク……
身体の痙攣。
わたしは意識がなく、正気を失い暴れる……。
「さくらっ! さくらっ!!」
お父さんはそんなわたしを必死に押さえる。
「……ぅ"……っ………う"ーっ……あ"ぁ"ー……っ……!!!!」
「さくらっ。しっかりしろっ!!」
―――十数分後、救急車が家に到着した。
無意識だが暴れるわたしを救急隊員2人とお父さんの3人がかりで救急車に乗せ、病院へ運んだ。
「すぐ帰って来るから、2人でおとなしく留守番をお願いね」
「「お母さんっ!!」」
お父さんもお母さんもわたしに付き添い救急車に乗り、病院へ行ってしまった。
ただ、ずっとお姉ちゃんと妹はいつもと違うわたしの姿と光景を見ているしか出来なかった。
当時、お姉ちゃんと妹はまだ小学生だった。
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