その執着に溺れる

柊 うたさ

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4.足りない

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 しばらく与えられるその快感に酔いしれていると、間宮が俺の制服に手をかける。
 制服のワイシャツをズボンから引き出し、ボタンを外すことなくそのまま服の中に入り込む。
 
 興奮して熱くなった素肌に、少しひんやりとした間宮の手が触れビクンと肩が上がってしまう。しかしそんなことお構いましに間宮の手はどんどん上に進んで行く。

 そして、そのまま迷わず俺の胸の突起をきゅっと摘み、指先で軽く擦っていく。
 
 コリコリと存在を確かめるように、時に突起を弾くように。
 
 キスと同時に与えれるそれに、

「あっ…」

 たまらず声がもれ、身体をよじってしまう。
 今まで何度も触られてきた突起は、少しの刺激であっても快感を器用に拾ってしまう。

 徐々に硬さが増していくそれは、もっと触ってと言わんばかりに主張し始めていくのに、その手は焦らすようにわざとその周辺だけを触っていく。

 いつも達してしまいそうになる程与えられる強い刺激がなかなかやって来ない。
 快感に溺れた頭は理性などとうに失い、ただ欲望を膨らませる。

(こんなんじゃ足りない……)


 もっと、もっと、刺激が欲しい。
 いつもはもっと強く摘んでくれるのに。
 あぁ、身体がもどかしい。


 目は溶けきって何処か虚で、頬は紅潮し。
 深い口づけによってぷっくりと腫れた唇はだらしなく開き、銀色の糸を引いている。

 白い肌は興奮して赤く色づき、しっとりとしている。
 その姿ははしたなく、しかしどこか艶かしい色気すらある。

 誰よりもこの身体を知っているコイツは、もどかしげに動く俺の身体に気づいているはず。それだというのに……

「んっ…ま、みやっ」

 口づけの合間にもっと触って、と間宮の名前を呼び懇願する。
 こんなこと普段なら恥ずかしくて言わない。
 なんなら出来るだけ声を出さないようにしているほどだ。

 でも今日は。普段と違う間宮に感化され。
 無我夢中で間宮の舌に自分から絡みつく。

 間宮が怒っているとか、いつもより荒々しいとか、
 そんなことどうでも良くなる。

 だってこの先にある快楽を知っている。その快楽を求めて身体が動く。
 どんなに小さな刺激であっても逃がさない。
 でももっと強いそれが欲しい。

 いつもならもう十分だ、というくらいしつこく胸を愛撫するというのに。

 こんな焦らすような触り方では満足できない。
 もっと爪を立てて突起を摘んで欲しい。
 間宮のその熱い舌で、優しく舐め転がして欲しい。
 その唇で強く吸って欲しい。その白い歯で噛んで欲しい。


「っねぇ…」

 お願いもっとちょうだい。
 俺を快楽に連れて行って。


 唇を離し、熱に浮かされた表情の俺を見た間宮は、


「なに、?触って欲しいなら自分でボタン外してよ。そしたら触ってあげる。」

 と冷たく言い放つ。


 
 俺を見る目も、俺にかける言葉も、冷たい。
 こんな冷たい間宮はじめてだ、でも決して恐怖は感じない。


 だって間宮から与えられる快感がなにより気持ちいいことを、俺は既に知っているから。


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