215 / 238
【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
trettionio
しおりを挟む
「やぁ、初めまして。」
鷹揚に笑う彪束家リーダー、彪束 氷午。銀色の髪、若葉色の瞳。珍し過ぎる色。梨李の髪は後天的なものだが、この人は産まれつきだと言う。目立って仕方のない色だ。
後ろに立つバトラー。かなりの手練だ。ジュードのおっさんといい勝負。これなら梨李がここにいる間、確かに安全だ。でも理屈じゃなく、番は自分たちで護りたい。
「深沢 濫です。」
「深沢 擁です。」
「深沢 遵です。」
三人揃って会釈する。同席した父さんと篤臣もいる応接室。梨李に会う前にこの席は設けられた。
「さて。今回のことなんだけれど。」
にこっと笑ったあと、冷気を感じる威圧が漏れ出てきた。
「私は、そうだね。かなりご立腹というやつかな。今後二度とそんな気が起きないよう、今いるゲヘリングを殲滅したいと考えているんだ。」
「「「……。」」」
「もちろん、狂った志を継いで後に続くような不届な輩も含めてね。根絶やしにしてやりたい。」
「同感ですね。」
「そうかい?話が早くて助かるよ。じゃあ君たちも協力してくれるかな?」
「どういう役割をお求めですか?」
「そうだねぇ、有体に言えば餌になってもらいたい。」
「……デコイ、ですか。」
「そういうこと。君たちの能力、共感だけれど。奴らにとっては喉から手が出るほど欲しいものだよね?しかも三人もいる。」
三人揃って頷く。出来ればカルロッソ・アルツベルンはこの手で殺したい。
「では。そういうことだから。篤臣、あとは頼んだよ。」
「……はぁ、分かりました。」
丸投げされて、げんなりした篤臣を見る。この調子でいつも、ぺいっと押し付けられているのだろう。
「お前ら、無茶するんじゃねえぞ。」
「分かってる。」
「出来る範囲でやります。」
「任せて。」
父さんが不服そうに腕を組んで睨んでくる。デコイはもちろん、関わらせたくないんだろう。でも、番に手を出された。その落とし前を自分たちでつけたいと思ってる俺たちの気持ちは分かるらしく、それ以上は口を出さなかった。
そうして俺たちは、愛しい番との面会へ、いそいそと向かったのだった。
鷹揚に笑う彪束家リーダー、彪束 氷午。銀色の髪、若葉色の瞳。珍し過ぎる色。梨李の髪は後天的なものだが、この人は産まれつきだと言う。目立って仕方のない色だ。
後ろに立つバトラー。かなりの手練だ。ジュードのおっさんといい勝負。これなら梨李がここにいる間、確かに安全だ。でも理屈じゃなく、番は自分たちで護りたい。
「深沢 濫です。」
「深沢 擁です。」
「深沢 遵です。」
三人揃って会釈する。同席した父さんと篤臣もいる応接室。梨李に会う前にこの席は設けられた。
「さて。今回のことなんだけれど。」
にこっと笑ったあと、冷気を感じる威圧が漏れ出てきた。
「私は、そうだね。かなりご立腹というやつかな。今後二度とそんな気が起きないよう、今いるゲヘリングを殲滅したいと考えているんだ。」
「「「……。」」」
「もちろん、狂った志を継いで後に続くような不届な輩も含めてね。根絶やしにしてやりたい。」
「同感ですね。」
「そうかい?話が早くて助かるよ。じゃあ君たちも協力してくれるかな?」
「どういう役割をお求めですか?」
「そうだねぇ、有体に言えば餌になってもらいたい。」
「……デコイ、ですか。」
「そういうこと。君たちの能力、共感だけれど。奴らにとっては喉から手が出るほど欲しいものだよね?しかも三人もいる。」
三人揃って頷く。出来ればカルロッソ・アルツベルンはこの手で殺したい。
「では。そういうことだから。篤臣、あとは頼んだよ。」
「……はぁ、分かりました。」
丸投げされて、げんなりした篤臣を見る。この調子でいつも、ぺいっと押し付けられているのだろう。
「お前ら、無茶するんじゃねえぞ。」
「分かってる。」
「出来る範囲でやります。」
「任せて。」
父さんが不服そうに腕を組んで睨んでくる。デコイはもちろん、関わらせたくないんだろう。でも、番に手を出された。その落とし前を自分たちでつけたいと思ってる俺たちの気持ちは分かるらしく、それ以上は口を出さなかった。
そうして俺たちは、愛しい番との面会へ、いそいそと向かったのだった。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
側妃のお仕事は終了です。
火野村志紀
恋愛
侯爵令嬢アニュエラは、王太子サディアスの正妃となった……はずだった。
だが、サディアスはミリアという令嬢を正妃にすると言い出し、アニュエラは側妃の地位を押し付けられた。
それでも構わないと思っていたのだ。サディアスが「側妃は所詮お飾りだ」と言い出すまでは。
【完結】野垂れ死ねと言われ家を追い出されましたが幸せです
kana
恋愛
伯爵令嬢のフローラは10歳の時に母を亡くした。
悲しむ間もなく父親が連れてきたのは後妻と義姉のエリザベスだった。
その日から虐げられ続けていたフローラは12歳で父親から野垂れ死ねと言われ邸から追い出されてしまう。
さらに死亡届まで出されて⋯⋯
邸を追い出されたフローラには会ったこともない母方の叔父だけだった。
快く受け入れてくれた叔父。
その叔父が連れてきた人が⋯⋯
※毎度のことながら設定はゆるゆるのご都合主義です。
※誤字脱字が多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※他サイトにも投稿しています。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
「婚約の約束を取り消しませんか」と言われ、涙が零れてしまったら
古堂すいう
恋愛
今日は待ちに待った婚約発表の日。
アベリア王国の公爵令嬢─ルルは、心を躍らせ王城のパーティーへと向かった。
けれど、パーティーで見たのは想い人である第二王子─ユシスと、その横に立つ妖艶で美人な隣国の王女。
王女がユシスにべったりとして離れないその様子を見て、ルルは切ない想いに胸を焦がして──。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる