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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
tjugotvå
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結局定期検診の間、俺たちがウルちゃんと過ごせる時間は殆どなかった。明日の朝には天蒼へ帰国する。
篤臣がいないかと思えば、ティタニアとユリアンが張り付き買い物や観光に連れ出す。逆に二人がいない時は篤臣が、いつも通り、べったり張り付いて離れない。
何なんだよ!ちくしょう!
仕方がないので最終日の夜、三人でハオプトの街へと繰り出した。薄暮の空は美しく、至る所で色ガラスのランプが灯り、街道はこれから夜を楽しむ人々で賑わっている。その中を歩いていると、ちらちらと視線が集まって来た。三人全く同じ顔で同じ体格とくれば自然と目を惹く。だから、そう言った不躾な視線を無視することに三人とも慣れていた。
目に付いたカフェに、ふらりと入ると奥まったテーブル席へと座る。
『カプチーノ。』
『同じものをお願いします。』
『……同じもので。』
待つ間、椅子の背もたれに凭れると首を捻って鳴らす。同じく擁と遵も鳴らした。
「帰るのは明日か。結局少しも一緒にいれなかったな。」
「残念です。まさかあんなに二人が懐くなんて。」
「……ウルちゃんだしね。」
自分たちも子供の頃はウルと会えた時、片時も離れなかった。どうしてか会えば、聞いて、話して、構ってと言う気持ちが沸き起こる。それは17歳になった今も変わらなかった。
「でも、番じゃないんだよなぁ。」
「違いますね。」
「……違う。」
可愛いと思うし癒されるし会いたいとも思う。でも焦がれるような熱量はない。それにここ最近、なんとなくだが番の存在が、はっきりして来たように思うのだ。
「いるよな。」
「いますね。」
「……いるね。」
しかもあれだけ焦がれて探そうと意識を向けていた時は掴み取れなかった輪郭が、今なら掴めそうな気がする。
カプチーノがテーブルに置かれ、三人で手に取った。
(〈帰国したら探すぞ。〉)
([ええ。])
(〔うん。〕)
篤臣がいないかと思えば、ティタニアとユリアンが張り付き買い物や観光に連れ出す。逆に二人がいない時は篤臣が、いつも通り、べったり張り付いて離れない。
何なんだよ!ちくしょう!
仕方がないので最終日の夜、三人でハオプトの街へと繰り出した。薄暮の空は美しく、至る所で色ガラスのランプが灯り、街道はこれから夜を楽しむ人々で賑わっている。その中を歩いていると、ちらちらと視線が集まって来た。三人全く同じ顔で同じ体格とくれば自然と目を惹く。だから、そう言った不躾な視線を無視することに三人とも慣れていた。
目に付いたカフェに、ふらりと入ると奥まったテーブル席へと座る。
『カプチーノ。』
『同じものをお願いします。』
『……同じもので。』
待つ間、椅子の背もたれに凭れると首を捻って鳴らす。同じく擁と遵も鳴らした。
「帰るのは明日か。結局少しも一緒にいれなかったな。」
「残念です。まさかあんなに二人が懐くなんて。」
「……ウルちゃんだしね。」
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「いるよな。」
「いますね。」
「……いるね。」
しかもあれだけ焦がれて探そうと意識を向けていた時は掴み取れなかった輪郭が、今なら掴めそうな気がする。
カプチーノがテーブルに置かれ、三人で手に取った。
(〈帰国したら探すぞ。〉)
([ええ。])
(〔うん。〕)
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