【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

sjutton

　ネアリチュアで受けた定期検診がやり直しになると父さんに告げられた時、俺たちは（まぁ、仕方ないか。）と受け入れた。

「でだ。又リージョンに向かうわけだが、今度の護衛は貴宮だ。」
「「「げぇ。」」」

　なんであいつがと、三人で渋面を作る。

「お前たちのクシュダートに赴任してきたカウンセラーと貴宮にな。ちっと関係があるんじゃねぇかってな。」

　どう言うことだと三人で首を捻る。父さんが続けた。

「淼矢　梨李って人物が今から十三年前、当時十歳で行方不明になっている。貴宮の本家彪束家の関係者だ。」
「「「行方不明？」」」
「髪は薄い金髪、瞳は青紫。女。」
「いやでも。あのカウンセラー髪は茶色だし。」
「瞳の色は分かりませんけど。」
「……男に見える。」
「髪はまぁ、染めたりウィッグ被れば誤魔化せるだろ。瞳は確認してないからわかんねぇけどよ。カラコンもあるしな。性別はまぁ、どっちかわかんねぇ見た目のやつもいるし。問題は行方不明になってた人物の名前を名乗ってるってことだ。あと、調べたがディストリクトから来てることは間違いない。」
「ヴェルュクの所員なのか？」
「とてもそんな風には見えません。」
「……カウンセラーにも見えないけど。」
　三人で詰め寄ると、父さんが鼻を鳴らした。

「それは今んところ分かってねぇ。だからまぁ、これから本当に関係あるか貴宮が調べるんだろ。」

　何だかややこしい事態になってきた、とため息を吐く。

「まぁお前らはしっかり定期検診受け直してこい。それと今回はウルが同行するからな。」
「「「え？ウルちゃんが？！」」」

　続く言葉に飛び上がって喜んだ。なんだそれ、早く言ってくれよ！

「お前ら、ほんと、あいつ好きだな。」

　だってウルちゃんは俺たちにとって理想だし。あんな人が番だったらと何度思ったか。

　途端に、うきうきし出した俺たちを見て、父さんが肩を竦めた。