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【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖
sju
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そろそろ、定期検診の時期だ。
俺たち三人は能力保有者と判明してから毎年検査を受けている。基本的な身体の成長データから能力の変化が主な検査だったが、クシュダートに入ってからは検査を受けるためリージョンへ向かうようになっていた。何でも出張検査では間に合わなくなってきたというのが理由らしい。
リージョンへ行く時は、護衛が付く。
正直俺たち三人でかかれば、父さんや篤臣とだったら、いい勝負になると思う。だから護衛は必要ないと思うんだけど、それを言うと母さんや、ひいばあちゃん、ウルちゃんが心配する。三人を不安にさせてまで拒む理由はないので大人しく受け入れてはいるが、問題はその護衛だった。
ジュード・カーティス。グウェイン家リーダー、フィンレー・グウェインのバトラー。
正直、このおっさんには勝てる気がしない。本能で敵わないと分かる。それだけでも面白くないのに、こいつも篤臣同様番にベタ惚れときた。パートナーは茉莉・カーティス。元々は、ひいばあちゃんの友だちの孫娘で、うちのカフェでバイトしていた時に二人は出逢ったらしい。
茉莉さんを連れて、年に一度の里帰りってやつだろうな。
お陰で行きも帰りも、目の前でいちゃいちゃする二人に毎度当てられる。茉莉さんはまだ、俺たちに対して恥も外聞も持ち合わせているようだがジュードのおっさんは違った。
番に、めろめろらしく何かにつけて構い倒してる。おっさん、俺たちの護衛だろうが。
『茉莉、そろそろ着陸態勢に入りますよ?さぁ、膝に乗って下さい。』
『もう!ジュードは三人の護衛でしょ?!いざという時、私が膝に乗ってたら動けないじゃない!』
『いざという時は茉莉が最優先です。彼らはそれくらい、自分たちでどうとでもしますよ。』
(〈確かに自分たちでどうとでも出来るが、護衛が口にすることかよ。〉)
([相変わらず、ぶれない方です。])
(〔……嬉しくない。〕)
プライベートジェットのシートに座り、胡乱気に二人を見ると茉莉さんが、おろおろする。構わず、おっさんが腰を掴むと抱き込んで座り膝に乗せた。
『今回の里帰りも楽しかったですね?』
『毎回毎回私まで連れて行ってるけど。本当にいいの?』
『構いませんよ?茉莉に年に一度里帰りさせてあげる為に受けた護衛ですから。フィンレー様も茉莉を同行させて任務に就くよう薦めて下さいました。』
『なら、いいけど。』
やっぱり護衛はついでかよ。
とは言っても、おっさんが恐ろしく強いのは分かる。仮に襲われても、茉莉さんを逃した後は相手を一人で皆殺しにしそうだ。俺たちを襲ったって言うより茉莉さんを危険な目に遭わせたとか、そういう理由で。
『君たち。着いたら、いつも通りグウェイン家へ向かいますよ。』
『ああ。』
『はい。』
『……うん。』
一応、共通言語は日常会話に困らない程度出来る。それでも俺たちは最小限しか話さない。
理由は簡単。おっさんに関しては、別にそれで困らないから。必要伝達事項に漏れがなければ、おっさんは干渉してこない。
そう言う意味では、一緒にいても疲れないんだよな。まぁ番がいる時は、疲れるけど。
三人で窓から外を眺める。真っ青な空が瞳に眩しかった。
俺たち三人は能力保有者と判明してから毎年検査を受けている。基本的な身体の成長データから能力の変化が主な検査だったが、クシュダートに入ってからは検査を受けるためリージョンへ向かうようになっていた。何でも出張検査では間に合わなくなってきたというのが理由らしい。
リージョンへ行く時は、護衛が付く。
正直俺たち三人でかかれば、父さんや篤臣とだったら、いい勝負になると思う。だから護衛は必要ないと思うんだけど、それを言うと母さんや、ひいばあちゃん、ウルちゃんが心配する。三人を不安にさせてまで拒む理由はないので大人しく受け入れてはいるが、問題はその護衛だった。
ジュード・カーティス。グウェイン家リーダー、フィンレー・グウェインのバトラー。
正直、このおっさんには勝てる気がしない。本能で敵わないと分かる。それだけでも面白くないのに、こいつも篤臣同様番にベタ惚れときた。パートナーは茉莉・カーティス。元々は、ひいばあちゃんの友だちの孫娘で、うちのカフェでバイトしていた時に二人は出逢ったらしい。
茉莉さんを連れて、年に一度の里帰りってやつだろうな。
お陰で行きも帰りも、目の前でいちゃいちゃする二人に毎度当てられる。茉莉さんはまだ、俺たちに対して恥も外聞も持ち合わせているようだがジュードのおっさんは違った。
番に、めろめろらしく何かにつけて構い倒してる。おっさん、俺たちの護衛だろうが。
『茉莉、そろそろ着陸態勢に入りますよ?さぁ、膝に乗って下さい。』
『もう!ジュードは三人の護衛でしょ?!いざという時、私が膝に乗ってたら動けないじゃない!』
『いざという時は茉莉が最優先です。彼らはそれくらい、自分たちでどうとでもしますよ。』
(〈確かに自分たちでどうとでも出来るが、護衛が口にすることかよ。〉)
([相変わらず、ぶれない方です。])
(〔……嬉しくない。〕)
プライベートジェットのシートに座り、胡乱気に二人を見ると茉莉さんが、おろおろする。構わず、おっさんが腰を掴むと抱き込んで座り膝に乗せた。
『今回の里帰りも楽しかったですね?』
『毎回毎回私まで連れて行ってるけど。本当にいいの?』
『構いませんよ?茉莉に年に一度里帰りさせてあげる為に受けた護衛ですから。フィンレー様も茉莉を同行させて任務に就くよう薦めて下さいました。』
『なら、いいけど。』
やっぱり護衛はついでかよ。
とは言っても、おっさんが恐ろしく強いのは分かる。仮に襲われても、茉莉さんを逃した後は相手を一人で皆殺しにしそうだ。俺たちを襲ったって言うより茉莉さんを危険な目に遭わせたとか、そういう理由で。
『君たち。着いたら、いつも通りグウェイン家へ向かいますよ。』
『ああ。』
『はい。』
『……うん。』
一応、共通言語は日常会話に困らない程度出来る。それでも俺たちは最小限しか話さない。
理由は簡単。おっさんに関しては、別にそれで困らないから。必要伝達事項に漏れがなければ、おっさんは干渉してこない。
そう言う意味では、一緒にいても疲れないんだよな。まぁ番がいる時は、疲れるけど。
三人で窓から外を眺める。真っ青な空が瞳に眩しかった。
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