【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

【外伝】貴方にとっては誤算でも俺たちにとっては正に僥倖

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　物心ついた時から、それが俺たちにとっての普通だったから。周りと違うなんて思いもしなかった。

『おい、こいつら診てくれ。』

　俺たち三人纏めていっぺんに抱えた父さんが知らない、おっさんに俺たちを見せて言った時、意味が分からず、きょとんとした。

『狗狼様。その、私の専門は。』
『分かってるっつの。お前の知り合いに共感について詳しい奴いねぇか知りたくてよ。こいつら三人でいる時全くしゃべんねぇんだわ。なのに意思の疎通は出来てやがる。お前から診てもそう感じるなら早めに手ぇ打っとかねぇと、やべぇと思ってな。』
『共感……それは本当ですか？』
『恐らく間違いねぇな。要因にも思い至るしよ。』
『……分かりました。判定とまではいかなくとも、テストしてみます。』

　（〈擁、遵、このおっさん、知ってるか？〉）
　（［知らないです。遵は？］）
　（〔……知らない。〕）

　三人でおっさんを眺める。じいっと見つめた後、揃って首を傾げた。

　その後、三人別々の部屋に入れられた。父さんが出入りして、話をして、少し放置されて。そんなことを何度か繰り返した後、元の部屋に戻された。

『……恐らく、狗狼様の見立て通りかと。』
『やっぱそうか。』
『詳しく検査することをお勧めします。私から当たってみましょう。』
『外部にはバレないように頼みてぇんだけど。無理か？』
『そうですね……、個人的な伝手を頼ればあるいは。』
『じゃ、悪りぃけどその相手の情報、先にくれ。』
『もちろんです。』
『頼んだ。』
『はい。』

　そう言って父さんに又三人纏めて抱えられる。家に帰る途中、車の中で運転しながら告げられた。

「おめぇら、これからは三人でいる時も面倒くさがらず口に出して話せ。」
「なんで？」
「なんででもだ。」
「教えて欲しいです。」
「あとでな。」
「今……。」
「いいか？とりあえず今会った、おっさんのことを母さんに話す。その後でなんで三人でいる時に口に出して話せっつったか理由を教えてやる。分かったか？」

　母さんと一緒に説明してくれるなら、と俺たちは頷いた。この時俺たちはこれから先、面倒なことに巻き込まれるなんて思いもしなかった。