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Hauptteil Akt 15

hundertfünfundvierzig

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 ヘンディルの殲滅が終わり、事後処理は全て部下に任せたフィンレーは中断された蜜月を再開しようとクロエが待つマンションへと戻った。

 そうして久しぶりに婚約者とゆっくりしようとリビングに入ったフィンレーはそこでクロエではなく、ある物に出迎えられ首を傾げた。それはカウンターの隅に、箱が開いた状態で置かれていて明らかに、しまい忘れと思しきものだった。見慣れたそれはパッチ型の避妊薬だった。

 自分たちは蜜月中で子作りをしている最中のはず、当然ながらこんなものは必要ない。どうやって手に入れたのかはこの際どうでも良い。問題は愛しい番が妊娠を望んでないと言う事実だった。そう言えば、常に棘状突起の状態で性交しているのだから妊娠の確率は高いはず。なのに今までクロエに妊娠の兆候は見られなかった。

 もしかして。私との子供が欲しくないのか?

 さぁっと青ざめる。手に取ったまま立ち尽くしていると、シャワーを終えたクロエが入ってきた。そのままフィンレーと手に持つ避妊薬に気付くと困ったような顔をして俯いた。

『……クロエ。君は私との子供を望んでないのか?』
『……違うわ、そうじゃないの。』
『では何故?』
『……子供は欲しいわ。もちろん、あなたの子供よ。でも。』
『でも?』
『今じゃないと言うか。』
『?』

 クロエはソファを指し示すと、フィンレーと隣り合って座り言いにくそうに口を開いた。

『その。私、あなたと両想いになってすぐ、その。したじゃない?』
『ああ。』
『あなたは、私に子供を産んで欲しいって言ってくれた。』
『そうだな、君しか孕ませるつもりはないと言った。』
『~!そう、そうよね。嬉しかった。私も同じ気持ちなの。』
『だったら。』
『……でも、まだ、その。恋人になったばかりだし……二人きりの時間が。欲しくて……。』
『二人きり?』
『パートナーになってからの方が、これからの時間が長いでしょ?それまでメイニーとして過ごす、二人だけの時間がもっと欲しかったの。それに妊娠したら……あなたと出来なくなっちゃう!』
『……。』
『あなたに触れてもらえないのよ?せっかく。』
『セックスが良過ぎて嵌ってきたのに妊娠したら出来なくなって嫌ってことかな?』
『そんなこと言ってないでしょ!』
『いや……言っていると思うが。』
 笑い出したフィンレーにクロエが真っ赤になってそっぽを向く。

『そうか、それは確かにそうだな。でも別に、妊娠中でも出来るよ。』
『え?』
『安定期に入れば。激しくしなければ出来る。』
『そ、そうなの?』
『まぁでも。そうだね。私の子供を孕んだ君は又別の意味で魅力的だろうから、そんな君とのセックスで激しく出来ないからと我慢を強いられることが果たして良いものかどうか。分からないね。だから君の意見も分かるよ。』
『そ、う?』
『因みに妊娠中に後肛を使ったセックスもあるよ。違った快感が得られるそうだから、嵌ることもあるらしい。』
『聞いてないわよ!』
『ははは。まぁ私も経験はないので知識だけだ。』
『……ないの?』
『ん?ああ、ないね。そちらに興味はなかったから。』
『そう……。』
『君になら、興味はあるよ?』
『だから聞いてないってば!』
『私の初めてだ、どうかな?』
『初めてって。』
『アナルセックスは未経験だ。どうする?』
『~!だから!聞いてないって言ってるでしょ!とにかく!当分二人きりでいたいの!メイニーの時間を楽しみたいの!』
『分かったよ。』
『い、いいの?』
『もちろん。私も気が焦っていた。やっと君を手に入れたから早く孕ませて縛りつけておかないと不安でね。でも君が私とメイニーでいる時間が欲しいからもう少し先でと言ってくれたのは嬉しいよ。』
『ありがとう、フィンレー。……黙って避妊してごめんなさい。』
『いや、私の方こそ強引に蜜月に持ち込んで済まなかった。君といつ子供を作るかきちんと話し合うべきだったな。』

 クロエを抱きしめ、柔らかな髪に手を差し込む。

『君が私とのセックスを気に入ってくれて嬉しいよ。』
『もう!』
『子供を作る時期は改めて相談しよう。』
『うん。』

 フィンレーの身体に抱きつき、胸いっぱいにグリーンの匂いを吸い込む。

『フィンレー。私の番。』
 恥ずかしそうにクロエがはにかみながら口にした。初めて番と呼ばれ、言葉に詰まる。

『クロエ、愛しい番。早速愛し合おうか?』
『まだ初心者だから。お手柔らかにね。』
『君は優秀だから。すぐに私は君の下に敷かれると思うよ?』
『もう!』

 くすくす笑い合いながら、そのままゆっくり二人ソファに転がった。
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