【完結】R-18 逃がさないから覚悟して

Hauptteil Akt 10

vierundneunzig

　一通り話が終わると、狗狼が席を立った。アゲンツが護衛に付くが念の為、新を預かると言う。リージョンから帰国次第、そのまま受け入れると言うので任せることにした。ウルの部屋を片付け、そこに住まわせるのだ。

「構わねぇだろ？どうせこのままウルはお前んちに住むんだし。」
「もちろん構わない。」
「ウルの荷物でいる物あったら取りに来い。」
「ああ。聞いておく。」
　言い捨てて、すたすたと去っていく狗狼をフィンレーが眺めた。

「あまり似てないな。」
「……まぁね。」
　それに関しては、苦い思い出が蘇る。クシュダートの頃、あまりに似ていなくてウルのマッシブだと思っていたのだ。マーキングのせいもあって、お互いすれ違ってしまった。ミックスのウルを守る為、今では仕方がなかったことだと分かっている。

「ジェット、アゲンツが派遣されるまで彼に付いてくれ。」
「はい。笹川さん、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。よろしくお願いします。ジェットさん。」
　新がぺこりと頭を下げる。二人をCarmに残し、篤臣とフィンレーはイロフネストへと戻った。