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Hauptteil Akt 9

einundachtzig

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 ウルの瞳がぱちっと開く。篤臣はぐったりと力が抜け、額同士を合わせた。

「良かった。ウル。」
「篤臣くん。」
「気分は?どっか気持ち悪いとか、ない?」
「ん、だいじょぶ。」
「おいで。」

 ベッドに横たえたウルにぴたりと寄り添っていた篤臣は、首の下に腕を差し込むと胸に抱き寄せた。すりすりとウルが頬擦りする。

「びっくりしたー。」
 呑気な声に気が抜ける。

「あの人、誰だったの?」
「……フィンレー・グウェイン。」
「……そっか。フィンレーってリージョンでのお友だちの?」
「そう。」
「……クロエさんの、好きな人?」
「うん。」
「なんか、怒ってた?」
 むむむっと眉を顰め、ウルが唸った。

「いや。多分、動揺したんだと思う。いきなりマッシブで同棲してるって紹介したから。」
「……そっかぁ。むー。」
「ウル?」
「怒ってなかったんなら、これから仲良くなれるかなぁ?」
「……無理に仲良くしなくてもいいよ。」
 ちゅっと唇に吸い付く。

「でも、篤臣くんの親友でしょ?」
「まぁ。そうだね。」
「だったら仲良くしたいなぁ。僕、篤臣くんと新くんが仲良くて嬉しいもん。おんなじ。フィンレーさんと僕が仲良くしたら、篤臣くんも嬉しくない?」
「それは……まぁ。」
「じゃ、僕頑張る。」
「ウル。」
「ただ、威圧は耳と尻尾出ちゃうから、やめて欲しいなぁ……バレちゃう。」
「確かに出てたね、耳。気付かれてないから大丈夫だよ。」
「……篤臣くん、見た?」
「うん、見た。垂れ耳可愛すぎた。すぐ引っ込んじゃったけど。」

 意識を手放した時点で半獣化は解けていた。一瞬だけ現れたウルの垂れ耳はあんな状況じゃなければ存分に堪能したかった。

「威圧浴びちゃうと出ちゃうの。少しなら我慢出来るけど。フィンレーさんの凄かった。」
「怖かったよね?ごめんね?」
「うん……確かに怖かったし、反射的に半獣化しちゃったけど。だいじょぶだよ。僕には篤臣くんがいるもん。」
 きゅっと抱きついてきたウルの小さな頭を撫でる。

「今まではね、避けられなくて威圧浴びちゃっても何とか意識保ってないといけなかったんだ。その間に何されるか分からないから、混乱しててもなんとか踏ん張ってたの。とりあえず逃げて隠れなきゃって。でも……変だよねぇ?そんなこと考える前に、すこんて気絶しちゃった。篤臣くんの側だから安心して気が抜けちゃってるのかなぁ?」

 胸が詰まった。
 そんなふうに。無意識に。自分を信じて全部預けてくれるウルが愛しい。

「それは嬉しいね。」
「ほんと?めんどくない?」
「全然。もっと手が掛かってもいいよ。」
「!!!じゃもっと甘える~!」
 嬉しそうに笑ったウルを見て、泣きそうになる。

 君がずっと笑っていられるように。俺がずっと側にいる。絶対離れない。

「愛してるよ、ウルちゃん。」
「えへへ。僕も。篤臣くん大好き。」
「もっと甘えてね。」
「篤臣くんも、僕に甘えてね。」
 ちゅっちゅっとお互いの唇に吸い付く。そのまま、抱き合ってお昼寝した。

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