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Hauptteil Akt 3
achtunddreißig
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結局その後、初デートはそのままウルの部屋になった。狗狼から色々話を聞いた篤臣は今後出掛けるにしても事前に準備がいると判断したのだ。
「あの。散らかってて。」
「うん?そんなことないよ?」
ウルの部屋はこぢんまりとして狭かった。ブランケットや毛布が至る所で小山を作っている。
「えとね。こうすると落ち着くの。」
言いながらブランケットを被り、包まって座る。ちんまりとしたその姿に内心身悶えた。隣に座るとそのまま抱き上げ、足の間に座らせる。
「俺がいる時はこうしよっか。」
「うん。」
もそもそと中から出てきて振り向いたウルが微笑んだ。癖っ毛でふわふわした髪が乱れて、くしゃくしゃになっている。
「あのね、篤臣くんに一個お知らせがあるんだ。」
「?なに?」
「僕の名前ね、片仮名でウルじゃないの。戸籍ではこう書くの。」
言いながらテーブルに置いたままの携帯を引き寄せ手に取ると、ぽちぽちと打ち始める。画面を見せて「これ。」と指し示す。
「兎瑠?」
「うん。瞳の色がね、瑠璃色なんだ。兎で瑠璃色だから、ウルなの。」
「へぇ。」
なんだ。名前までかわいいな。
「このまんまだと兎ってバレちゃうから。外では片仮名なんだ。ふふふ。内緒ね。」
「~っ!」
きゅっと抱き締めて頬擦りする。
「知ってんの俺だけ?」
「うん。家族以外では篤臣くんだけ。」
「すっごい嬉しい。」
「僕も。知ってもらえて嬉しい。」
ふにゃっと笑ったウルに、ちゅっとキスをする。途端に真っ赤になって固まった。
「ウル。キスいっぱいするから、慣れようね。」
「な、慣れるかな。」
「大丈夫だよ。毎日するから。」
「まいにち?」
「そ。」
にっこり笑って有無を言わさず押し切った。ウルは押しに弱い。多少は強引に行くことにした。
「あの、ぼく。」
「うん?」
「……上手くなりたい。」
「え?」
「キス……上手くなりたい。篤臣くんがしてくれるの、気持ち良いから。僕も気持ち良くなってもらいたい。どうしたらいい?練習とかしたらいい?」
「……練習。」
「うん。」
恥ずかしそうに俯くウルの首筋に、ちゅっとキスをする。びくんと肩が跳ねた。
「練習、俺としようね?」
「えと。でも。」
「ん?駄目だよ?他の誰かとしちゃ。」
「しないよ!」
「じゃ何?ぬいぐるみとか?」
なんで分かったの?とウルが振り向く。
「駄目だよ。ぬいぐるみも駄目。」
「そなの?」
「そ。俺としようね。練習。」
「うん。」
こてんと首を傾げつつ、頷くウルの唇に吸い付く。
「ウル。ウルちゃん。かわいい。」
「ふっ、ふぁ。」
「ウルちゃんのキス。俺だけにしてね。」
「んっ。」
「俺以外としたら駄目だよ。」
「……ふっ。えっ。」
「あー。唇柔らかい。ぷにぷにしてる。」
角度を変えてキスを続ける。くったりと力が抜けたウルを抱き締め抱え込むと続けた。
「好きだよ。」
「んっ。ぼくも。ぼくもすき。」
見上げるウルの瞳が潤んで、きらきらしていた。篤臣の喉が鳴る。
いつまで理性が持つかな。
ウルの唇を味わいながら、篤臣はいつまでも恋人が手放せないでいた。
「あの。散らかってて。」
「うん?そんなことないよ?」
ウルの部屋はこぢんまりとして狭かった。ブランケットや毛布が至る所で小山を作っている。
「えとね。こうすると落ち着くの。」
言いながらブランケットを被り、包まって座る。ちんまりとしたその姿に内心身悶えた。隣に座るとそのまま抱き上げ、足の間に座らせる。
「俺がいる時はこうしよっか。」
「うん。」
もそもそと中から出てきて振り向いたウルが微笑んだ。癖っ毛でふわふわした髪が乱れて、くしゃくしゃになっている。
「あのね、篤臣くんに一個お知らせがあるんだ。」
「?なに?」
「僕の名前ね、片仮名でウルじゃないの。戸籍ではこう書くの。」
言いながらテーブルに置いたままの携帯を引き寄せ手に取ると、ぽちぽちと打ち始める。画面を見せて「これ。」と指し示す。
「兎瑠?」
「うん。瞳の色がね、瑠璃色なんだ。兎で瑠璃色だから、ウルなの。」
「へぇ。」
なんだ。名前までかわいいな。
「このまんまだと兎ってバレちゃうから。外では片仮名なんだ。ふふふ。内緒ね。」
「~っ!」
きゅっと抱き締めて頬擦りする。
「知ってんの俺だけ?」
「うん。家族以外では篤臣くんだけ。」
「すっごい嬉しい。」
「僕も。知ってもらえて嬉しい。」
ふにゃっと笑ったウルに、ちゅっとキスをする。途端に真っ赤になって固まった。
「ウル。キスいっぱいするから、慣れようね。」
「な、慣れるかな。」
「大丈夫だよ。毎日するから。」
「まいにち?」
「そ。」
にっこり笑って有無を言わさず押し切った。ウルは押しに弱い。多少は強引に行くことにした。
「あの、ぼく。」
「うん?」
「……上手くなりたい。」
「え?」
「キス……上手くなりたい。篤臣くんがしてくれるの、気持ち良いから。僕も気持ち良くなってもらいたい。どうしたらいい?練習とかしたらいい?」
「……練習。」
「うん。」
恥ずかしそうに俯くウルの首筋に、ちゅっとキスをする。びくんと肩が跳ねた。
「練習、俺としようね?」
「えと。でも。」
「ん?駄目だよ?他の誰かとしちゃ。」
「しないよ!」
「じゃ何?ぬいぐるみとか?」
なんで分かったの?とウルが振り向く。
「駄目だよ。ぬいぐるみも駄目。」
「そなの?」
「そ。俺としようね。練習。」
「うん。」
こてんと首を傾げつつ、頷くウルの唇に吸い付く。
「ウル。ウルちゃん。かわいい。」
「ふっ、ふぁ。」
「ウルちゃんのキス。俺だけにしてね。」
「んっ。」
「俺以外としたら駄目だよ。」
「……ふっ。えっ。」
「あー。唇柔らかい。ぷにぷにしてる。」
角度を変えてキスを続ける。くったりと力が抜けたウルを抱き締め抱え込むと続けた。
「好きだよ。」
「んっ。ぼくも。ぼくもすき。」
見上げるウルの瞳が潤んで、きらきらしていた。篤臣の喉が鳴る。
いつまで理性が持つかな。
ウルの唇を味わいながら、篤臣はいつまでも恋人が手放せないでいた。
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