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Hauptteil Akt 2

fünfunddreißig

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 二人で個室のテーブルに着くと、乾杯する。どちらもアルコールはあまり得意ではないので、ジュースにした。

「あ、美味しい。」
「そっち、なんだっけ?マンゴー?」
「そう。新くんのは?」
「僕のはパイン。」
 二人でこくこくと飲み干し、お代わりを頼む。チーズやバケット、アヒージョが次々とテーブルに並んだ。二人でちょっとずつ取って味わう。

「美味しいねぇ。」
「うん。当たりだったねぇ。」

 のんびりと会話しながら、口に運ぶ。二人でいて気詰まりになることなど、殆どない。

「ねぇ、ウルくん。」
「ん?」
「違ってたらごめんね。あのさ。」
「うん。」
 もぐもぐ噛みながら新を見ると俯いて言いにくそうに呟いた。

「もしかして、なんかあった?」
「なんか?」
「うん、その。気になって。あの時と一緒な気がして。」
「あの時?」
 のんびりと相槌を打ちながら首を傾げる。ごくんと飲み込むと続きを待った。

「クシュダートでさ、いつだったか忘れちゃったけど。今みたいに落ち込んでる時期、あったから。」
 聡い新はウルの変化に気付いていたらしい。ウルはうろうろと視線を彷徨わせるとグラスを手に取った。一口飲んで、黙り込む。

「何か困ってるなら、話聞くよ。聞くしか、出来ないかもしれないけど。」
 控えめだが気遣った言葉に涙腺が緩む。ほうっと息を吐いて俯いた。

「ありがとう。……えへへ。」
「言いにくいなら、無理しないでね。何か出来ればなって。僕の自己満足だから。」
 慌てて言い募る新の言葉に頭を振った。

「ううん。嬉しいよ。」
 グラスを置くと、俯いたまま話す。

「実はね。その……失恋しちゃって。」
「……。」
「他に好きな人いるって。」
 ぽとん、とテーブルに涙が落ちる。慌てて袖で拭った。

「そっか……。辛かったね。」
「うん。」
「えと。今日はやけ食いしようね?」
「そだね。美味しいものいっぱい食べる。」
「お腹いっぱいになれば、元気になれるよ!」
 下手くそだが温かい励まし。新が友だちで良かったと心から思う。

「ここ、美味しいねぇ。」
「うん。また来ようねぇ。」
 二人で笑い合い、もぐもぐと頬張る。それ以上詳しく聞いてはこない新の優しさがウルにはありがたかった。
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