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Hauptteil Akt 2

vierunddreißig

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「こんにちは、ウルくん。」
 にこにこと笑いながら、あらたが話しかける。ウルも微笑みながら返した。

「こんにちは、新くん。どうだった?ディストリクト。」
 笹川ささかわ あらたは唯一と言えるウルの友だちだった。ミックスであることは当然話していないが大人しく、穏やかで受動的なウルは同じくグラスの新とウマが合った。自然と仲良くなり、クシュダートでは狗狼といるか、新といるかのどちらかだった。今でも、こうやってCarmで会うこともあるし、たまに一緒に出掛けたりすることもある。

「何度も行ってるけど、楽しかったよ。天蒼より、グラスの人も多いから色んな知り合いも増えたし。」
「そうなんだ……。いいなぁ。」
 素直に羨ましいと思う。

「ウルくん、フェイっぽくないから。君みたいに穏やかならすぐ、仲良くなれると思う。」
「そう言われると、嬉しいな。」
 新と会うのは久しぶりだった。少しだけ気分が上向く。

「機会があれば、一緒に行ってみない?ディストリクト。」
「そだね。うん。」
 微笑んで曖昧に返す。もしも体調を崩したり、病気や怪我をしたらウルは深沢の専門医にしか、かかれない。国外に出るのは夢のまた夢だった。左耳のイヤカフにそっと触れる。幼少期からずっと付けているそれはウルにとっては一つの命綱だった。これで心拍数や現在地を記録し追跡している。何かあれば転送先に設定されている狗狼や、専門医に連絡が入る仕組みになっていた。

「お。久しぶりだな、帰ってたんか新。」
「深沢くん、お久しぶり。お子さんたち無事生まれたんだよね?おめでとう。」
「あんがとな。」
「で、良かったらこれ。」
 可愛らしいカゴに、丸い色とりどりのバスボムが入ったものを差し出す。

「無添加で赤ちゃんでも使えるんだ。優しい香りでリラックスも出来るんだよ。間違って飲んじゃっても無害。良かったら。」
「おー。ふみが喜びそうだなー。」
「出産祝いでお子さんたちのは沢山もらうだろうから。ママにどうかなって。」
「相変わらず気が利くなぁ。な、良かったら上に行って直接渡してやってくれよ。子供たちもいるから、顔見てってやってくれ。」
「いいの?」
「ああ。ふみも気分転換になるし。」
「じゃ、お邪魔しちゃおうかな。」
 にこにこと嬉しそうに話す新に手を振り、案内を狗狼に任せると厨房へと戻った。

 夜は新と一緒に食事へ出かける約束をしている。気持ちを切り替えて仕事へと戻った。


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