【完結】R-18 ウチの嫁が最高に可愛い

遥瀬 ひな

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NīnoとHeiとShō〜王道のCarsex談義〜

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 とくとくとく。ちびりちびりちびり。

 彰吾が手酌でガラスの徳利を傾け、冷酒を注ぐ。ぬる燗や熱燗は苦手なので、日本酒を飲む時は年中キンキンに冷やして飲むのが好きだ。喉を通り抜ける冷たさと甘さが堪らない。

「あぁー、これこれ。やっぱ日本酒だよなぁ!」
「オーストラリアじゃ飲まなかったのかよ?」
「手に入りにくいんじゃない?」
「そう!種類は少ないし、高いんだよ!」

 都内某所、和食店の個室。ここはお手頃な値段の割に酒の種類は豊富だし、味も良い。何より、周囲の喧騒を気にせず寛げるよう防音がしっかりされていて店員は呼ぶまで来ない。そんな落ち着ける店に彰吾が皓太と蓓を呼び出したのは、もうすぐ世間では夏季休暇が始まろうかと言う頃だった。

 せっかく日本へ帰ってきて、奇しくも全員同年代の嫁を貰ったのだ。積もる話に嫁自慢もしたくて声を掛けた。皓太と蓓にお互い面識はないが会わせてみれば読み通り気は合うようだし、何より嫁同士が友人だった。付け加えるなら彰吾の嫁、みおは二人の嫁が通う大学に今年入学したばかり。学科は違うが近くに皓太がいるのは何となく心強いと喜んだ。

「なぁなぁ、どうなんだよ?初カノが嫁になった感想は?」
「いやそらもう控えめに言って最高だろ?めちゃくちゃグイグイくるから最初は罰ゲームでも、やらされてんのかって思ったんだけどさぁ。ガチって知ったらなんつうの?可愛いくて可愛いくて!」

 生ビールをジョッキで煽ると、皓太がでれっと鼻の下を伸ばす。どうやら嫁の、ゆいから押せ押せで来られたらしい。シャグを吹かしていた蓓が、ゆったり笑った。

「へぇ。ニーノのお嫁さんは積極的なんだねぇ。」
「どっちかっつうと、そうかな?俺を喜ばそうって全力な感じ?」
「なるほどねー。で、ヘイんとこはどうなの?」
「うん?僕んとこ?そうだねぇ、基本真面目かなぁ。」
「「真面目。」」
「そう。今だに敬語だしねぇ。結婚しても上手く切り替えられてない所が可愛いなぁと思うよ。」
「あー。何と言うか、今までお前の周りにいなかったタイプだな?」
「そうなん?」
「そうだねぇ。うん。まぁ今までは相手を知る前にいつの間にか跨られてたから、知る機会もなかったしねぇ。」

 初めてセックスしたのは中1だった。隣に住む、友達のお姉さんが相手だった。放課後遊びに行ったら友達は留守で、帰ろうとしたら部屋に誘われ美味しく頂かれてしまったのだ。それ以来、何故か女が盛って群がってくるようになった。モテて羨ましいとよく言われてきたが、どれもこれも、こちらの意思を無視して事に及ばれているのだから今考えると性被害に遭っていたとしか思えない。だから自覚するより前に、女性不信だったのだと思う。そんな中、嫁のさなだけは蓓をそんな風に見たことも扱ったことも一度もなかった。

「お前、なんつうか。地雷女ホイホイだったもんなぁ。」
「そうだねぇ、うん。今もまあ、無くなってはないけど。」
「ええ?!今もそうなんか?!」

 焼き鳥の串に齧り付いていた皓太が飛び上がる。それを見て、蓓が苦笑した。

「まぁねぇ。でも今は、さなちゃんが撃退してくれるんだよねぇ。子猫みたいに威嚇しちゃって、可愛いんだぁ。たまんないよねぇ。」

 頬を緩める蓓を見て、彰吾が笑う。

「へぇ、お前が結婚するなんて正直想像もつかなかったけど。良い子みたいだな。」
「まぁねぇ。」
「うちの嫁と仲良いんだよな、いつも一緒にいるし。」
「さなちゃん、大学ではどんな感じ?」

 蓓が眉間に僅かな皺を寄せて皓太に問いかける。焼き鳥を咀嚼し飲み込んだ皓太が、へらっと笑って答えた。

「元々ガード固いからな、それに加えて、いつも一緒にいるのは俺の嫁だし。だから俺が見掛けると必ず声掛けるだろ?今では囲まれることもないな。」
「……囲まれてたんだ、今まで。ふぅん。」
「まぁなぁ、俺んとこもそうだけど。ヘイの嫁も可愛いだろ?まぁ人気高いしな。」
「……。」
「おい。」
「あ?なに?」
「みおは?」
「……ああ!お前の嫁か。」
「そうだよ!今年外語科に入学したばっかなんだ!悪い虫とか湧いてないだろうな?!」
「あー、それは大丈夫。周りアメリカや韓国、フランスからの留学生ばっかで囲まれてるからさ。近寄りにくいんじゃねぇの?」
「その留学生の中に、男はいないだろうな?!」
「いやまぁ、いるっちゃいるけども。」
「いるのか?!」
「余裕ないねぇ、あのショウが。意外。」
「んなもんあるか!みおはめちゃくちゃ可愛いんだ!何のために入籍だけ先にしたと思ってやがる!」
「わーお。」
「気持ちは分かるが、男はいてもショウの嫁の友達がそいつの彼女とか?そんな感じだぞ?」
「そうか……。ニーノ、見かけたら、みおにも声掛けて牽制してくれ。」
「へいへい。」

 苦笑いする皓太を見て、蓓も苦笑する。ここにいる三人が三人とも、嫁にめろめろだった。

 一頻り酒を酌み交わし、程よく酔いも回った頃。皓太がぽつりと口にした。

「ところでさぁ、お前ら子供とか考えてる?」
「うーん、出来たら?その時は産ませるって感じかなぁ?特にいつ作ろうとか考えてないかも。」
「右に同じくだな、当分新婚楽しみたい。つっても避妊はしてねぇから、いつ出来るか分かんないって感じ。」

 蓓に続いて彰吾が答えると、皓太が頷いて続けた。

「ウチもそんな感じなんだけどよぉ。あ、出来たかも?って思っても外してっての繰り返すとさぁ、中々難しいもんなんかなぁ?妊娠って。」
「仲良すぎると、出来にくいって聞いたことあるけどな。」
「どうなんだろうねぇ。すぐに欲しいわけじゃないけど、外すの繰り返してたら気にはなるよねぇ。僕んとこもそう。セックスしまくってるけど避妊してないし。でも妊娠もしてないなぁ。」
「しまくってんのかよ?!まぁ、俺もみおとしまくってるけど。確かに出来ねぇな。」
「なんだ、お前らもそうなんだ。じゃあ気にすることないか。」

 ほっと息を吐いた皓太に、蓓が咥えていたシャグを消しウィスキーを煽った。

「気になるならシチュ変えたら?」
「?例えば?」
「そうだなぁ、いつも家ならホテルとか?今からの季節ならグランピングとか行ってもいいし。手っ取り早いのは車だねぇ。環境変えたら、意外にすぐとか、あるって聞くよ?」
「「くるま。」」
「そ。まぁ、今どき車持ってる人少ないけど。所謂密室空間じゃない?しかも狭くて動きが制限されてままならないし。なのに一度ドアを開ければ見知らぬ人が、そこら中にいるわけだよ。興奮するよねぇ?」
「なにヘイ、お前やったの?」
「んー。秘密。」
「教えろよ!」
「とりあえず、控えめに言って最高だった。」
「「……。」」
「あんま揺らすとバレるしさぁ。声も出せないじゃない?狭くていつも以上に密着するし。外は喧騒ってさ、緊張感あるよねぇ。」
「おま!なんつう羨ましい!」
「車持ってんの?!」
「うんまぁ、一応?言っても、そろそろ手放そうと思って。その前にドライブ連れて行った先でって感じ?」
「へー。」
「まぁ、持ってないならレンタルしたら?要は汚さなきゃ良いんだよ。」
「……。」

 そこまでするか?と思いつつ、興味はある。皓太と彰吾はお互いを、ちらっと見やった。

「車の維持費考えるとさぁ、シェアとかレンタルのが安上がりなんだよねぇ。しかも乗りたい車選べるし、金額の折り合いつけば、高級車も乗れるじゃない?」

 都内に住んでいれば公共交通機関もタクシーもあって不便はない。買い物だってネットスーパーを使って家まで宅配が主流だし、遠出する時は新幹線や飛行機だ。それだって移動に自分の車がなくても困らない。だから今まで車なんて持たなかったし、実際蓓も手放す事にしたらしいが。

 確かにドライブがてら、良い車を借りてデートして。ついでにカーセックス。萌えるな、それ。

「……俺、今度どんな車乗れるか調べてみるわ。」
「俺も……。身体おっきいから、デカいやつにするかな。」
「キャンピングカーとか、面白いかもねぇ。元々ベッドあるし。」

 ぴくりと皓太が肩を揺らす。彰吾が蓓をちらっと見た。

「なぁ……。それぞれ車借りて、一緒にグランピングとか行かねぇ?もちろん嫁連れて。」
「いいな、それ。」
「僕は構わないよ?」
「じゃあ、早速プラン練ろうぜ!」

 うきうきと三人で額を突き合わせ、話し合う。彰吾がタブレットを出し、皓太がスマホでレンタカーを調べ始めた。蓓がシャグを咥えて思案する。

「グランピング、当然三棟借りるよねぇ。出来れば温泉付きがいいなぁ、僕。」
「「いいな。」」

 都内から車で行ける範囲で検索する。とりあえず、夏季休暇に入ったら。各々可愛い嫁を連れ六人で旅行しようと語り合った。
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