kyun

伊藤龍太郎

文字の大きさ
上 下
1 / 4

起句

しおりを挟む
「8時40分。・・・やばい!寝坊した~。」とベットから飛び起きたのは,勉強はできるが、恋にも時間にもルーズな高校2年生の山村菜乃花だ。
菜乃花は,急いで支度をして家を出た。
 学校に着くと既にI限目が始まっていた。
扉をガラガラと開けて中に入ると英語の教科担当で菜乃花のクラスの担任である
河野大悟が「山村!今日も遅刻か!今週だけで3回目だぞ。」と少し怒り気味に言った。
「すみません。」と謝りながら菜乃花は自席に座った。
すると、右隣の席の浜田大樹が「もう少し
早く起きろよ。」と茶化してきた。
菜乃花は慣れたように「うるさい」と言って授業モードに入った。

しばらくして4限目が終わり、昼休みに入った時菜乃花の中学からの友人である
玉田沙耶香が「ねぇ、菜乃花ってさ。
遅刻が多いのによくテストで点数取れるよね~。」と話しかけてきた。
実際に、菜乃花は高校に入ってから一度も90点未満を取ったことがないのだ。
すると菜乃花は「沙耶香はさ~。遅刻もしてなければ、授業で寝てるわけでもないのによく赤点のラインギリギリの点ばっかり取れるよね~。」と嫌味で返した。
すると「菜乃花!悪い癖出てるよ!」と沙耶香に諭されてすぐにハッと我に帰った。
「あぁ~ごめん。沙耶香は沙耶香で一生懸命やってるんだよね?ホントにごめん。」と謝ると沙耶香は「全然気にしてないから。もう四年の付き合いなんだからいちいちそんなことで怒らないよ!」と言って笑った。
しばらく話しているとチャイムが鳴り、
5限目が始まった。

学校が終わり、菜乃花は一人で帰っていた。いつもは沙耶香と帰っているのだが、沙耶香は生徒会に入っていてこの日は仕事が入っていたのだ。
菜乃花が校門を出て角を曲がった時、大樹にバッタリ会った。
菜乃花は「誰か待ってるの?」と聞くと「別に。」と一言返事をすると足早に去っていった。
大樹は菜乃花を待っていたのだが、不器用な性格のために咄嗟に嘘をついたのだ。

大樹は家に帰り,自分の部屋に入るとベットにバタッと倒れてハァ~とため息をつき「また嘘をついてしまった。」と呟いた。大樹はこの日だけでなく過去に10回ほど同じことをしているのだ。

次の日菜乃花はI限目がまでに学校に着くことができた。
すると大樹が入ってきた。
「おはよう!」と菜乃花が明るく言ったが大樹からは「ん。」という一言だけ返ってきた。
すると「あのさ,私がおはようって言ったんだからちゃんとおはようって返しなさいよ!何よ「ん」って!」と怒った。
すると大樹は「おはよう」と言い直した。
その後一限目が始まり,菜乃花は筆記用具を出してノートにメモを始めた。
授業が中盤に差し掛かった頃菜乃花はメモの誤りに気づいて消しゴムで消そうと筆箱の中を見たが,消しゴムは見当たらなかった。菜乃花は「どうしよう。消しゴムがない。」と考えてると横から大樹が消しゴムを差し出してきた。
「ん。貸してやるよ。俺もう一個持ってるし。」と言って授業に戻った。
菜乃花は,「ありがとう」と小さく呟いた。この時を境に菜乃花は大樹のことを気にするようになった。
2限目の体育は男女合同で陸上種目だった。
大樹はクラスの中で1位2位を争うほどの足の速さを持っていた。
一方の菜乃花はワースト1位2位を争うほどの足の遅さを持っていた。
菜乃花は大樹が走っている姿をぼーっと見ていた。
すると「山村!集中しろ!」という先生の怒号が飛んできて菜乃花は我に返った。
この時菜乃花は「大樹のことが好きである」ことに気がついた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

会うたびに、貴方が嫌いになる

黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。 アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

私だけが赤の他人

有沢真尋
恋愛
 私は母の不倫により、愛人との間に生まれた不義の子だ。  この家で、私だけが赤の他人。そんな私に、家族は優しくしてくれるけれど……。 (他サイトにも公開しています)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する

真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

処理中です...