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第四章 ウージスパイン魔術大学校
2/魔術大学校 -15 初指導
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冬華寮の食堂で質問攻めにされながら夕食を取ったあと、俺とイオタはシィを連れて外へ出た。
太陽は既に沈み、灯術の明かりだけが周囲を照らし出している。
酔狂な見物人が数名、寮の窓からこちらを窺っていた。
「──イオタの実力を、正しく測っておこう」
剣術教室から借りてきた木剣をイオタに渡す。
「これで、俺に打ち込んでみろ。ただし、本気でだ」
「え──」
イオタが、戸惑う。
「カタナさん、武器が」
「気にする必要はねえよ」
「で、でも……」
「──…………」
あえて厳しい顔を作る。
「お前の師は、素人の一振りに当たるほど弱くはない」
「!」
「打ってこいよ、イオタ=シャン。殺す気でだ」
「……わかり、ました」
イオタが木剣の柄を握り込む。
その目には意志の輝きが宿っていた。
「ぴぃ!」
シィの鳴き声を合図に、
「──たああああッ!」
イオタが、テオ剛剣流の構えから、遠慮のない一撃を繰り出した。
だが、遅い。
型通りの一撃だが、爪の先から指の先へ至るまで、すべてが連動していない。
「やあッ!」
バラバラだから、遅い。
バラバラだから、威力がない。
バラバラだから、体勢が崩れる。
三撃、四撃、五撃──
観察しながら、避け続ける。
俺は、イオタの息が上がったのを見て、一度大きく距離を取った。
「はい、そこまで」
「──はッ、はあ……、はあ……」
「咳は大丈夫か?」
「は、……はい、今はぜんぜん……。それで、……ど、どうですか?」
「お世辞は言わねえぞ」
「……はい。現実を、受け止めます」
繕わず、そのままを告げる。
「級位以前の問題だ。徒弟級未満。勘の良い素人より、弱い」
「──…………」
覚悟はしていてもショックだったのか、イオタが歯噛みする。
「確認したいことがある」
「……はい」
「イオタ、体操術を使ってるな?」
「は、はい。いちおう。すこしでも、と思って……」
「わかった。次は、体操術を使わずに打ち込んでこい」
「使わずに、ですか?」
「ああ」
「……わかりました」
イオタが、再び木剣を握る。
「──たあッ!」
その一閃は、先程より幾分かましなものだった。
動きはたしかに鈍い。
元より遅いものから体操術を抜いたのだから、当然だ。
だが、今度は全身がしっかりと連動している。
故に、結果的には、剣の速度は元と大差ない。
無理な体操術によって体勢が崩れないぶん、こちらのほうがましだ。
「なるほどな」
木剣を片手で受け止め、告げる。
「今この瞬間から、体操術の使用を禁ずる」
「えっ」
「テオ剛剣流の型と、体操術。どちらも未熟なのに、どちらもこなそうとするから、どっちつかずで身につかないんだよ。右手で板書を書き写しながら、左手で絵を描くようなもんだ。できるか?」
「で、できません……」
「そういうことだ」
「なるほど……」
まあ、世の中はできるやつで溢れているけれど。
「基本的な型は、テオ剛剣流のままで行く。初等部から学んで体に叩き込まれているはずだ。俺の我流は型がないし、教えようがないからな」
「あの、燕双閃・自在の型は……」
「あれは、俺にしかできない技だ。いちおうその前段階として、燕返しってのはあるけどな。ほら、さっき皆の前で披露したやつ」
「斬り下ろしから斬り上げへと転じるやつですよね」
「その通り。でも、燕返しって、必殺技でもなんでもないぜ。素直にテオ剛剣流を練習したほうが──」
「教えてください!」
イオタが深々と頭を下げる。
「燕返し、習得したいです!」
「──…………」
今日学んだテオ剛剣流の型を思い出す。
肩の上で木剣を構え、そのまま振り下ろす。
テオ剛剣流は一撃必殺。
本来は、避けられないタイミングで相手の隙に叩き込んだり、重量のある両手剣などで防御の上から叩き切るような、豪快な流派なのだろう。
つまり、連撃という概念が薄い。
一撃同士のやり取りの中で、連撃を放つものが現れたら、面白いかもしれない。
「わかった、教える」
「!」
イオタが、目を輝かせながら顔を上げる。
「ただし、筋肉をぶっ壊してからだ」
「筋肉を……?」
「ぶっ壊した筋肉は、繋ぎ直せば太くなる。今後、筋力トレーニングと技術トレーニングを隔日で交互に行っていく。今日は筋力トレーニングだ。体操術で甘やかした肉体を、徹底的に痛めつける。気管のことがあるから、持久走なんかはなしにするけどな」
「だ、大丈夫です!」
「駄目だ。お前、無理をすることが強さへの近道だと思ってるだろ」
「──…………」
「それは、違う。それじゃあただの精神論だ。効率的で正しいトレーニングを積み重ねる。それ以外に強くなる道なんてない。覚悟の一つですぐさま覚醒なんて、そんな物語みたいなことは起こらない。長く、険しい。一歩一歩進んで行くしかない。それが、お前の選んだ道だ」
「……はい!」
顔に出ないよう、自嘲する。
[羅針盤]も、[星見台]も、神眼も、ポンと与えられた身で何を言っているんだか。
だが、この言葉に嘘はない。
本来、強くなることに、近道なんて存在しないはずなのだ。
「じゃあ、そうだな」
思案し、最初のメニューを吟味する。
「まず、腕立て伏せを二百回から」
「にひゃ──!」
イオタが目をまるくする。
「た、体操術なしで、ですよね」
「俺は、毎日朝晩やってるぞ。ヤーエルヘル背中に乗せて」
「えっ、羨ましい……」
こういうところは年頃の男の子なんだよなあ。
「ヤーエルヘルを背中に乗せたきゃ、頑張ることだな。今のままだと潰れて一回もできないだろ」
「そうですね……」
「ほら、さっさと始める! 俺も隣でやるから」
「はい!」
「ぴィ!」
シィが、イオタの頭に飛び乗り、高らかに鳴いた。
イオタの肉体改造計画の始まりである。
太陽は既に沈み、灯術の明かりだけが周囲を照らし出している。
酔狂な見物人が数名、寮の窓からこちらを窺っていた。
「──イオタの実力を、正しく測っておこう」
剣術教室から借りてきた木剣をイオタに渡す。
「これで、俺に打ち込んでみろ。ただし、本気でだ」
「え──」
イオタが、戸惑う。
「カタナさん、武器が」
「気にする必要はねえよ」
「で、でも……」
「──…………」
あえて厳しい顔を作る。
「お前の師は、素人の一振りに当たるほど弱くはない」
「!」
「打ってこいよ、イオタ=シャン。殺す気でだ」
「……わかり、ました」
イオタが木剣の柄を握り込む。
その目には意志の輝きが宿っていた。
「ぴぃ!」
シィの鳴き声を合図に、
「──たああああッ!」
イオタが、テオ剛剣流の構えから、遠慮のない一撃を繰り出した。
だが、遅い。
型通りの一撃だが、爪の先から指の先へ至るまで、すべてが連動していない。
「やあッ!」
バラバラだから、遅い。
バラバラだから、威力がない。
バラバラだから、体勢が崩れる。
三撃、四撃、五撃──
観察しながら、避け続ける。
俺は、イオタの息が上がったのを見て、一度大きく距離を取った。
「はい、そこまで」
「──はッ、はあ……、はあ……」
「咳は大丈夫か?」
「は、……はい、今はぜんぜん……。それで、……ど、どうですか?」
「お世辞は言わねえぞ」
「……はい。現実を、受け止めます」
繕わず、そのままを告げる。
「級位以前の問題だ。徒弟級未満。勘の良い素人より、弱い」
「──…………」
覚悟はしていてもショックだったのか、イオタが歯噛みする。
「確認したいことがある」
「……はい」
「イオタ、体操術を使ってるな?」
「は、はい。いちおう。すこしでも、と思って……」
「わかった。次は、体操術を使わずに打ち込んでこい」
「使わずに、ですか?」
「ああ」
「……わかりました」
イオタが、再び木剣を握る。
「──たあッ!」
その一閃は、先程より幾分かましなものだった。
動きはたしかに鈍い。
元より遅いものから体操術を抜いたのだから、当然だ。
だが、今度は全身がしっかりと連動している。
故に、結果的には、剣の速度は元と大差ない。
無理な体操術によって体勢が崩れないぶん、こちらのほうがましだ。
「なるほどな」
木剣を片手で受け止め、告げる。
「今この瞬間から、体操術の使用を禁ずる」
「えっ」
「テオ剛剣流の型と、体操術。どちらも未熟なのに、どちらもこなそうとするから、どっちつかずで身につかないんだよ。右手で板書を書き写しながら、左手で絵を描くようなもんだ。できるか?」
「で、できません……」
「そういうことだ」
「なるほど……」
まあ、世の中はできるやつで溢れているけれど。
「基本的な型は、テオ剛剣流のままで行く。初等部から学んで体に叩き込まれているはずだ。俺の我流は型がないし、教えようがないからな」
「あの、燕双閃・自在の型は……」
「あれは、俺にしかできない技だ。いちおうその前段階として、燕返しってのはあるけどな。ほら、さっき皆の前で披露したやつ」
「斬り下ろしから斬り上げへと転じるやつですよね」
「その通り。でも、燕返しって、必殺技でもなんでもないぜ。素直にテオ剛剣流を練習したほうが──」
「教えてください!」
イオタが深々と頭を下げる。
「燕返し、習得したいです!」
「──…………」
今日学んだテオ剛剣流の型を思い出す。
肩の上で木剣を構え、そのまま振り下ろす。
テオ剛剣流は一撃必殺。
本来は、避けられないタイミングで相手の隙に叩き込んだり、重量のある両手剣などで防御の上から叩き切るような、豪快な流派なのだろう。
つまり、連撃という概念が薄い。
一撃同士のやり取りの中で、連撃を放つものが現れたら、面白いかもしれない。
「わかった、教える」
「!」
イオタが、目を輝かせながら顔を上げる。
「ただし、筋肉をぶっ壊してからだ」
「筋肉を……?」
「ぶっ壊した筋肉は、繋ぎ直せば太くなる。今後、筋力トレーニングと技術トレーニングを隔日で交互に行っていく。今日は筋力トレーニングだ。体操術で甘やかした肉体を、徹底的に痛めつける。気管のことがあるから、持久走なんかはなしにするけどな」
「だ、大丈夫です!」
「駄目だ。お前、無理をすることが強さへの近道だと思ってるだろ」
「──…………」
「それは、違う。それじゃあただの精神論だ。効率的で正しいトレーニングを積み重ねる。それ以外に強くなる道なんてない。覚悟の一つですぐさま覚醒なんて、そんな物語みたいなことは起こらない。長く、険しい。一歩一歩進んで行くしかない。それが、お前の選んだ道だ」
「……はい!」
顔に出ないよう、自嘲する。
[羅針盤]も、[星見台]も、神眼も、ポンと与えられた身で何を言っているんだか。
だが、この言葉に嘘はない。
本来、強くなることに、近道なんて存在しないはずなのだ。
「じゃあ、そうだな」
思案し、最初のメニューを吟味する。
「まず、腕立て伏せを二百回から」
「にひゃ──!」
イオタが目をまるくする。
「た、体操術なしで、ですよね」
「俺は、毎日朝晩やってるぞ。ヤーエルヘル背中に乗せて」
「えっ、羨ましい……」
こういうところは年頃の男の子なんだよなあ。
「ヤーエルヘルを背中に乗せたきゃ、頑張ることだな。今のままだと潰れて一回もできないだろ」
「そうですね……」
「ほら、さっさと始める! 俺も隣でやるから」
「はい!」
「ぴィ!」
シィが、イオタの頭に飛び乗り、高らかに鳴いた。
イオタの肉体改造計画の始まりである。
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