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四章
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自身の欲望のまま動いたマドレーヌに幸せは訪れることはなかった。
ステファンはフランソワーズに出会わなければ、完全に悪魔に乗っ取られてしまいマドレーヌのようになっていた可能性が高いということになる。
(ステファン殿下が無事で本当によかった……)
フランソワーズはステファンを救い、ステファンはフランソワーズを助けてくれた。
あの場で国外に出ようと思った自分の選択が正しかったのだと思わせてくれる。
「もしあのタイミングでフランソワーズに出会えなかったと思うと恐ろしいよ」
「……わたくしもステファン殿下とオリーヴ王女殿下を救えて心からよかったと思っています」
「だけどまさかフランソワーズが宝玉を破壊してしまうなんて驚きだったな。とても強い悪魔だったのだろう?」
「わたくしも驚きでしたわ。まさかこんなことができたなんて……」
フランソワーズは自分の手のひらを見つめていた。
ずっと祈りを捧げて宝玉を守ってきたのだが、まさか壊せるほどに力が強まっていたとは驚きである。
ステファンに憑いていた悪魔やフェーブル王国の悪魔を祓っているうちに、知らず知らずの間にフランソワーズの力が強まっていったのかもしれない。
無意識に物語のマドレーヌと同じことをしていたので辻褄が合っているといえるだろう。
フランソワーズは宝玉が消えてスッキリした気分だった。
そして、シュバリタイア王国がフェーブル王国に統合されて一カ月ほど経った時のことだった。
やっと落ち着いてきたことでフランソワーズは久しぶりにステファンと共に夕食を共にしていた。
食後にゆっくりと紅茶を飲んでいた。
突然、ステファンにテラスに出るように誘われたフランソワーズは彼に手を引かれて歩き出す。
月明かりが優しく辺りを照らしている。
星が広がり、少しだけ冷たい風がフランソワーズの頬を撫でる。
その場に跪いたステファンはフランソワーズを見上げながら手を取った。
彼の真剣な表情にフランソワーズの心臓は高鳴っていく。
「フランソワーズ、僕と結婚してください」
フランソワーズはステファンの目を見つめながら答えた。
「はい、もちろん」
フランソワーズはステファンに思いきり抱きついた。
ステファンはフランソワーズを軽々と抱え上げて立ち上がる。
そのまま顔が近付いていき、唇が軽く触れた。
フランソワーズはステファンの首に手を回すと、もう一度キスをしたのだった。
ステファンは、改めて指輪をプレゼントしたいと言ったが、フランソワーズはステファンがプレゼントしてくれたこの指輪が気に入っていた。
その後すぐに二人でフェーブル国王と王妃の元に報告に向かう。
二人は喜び、その知らせはすぐに広がりをみせた。
フランソワーズがステファンと結婚することに誰も反対する者はいなかった。
フランソワーズがフェーブル王国で積み重ねた実績やオリーヴとステファンを救い、民たちにも慕われていることも大きくかかわっている。
何よりも喜んでいたのはオリーヴやフェーブル国王、王妃だった。
今までずっと苦しんでいたステファンが心から愛する人と幸せを掴んでくれたことが嬉しいようだ。
フランソワーズも愛のある相手と結婚ができることに幸せを感じていた。
そして今はフランソワーズの希望でフェーブル王国でも妃教育を受けている。
ステファンは婚約期間を設けずにすぐにでも、と言ったのだがフランソワーズはそうはいかないと待ってもらっていた。
やるならばステファンの隣に立っていても恥ずかしくないようにしたいと説明していた。
ステファンはフランソワーズに出会わなければ、完全に悪魔に乗っ取られてしまいマドレーヌのようになっていた可能性が高いということになる。
(ステファン殿下が無事で本当によかった……)
フランソワーズはステファンを救い、ステファンはフランソワーズを助けてくれた。
あの場で国外に出ようと思った自分の選択が正しかったのだと思わせてくれる。
「もしあのタイミングでフランソワーズに出会えなかったと思うと恐ろしいよ」
「……わたくしもステファン殿下とオリーヴ王女殿下を救えて心からよかったと思っています」
「だけどまさかフランソワーズが宝玉を破壊してしまうなんて驚きだったな。とても強い悪魔だったのだろう?」
「わたくしも驚きでしたわ。まさかこんなことができたなんて……」
フランソワーズは自分の手のひらを見つめていた。
ずっと祈りを捧げて宝玉を守ってきたのだが、まさか壊せるほどに力が強まっていたとは驚きである。
ステファンに憑いていた悪魔やフェーブル王国の悪魔を祓っているうちに、知らず知らずの間にフランソワーズの力が強まっていったのかもしれない。
無意識に物語のマドレーヌと同じことをしていたので辻褄が合っているといえるだろう。
フランソワーズは宝玉が消えてスッキリした気分だった。
そして、シュバリタイア王国がフェーブル王国に統合されて一カ月ほど経った時のことだった。
やっと落ち着いてきたことでフランソワーズは久しぶりにステファンと共に夕食を共にしていた。
食後にゆっくりと紅茶を飲んでいた。
突然、ステファンにテラスに出るように誘われたフランソワーズは彼に手を引かれて歩き出す。
月明かりが優しく辺りを照らしている。
星が広がり、少しだけ冷たい風がフランソワーズの頬を撫でる。
その場に跪いたステファンはフランソワーズを見上げながら手を取った。
彼の真剣な表情にフランソワーズの心臓は高鳴っていく。
「フランソワーズ、僕と結婚してください」
フランソワーズはステファンの目を見つめながら答えた。
「はい、もちろん」
フランソワーズはステファンに思いきり抱きついた。
ステファンはフランソワーズを軽々と抱え上げて立ち上がる。
そのまま顔が近付いていき、唇が軽く触れた。
フランソワーズはステファンの首に手を回すと、もう一度キスをしたのだった。
ステファンは、改めて指輪をプレゼントしたいと言ったが、フランソワーズはステファンがプレゼントしてくれたこの指輪が気に入っていた。
その後すぐに二人でフェーブル国王と王妃の元に報告に向かう。
二人は喜び、その知らせはすぐに広がりをみせた。
フランソワーズがステファンと結婚することに誰も反対する者はいなかった。
フランソワーズがフェーブル王国で積み重ねた実績やオリーヴとステファンを救い、民たちにも慕われていることも大きくかかわっている。
何よりも喜んでいたのはオリーヴやフェーブル国王、王妃だった。
今までずっと苦しんでいたステファンが心から愛する人と幸せを掴んでくれたことが嬉しいようだ。
フランソワーズも愛のある相手と結婚ができることに幸せを感じていた。
そして今はフランソワーズの希望でフェーブル王国でも妃教育を受けている。
ステファンは婚約期間を設けずにすぐにでも、と言ったのだがフランソワーズはそうはいかないと待ってもらっていた。
やるならばステファンの隣に立っていても恥ずかしくないようにしたいと説明していた。
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