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第4章 開戦の火蓋 美貌で私に勝てる女性は存在しない

7、読者モデルのヒエラルキー、中央に行くほど美しい……美しい

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5月14日の日曜日の午後、読者モデルの撮影会は、都内で最も華やぐ渋谷のファッションビルで行われる。

日曜日ということもあり、ビル周辺には十代の若い子達が溢れかえるほどに、それはもう本当に大勢集まっていた。
時々刻々と流れてゆく彼ら彼女らを眺めていると、日本の何処にこれだけの若者が隠れていたのだろうと思えてしまう。
もちろん一日中眺めていても目にすることのできる数なんて一万人にも満たないのだろうけれど。

園子「はぁ……」

大勢の中に埋もれ、自分が希薄に感じられて気が遠くなりそうだ。
撮影場所で待ち合わせていた園子は、ビルの5階フロアを直接訪れた。
まばゆいパステルカラーをふんだんに使用した人気ブランドのエリアを通り過ぎると、目的の場所に到着する。
撮影会のためにセットアップされた特設スペースには、既にほとんどのグループの子達が集まっている。

ピィピィ、ガヤガヤ!
ピィピィピィ!
ザワザワザワ……。

園子「うっ……うわぁ……」

大量の小鳥が一斉に囀っているような賑わいの中、皆それぞれ気合の入ったお化粧と、お気に入りブランドの最新作で身を包んでいる。

フワリ。
フレグランスの爽やかな香りがフロアを包む。
撮影会というから、もっと人気の無い場所で順番に写真を撮られて終わりくらいに思っていた園子は、華々しい雰囲気に圧倒される。

パシャ!
パシャ、パシャ!
パシャッ!

女の子たちが大勢集まり、賑やかで楽しそうにしている姿をカメラマンの人達が次々とフォトに収めていく。
「ハイチーズ」と言われて表情を作るよりも、楽しそうに騒いでいる姿を撮影したほうが自然だし、魅力的に写せるのだろう。
読者モデルの女の子達もそれを分かっているから、あざとく立ちまわっている。

園子「なんだか近寄りがたくて圧倒されるなあ……」
会場の隅のほうに集まっている青葉の面々を見つけると、そそくさとグループの中に入ってゆく。

園子「みんな、おはよー。読モ撮影会ってすっごいね……。こんなに迫力あるなんて知らなかった」
気の小さい園子は会場の雰囲気にすっかり呑み込まれていた。
京子「うん……おはよ……」
普段は強気で姉御っぽい言葉で喋る京子も、今はさすがに大人しい。
どこか強張った表情のままじっと黙っている。
緊張しているのかもしれない。

園子「フゥ……それにしても……」
園子は改めて周囲の様子を伺った。

自分と同じくらいの年齢の子達が所狭しとフロアに集まってくる。フロアの一角には、撮影機材やら暗幕やらレフ版やらの撮影セットが置かれており、独特の雰囲気を醸し出す。
ビルを訪れた何も知らない一般客が、エスカレータで5階を通過するとき、「なに? 今日何かあるの?!」と口々に言い合い、次々と足を留めてゆく。
今やこのフロアはライブ会場かと思うほどに若い子達が集まっていた。

そんな中、青葉のライバルとなる慶葉付属のメンバーも既に全員が揃っており、香奈多紗枝の妹らしきひと際目立つ少女を中心に、フロアの中で最も目立つ中心に陣取っていた。

京子「何アレ? 既に女王気取りって感じ?」
開口一番、京子がブー垂れた。

慶葉の彼女達の方を見ると、楽しそうにメンバー同士で互いの写真を撮り合っている。
すでに華やかな場の雰囲気馴染み、京子を始めとする青葉のメンバーのように雰囲気に押された感じは全くない。
きっと「自分たちが一番」だと思っているのだろう。

そんな彼女達の自信もあながち過信ではなさそうだ。
実際、フロアの中にあって、ひと際目立つまばゆい華があるのだ。
他のフロアの若い店員達も顔を出し、彼女達と楽しそうに談笑している。
何となくではあるけれど、フロアの中心にいくほど綺麗な子達になっていく気がする。

園子「……」
外側のレーンから一つ内側に入るだけで、華やかさが一段階上昇している。
さらにその内側に入れば、華やかさに美しさが添えられる。
さらにその内側は……。
園子は自分のアンテナで読モ撮影会のヒエラルキーを感じ取った。

一方で京子たち青葉のメンバーはフロアの隅っこにいる。
綺麗な人達の輪の中に入れてもらえず、まるで弾き出されたかのようだ。
園子「ハァ~」
溜息が漏れてしまう。


☆-----☆-----☆-----

「蓮華のステータス」

1,命の残り時間  
        :1年と2週間くらい

2,主人公へ向けた想い 
         :トラウマ・レベル

3,優先順位   
  :京くん >> お弁当 > 処刑

4,希望        :★☆☆☆☆
5,美貌        :★★★★★
6,興味ないこと :読者モデルコンペ

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