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第3章 蓮華、残り時間、1年と3か月を切る! 眼前に広がる熾烈なスクールカースト

12、蓮華、主人公と同じクラスになる

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「もう蓮華やぁめて!」

グイッ。
耳たぶを噛まれてコリコリされるがまま、そして髪の匂いをスンスン嗅がれるままの結衣は、身をよじって私を押し返してきた。

ぐっ!
結構力が入っている。

お?
やんのか、おめぇ。

私は押し返されることなく結衣をぎゅっと抱きしめると、耳元で囁いた。
「んで、岬は、何組になったの?」
問いかけとともに、私の鼻息が結衣のうなじの辺りに当たって、産毛が微かに揺れた。

「フヒ……さあ? 自分で見てくれば、蓮華。あなたの隣を歩いてくれる数少ない友達の一人でしょ?」
結衣が悪びれることなくそう言うと、私の縛りからスルリと抜けた。
春のそよ風に吹かれて、胸の辺りが少しだけ肌寒く感じられる。


「何よ、ソレ」


数少ない友達の一人、か。
……。
……ふふ。
それもそうね。


桜の香りが残る春の風は、新しい空気を私の鼻孔へ運んでくれる。
期待感と希望に満ちた独特の香りだ。
遠くの方から、木々の葉が擦れ合うサヤサヤとした音が聞こえてくる。
学校名に恥じない瑞々しい新緑たちも、どこか浮ついた私達を祝福してくれた。
そうこうしているうちに掲示板の前が空いてくる。

「……」
私はどうしてもこの目で直接確かめたいことがある。
結衣とのやり取りをそこそこに切り上げると、私は一人で掲示板の下へ向かう。
結衣はそんな私の後ろ姿を見つめるだけで、追っては来なかった。

私が掲示板の傍まで行くと、前に居た生徒達は道を開けてくれた。
それは自然なことだった。

そのまま最前列に立つと、2年4組の生徒一覧を上から順番に眺めていく。
トクンっ、と心臓が大きく鳴る。
掲示板を見上げている私の顔を誰にも見られたくない。
だから最前列。

4組に配属された生徒たちの名前を一通り眺め終えると、右手を心臓にそっと当てる。
トクン、トクンと血流が確かな鼓動となって手のひらに伝わってくる。
やんわりと額に汗も滲む。
春先でまだ肌寒いにもかかわらず。
私は今、困惑しているのだろうか?
それとも単純に嬉しいのだろうか?
ハッ、まさか。
……。

2年4組生徒指名、そこに連なる40名の中にあった。
たしかにあった。

たかがクラス替え。
でも教室は長い時間をかけて、私たちを同じ部屋に閉じ込める密室。

その中に君はいた。
再び4組の生徒一覧を眺めてゆく。

『18番、天川 京一』

京君、あなたが私を狂わせた。
あなたが私の尊厳を奪った。
あなたにはその罪に等しい罰を受けてもらうわ。

嘘ぴょん。
うううん。
違う。
そんなのは嘘よ。
ほんとはあなたともっとお話したい
あなたにもっと触れていたい
あなたともっと仲良くなりたい

嘘ぴょん。
うううん、これも違うの。
私の望みは最初からひとつ。

あなたはきっと永遠に分らないだろうなあ。
もうすぐチャイムが鳴る時間。
私は皆の待つ教室に向かうことにした。


春の風が吹いている。
桜の花びらが幾重にも重なり咲き誇っている。
空は淡く青く、澄んだ空気に満ちている。

私の未来を捻じ曲げる、一年が始まる。


☆-----☆-----☆-----

「蓮華のステータス」
1,命の残り時間 
      :キッカリ1年と3か月間

2,主人公へ向けた想い 
         :トラウマ・レベル
3,希望        :★★★☆☆
4,絶望感       :★☆☆☆☆
5,男子への気持ち   :うぜぇ
6,女子への気持ち   :うぜぇ
7、好きな人      :京くん

☆-----☆-----☆-----
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