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裏庭の再会

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「やあ、ジュリエット。君は相変わらず美しいね。いいや、久しぶりに見る君は記憶の中のどの姿より輝いている。君に会えない日々はどんな毒を飲むより僕の心臓を締め付けて、呼吸の仕方すら忘れてしまいそうだった。でも、君を見た瞬間に恋しさが溢れて溺れそうになる。君ほど僕を苦しめる存在はいないよ。罪深い僕のジュリエット」


 私はいつも通り・・・・・・バルコニーから奴を見下ろした。
    奴は今日も元気に不法侵入してグランハート家の庭に立っている。
    何事もなかったように、以前となんら変わりない。

 ように見えるが実は私を責めているのだろうか?砂糖過多の口説き文句に多分に毒を含んでいる気がする。毒だの苦しめるだの罪だの当てつけとしか思えない。どちらかといえば、毒を飲まされたのは私のほうだが、そんな状況に陥ったのは私のせいだとでも言いたいのだろうか?それは、まあ、間違いではないのだが。


 奴に会うのは実に一ヶ月ぶりだ。
    その間は入院しており、毒の後遺症を警戒しつつ、体力回復に努めた。
    聞いたところによると奴も別の病院に入院していたらしく、私と似たり寄ったりな状況だったらしい。
    それらは目覚めてからだいぶ後に知ったことだ。

 つい最近退院して、やっと自宅療養となったところだった。入院中はとにかく暇だった。
    両親とリチャードは度々見舞いに来たが、暇だから本が読みたいと言っても身体に障るから駄目だと却下された。
    そもそもこんな物ばかり読んでいるから恋だの愛だのにうつつを抜かすんだと父親の説教が始まったため、本を読むのは断念した。

 恋だの愛だのにうつつを抜かした覚えはまったくないのだが、結果的に両親に心配をかける事になってしまったため、逆らうのはやめておいた。


 しかし私はその言葉で気づくべきだったのだ。

 私が、私たちが起こした事の顛末が周囲の目にどう映ったのか。

 奴ユーフィルムと私グランハートという組み合わせが、如何に特殊だったのか。

 真実はいくらでも塗り替えられると私は知っていたのに、まったく気づいていなかったのだ。


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