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49.エピローグ
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「なるほど、確かに恋愛には発展しないね。そうだ。続きを伝えていなかったね。あと二つについて」
「は、はい」
コアラさんをチラリと見たギベオン王子が私の方へ目線を戻す。
「アンブローシア家もタンビュライト家も跡継ぎがいない。養子を迎えることは自らの判断ではできなくなったんだ」
「タンビュライト家もなのですね」
「それで、家格が釣り合う者をということで第四王子ヘリオドールが両家をまとめて一つにすることにという案が出たんだが、ヘリオドールは国外退去だ。だから、僕が後釜になっているというわけさ」
「ヘリオドール王子がお戻りになられたら、ヘリオドール王子継ぐ形になるんですね」
「そう。だから細かく分けると二つなわけさ。そんなわけで、悪いようにはしないと言ったわけさ」
ギベオン王子は大袈裟に肩を竦めおどけてみせる。
私とギベオン王子の会話の横でヘリオドール王子とコアラさんも何やら喋っていた。
「コアラー。大賢者だったんだなー」
「コアラはコアラだ。ヘリオドール。お前もウィザードか」
「何だそれ。うまいのか?」
「ルチルと同じかよ。そうだったな。人間は外部魔力のことを失伝していたんだった」
「湿田? なんだそれ」
「ルチル。こいつを連れて来たのは外部魔力を教え込めばいいのか?」
ユーカリを食べていない時のコアラさんはとても鋭い。
言わずとも私がお願いしたいことを察し、自ら申し出てくれるなんて。
「いいの?」
「おう。ルチルには命とユーカリ以外なら何でも差し出すぞ。ジークユーカリ」
「安定のユーカリ基準……」
「ん?」
「こっちの話。もう一つ、教えて欲しいことがあるの」
「おう、何でも言ってみろ」
そう言いつつ、ポシェットを開けて小さな手を突っ込むコアラさん。
んと顔が曇り、ポシェットをひっくり返す。どうやら、ユーカリの葉は在庫切れらしい。
王国の壁のことについてコアラさんに聞いてみると、通過することは何てことはないとのこと。
外部魔力を壁にぶつければいいだけなんだって。それなら今の私にもできるわ。
ヘリオドール王子にも外部魔力の扱い方を覚えてもらえれば、王都に帰還することもわけないわね。
「コアラー、教えてくれるんだろー」
「……もしゃ」
「コアラー」
「ん? ……もしゃ、もしゃ。エミリー。すまんな」
「いえいえー」
コアラさんがエミリーに餌付けされ、ヘリオドール王子が構ってくれと彼を揺すっている。
見なかったことにして……そうだ。ギベオン王子とレオにみんなを紹介しなきゃね。
「ギベオン王子、レオ。ルルーシュ僻地で出会った素敵な人たちを紹介したいんです!」
「そいつは楽しみだ」
ギベオン王子が笑顔で応じ、レオはこくこくと頷く。王子の手前、いろいろ気を払っているんだな。
そんな彼の姿を見ていると笑いそうになる。
ここで笑うと後で彼が煩そうだから、我慢しておいてあげるとしようかな。
「あ」
ちょうどふよふよと空を移動するインプが目に映る。
「ウンランー!」
呼びかけるとインプが寄ってきて、私の肩に止まった。
「この子はインプという使い魔なんです。主はウンランという有翼族の青年で――」
さっそく二人にインプとウンランの紹介を始める。
おしまい
※最後短くてすいません! 途中更新が途切れ途切れになってしまいました、、。感想のご返信も遅く、、反省ばかりですが、ここまでお読みいただきありがとうございました!
「は、はい」
コアラさんをチラリと見たギベオン王子が私の方へ目線を戻す。
「アンブローシア家もタンビュライト家も跡継ぎがいない。養子を迎えることは自らの判断ではできなくなったんだ」
「タンビュライト家もなのですね」
「それで、家格が釣り合う者をということで第四王子ヘリオドールが両家をまとめて一つにすることにという案が出たんだが、ヘリオドールは国外退去だ。だから、僕が後釜になっているというわけさ」
「ヘリオドール王子がお戻りになられたら、ヘリオドール王子継ぐ形になるんですね」
「そう。だから細かく分けると二つなわけさ。そんなわけで、悪いようにはしないと言ったわけさ」
ギベオン王子は大袈裟に肩を竦めおどけてみせる。
私とギベオン王子の会話の横でヘリオドール王子とコアラさんも何やら喋っていた。
「コアラー。大賢者だったんだなー」
「コアラはコアラだ。ヘリオドール。お前もウィザードか」
「何だそれ。うまいのか?」
「ルチルと同じかよ。そうだったな。人間は外部魔力のことを失伝していたんだった」
「湿田? なんだそれ」
「ルチル。こいつを連れて来たのは外部魔力を教え込めばいいのか?」
ユーカリを食べていない時のコアラさんはとても鋭い。
言わずとも私がお願いしたいことを察し、自ら申し出てくれるなんて。
「いいの?」
「おう。ルチルには命とユーカリ以外なら何でも差し出すぞ。ジークユーカリ」
「安定のユーカリ基準……」
「ん?」
「こっちの話。もう一つ、教えて欲しいことがあるの」
「おう、何でも言ってみろ」
そう言いつつ、ポシェットを開けて小さな手を突っ込むコアラさん。
んと顔が曇り、ポシェットをひっくり返す。どうやら、ユーカリの葉は在庫切れらしい。
王国の壁のことについてコアラさんに聞いてみると、通過することは何てことはないとのこと。
外部魔力を壁にぶつければいいだけなんだって。それなら今の私にもできるわ。
ヘリオドール王子にも外部魔力の扱い方を覚えてもらえれば、王都に帰還することもわけないわね。
「コアラー、教えてくれるんだろー」
「……もしゃ」
「コアラー」
「ん? ……もしゃ、もしゃ。エミリー。すまんな」
「いえいえー」
コアラさんがエミリーに餌付けされ、ヘリオドール王子が構ってくれと彼を揺すっている。
見なかったことにして……そうだ。ギベオン王子とレオにみんなを紹介しなきゃね。
「ギベオン王子、レオ。ルルーシュ僻地で出会った素敵な人たちを紹介したいんです!」
「そいつは楽しみだ」
ギベオン王子が笑顔で応じ、レオはこくこくと頷く。王子の手前、いろいろ気を払っているんだな。
そんな彼の姿を見ていると笑いそうになる。
ここで笑うと後で彼が煩そうだから、我慢しておいてあげるとしようかな。
「あ」
ちょうどふよふよと空を移動するインプが目に映る。
「ウンランー!」
呼びかけるとインプが寄ってきて、私の肩に止まった。
「この子はインプという使い魔なんです。主はウンランという有翼族の青年で――」
さっそく二人にインプとウンランの紹介を始める。
おしまい
※最後短くてすいません! 途中更新が途切れ途切れになってしまいました、、。感想のご返信も遅く、、反省ばかりですが、ここまでお読みいただきありがとうございました!
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