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4.スキルは不親切設計
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笹、笹、笹と三連続で笹だ。
もう笹は見たくもねえ。
角が生えた猪からは笹しか出ないのかもしれない。
せっかく猪を狩ることに慣れてきたってのに。だけど、レベルがもう一つあがって四になったんだぜ。
スキルマネジメントってのは、まだ解放されていないけどな……。
一方でユーカリサーチの働きは上々だった。
なんとこの数時間でユーカリを十枚も発見することができたのだよ。
モンスターを倒すよりユーカリを拾った方がまだマシとは……。
だけど、最初に予想した通り、拾うことはあくまでついでにしかならない。冒険者に依存するやり方では、ジリ貧だし、そもそも落ちているユーカリの量が少なすぎるんだ。
ユーカリをドロップするモンスターを探さねばならぬ。
あの虎みたいなモンスターをさっきから探しているんだけどなあ……なかなか見つからん。
もっとも、虎が夜中に寝ていてくれないと倒すことができないんだけどな!
まともに戦ったら角が生えた猪でも瞬殺される自信がある。
「無防備な相手を奇襲する」ことは、絶対条件。今後、スキル次第ではまともに戦えるようになるかもしれないけど……。
◇◇◇
別のモンスターを探さねばと願っていた。
それは間違いないが、何もこんな強そうなモンスターを発見しなくてもいいんじゃねえか?
ゴクリと生唾を飲み込み、前方の大樹の根元へ目をやる。
目線の先には巨体を誇る狼のようなモンスターが体を丸め、寝息を立てていた。
尻尾を除いた体長はおよそ五メートルというところ。漆黒の毛皮を持ち、尻尾が大蛇になっている。
息を吐くたびに頭の角が帯電し、バチバチと光っていた。
寝ているというのに、狼から感じるプレッシャーで足がすくむ。
どうする?
頭を狙うことは可能だ。
だが、一撃で仕留められなかった場合、逆に俺が……。
ジワリと手に汗が、出ないな。
だけど、緊張で喉がからっからだ。
他にもモンスターはいるはずだし、何もこの狼に槍を向けなくてもいいかな。
諦めよう。
その時、俺は何を思ったのか「ユーカリサーチ」を発動してしまう。
いや、ほらさ、いついかなる時もユーカリチャンスは逃したらダメだろ?
脳内に描かれた円盤に光の線が回っていく。
すると、百を超える赤い点が一か所に集まっているではないか。
場所は……あれか、あれなのか。
狼は葉っぱをベッドにして眠っている。
その巨体を支えるだけの葉っぱが全て……ユーカリだったのだ。
そうだよ。
考えてみれば、この森にいる限りあの狼と遭遇するかもしれないじゃないか。
幸い奴は今、寝ている。
ぐっすりとな。
起きている時に奴に発見されたら、瞬く間に追いつかれ、あいつの餌になることは想像に難くない。
ならば、少しでも可能性のある今この時に奴を倒さねばならぬ。
そろりそろりと狼を狙える枝の上に移動し、奴の頭を凝視する。
狙うは眉間。
外したら……死が待っている。
飛び降りて槍を突き刺すことはもうこれで五度目だ。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせ、槍を握りしめる手に力を込める。
行くぞ――。
奴の眉間から目を離さず、一息に飛び降りる!
――ザクッ。
槍の穂先は見事、狼の眉間に突き刺さり、ずぶずぶと穂先が眉間の中に沈んで行く。
『グガアアアアアアアアアア!』
耳が一瞬にして機能しなくなるほどの咆哮を狼が発すると共に、狼が勢いよく立ち上がり首を振る。
離されてなるものかと槍に両腕を絡めしがみつく。
『グガアアアアアア!』
再度の狼の咆哮に意識が朦朧としてきたが、槍からは決して体を離さない。
ここから落ちると狼の爪が、牙が俺の身に届くからだ。
狼が暴れた勢いで槍の穂先が奴の頭に更に深く入り、前後に穂先が動く。
これが致命傷となったのか、狼の動きは急速に鈍り、ついには砂となって消えていった。
狼からは小瓶とユーカリの葉が八枚ドロップする。
や、やったぞ。
安堵の息を吐き、すぐさま木の上に登る。
狼はあれだけ大きな咆哮をあげたのだ。音に反応して他のモンスターがやって来ないとも限らないから。
気持ちとしては、今すぐにでも狼がベッドにしていたユーカリの葉を全てアイテムボックスに仕舞い込みたい。
しかし、大きな事が済んだ後こそ、危険なのだ。油断は即、死に繋がる。
自分が弱いってことを忘れないようにしないと、俺が寝込みを襲ったように油断したところをブスっとされたら元も子もない。
枝の上から周囲を窺い、耳を澄ませる――。
足音はしない。目視でもモンスターの姿は見当たらない。
よっし、今のうちに……。
狼のドロップ品とユーカリの葉を全て回収し、元の位置に戻る。
狼を倒した時、「レベルアップしました」って脳内メッセージが流れていたけど確認する余裕もなかった。
では、改めて。
『名前:草薙壮士
種族:コアラ
レベル:18
スキル:有
魔法:無』
あ、あの狼……とんでもねえ強さだったんだな。
レベルが一気に十四もあがったじゃないかよ!
これだけレベルが上がっているなら、固有スキルとかを新しく覚えているかも?
固有スキルを覚えたら、脳内メッセージで分かるんだけどさっきは脳内メッセージを読んでいない。
ゲームと違ってメッセージのログを閲覧することはできず、メッセージが流れたらそれっきりなんだよな。
だけど、ステータスのスキル一覧から確認すれば問題ない。
『スキル一覧
ユーカリサーチ』
な、何も増えてない……だと……。
もしかしたら固有スキルは一つだけなのかもしれないけど、全く増えていないことに対しやはり気分が沈む。
スキルとかレベルとか表示されるといっても、説明が全くないからなあ。
ユーカリサーチにしても、使ってみて使い方を覚えた。
チュートリアルとかスキルに対する説明文くらいあってもいいのに。
愚痴っても仕方ない。
ユーカリの葉を二百六十枚も手に入れたんだからな。贅沢を言ってはいけねえ。
といいつつも、スキルマネンジメントを閲覧してみる俺なのであった。
お、おお。
今度は画面が切り替わったぞ。
『スキルマネンジメント
現在選択可能なスキル一覧
テイスティング
牧羊
ステルス
アルケミー
調理
魔法
治療
解剖学
マッピング
格闘
剣
弓
槍
アイテム鑑定
動物学
罠
縫製
鍛冶
道具作成
解読
探索
キャンプ』
スキルマネンジメントが解放されている!
相変わらず説明は無しで、獲得したはずのスキルポイントが現在いくつあるのかも表示されていない。
スキルを取得してみるまでどうなるか分からないという不親切設計のようだ……。
スキル名が雑多に並んでいるけど、知識系、戦闘系、盗賊系、魔法、あとはよく分からないものも混じっている。
この中で一つだけを選ぶとしたら、
ステルス
以外あるまい。
次点で「罠」かな。
『ステルスを取得いたします』
ステルスを選択すると問答無用で取得になった。
「はい/いいえ」の確認もでないから、間違えて選ばないように注意しなきゃならないな……。
スキルを取得したはいいが、これ、どうやって使うんだ?
もう笹は見たくもねえ。
角が生えた猪からは笹しか出ないのかもしれない。
せっかく猪を狩ることに慣れてきたってのに。だけど、レベルがもう一つあがって四になったんだぜ。
スキルマネジメントってのは、まだ解放されていないけどな……。
一方でユーカリサーチの働きは上々だった。
なんとこの数時間でユーカリを十枚も発見することができたのだよ。
モンスターを倒すよりユーカリを拾った方がまだマシとは……。
だけど、最初に予想した通り、拾うことはあくまでついでにしかならない。冒険者に依存するやり方では、ジリ貧だし、そもそも落ちているユーカリの量が少なすぎるんだ。
ユーカリをドロップするモンスターを探さねばならぬ。
あの虎みたいなモンスターをさっきから探しているんだけどなあ……なかなか見つからん。
もっとも、虎が夜中に寝ていてくれないと倒すことができないんだけどな!
まともに戦ったら角が生えた猪でも瞬殺される自信がある。
「無防備な相手を奇襲する」ことは、絶対条件。今後、スキル次第ではまともに戦えるようになるかもしれないけど……。
◇◇◇
別のモンスターを探さねばと願っていた。
それは間違いないが、何もこんな強そうなモンスターを発見しなくてもいいんじゃねえか?
ゴクリと生唾を飲み込み、前方の大樹の根元へ目をやる。
目線の先には巨体を誇る狼のようなモンスターが体を丸め、寝息を立てていた。
尻尾を除いた体長はおよそ五メートルというところ。漆黒の毛皮を持ち、尻尾が大蛇になっている。
息を吐くたびに頭の角が帯電し、バチバチと光っていた。
寝ているというのに、狼から感じるプレッシャーで足がすくむ。
どうする?
頭を狙うことは可能だ。
だが、一撃で仕留められなかった場合、逆に俺が……。
ジワリと手に汗が、出ないな。
だけど、緊張で喉がからっからだ。
他にもモンスターはいるはずだし、何もこの狼に槍を向けなくてもいいかな。
諦めよう。
その時、俺は何を思ったのか「ユーカリサーチ」を発動してしまう。
いや、ほらさ、いついかなる時もユーカリチャンスは逃したらダメだろ?
脳内に描かれた円盤に光の線が回っていく。
すると、百を超える赤い点が一か所に集まっているではないか。
場所は……あれか、あれなのか。
狼は葉っぱをベッドにして眠っている。
その巨体を支えるだけの葉っぱが全て……ユーカリだったのだ。
そうだよ。
考えてみれば、この森にいる限りあの狼と遭遇するかもしれないじゃないか。
幸い奴は今、寝ている。
ぐっすりとな。
起きている時に奴に発見されたら、瞬く間に追いつかれ、あいつの餌になることは想像に難くない。
ならば、少しでも可能性のある今この時に奴を倒さねばならぬ。
そろりそろりと狼を狙える枝の上に移動し、奴の頭を凝視する。
狙うは眉間。
外したら……死が待っている。
飛び降りて槍を突き刺すことはもうこれで五度目だ。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせ、槍を握りしめる手に力を込める。
行くぞ――。
奴の眉間から目を離さず、一息に飛び降りる!
――ザクッ。
槍の穂先は見事、狼の眉間に突き刺さり、ずぶずぶと穂先が眉間の中に沈んで行く。
『グガアアアアアアアアアア!』
耳が一瞬にして機能しなくなるほどの咆哮を狼が発すると共に、狼が勢いよく立ち上がり首を振る。
離されてなるものかと槍に両腕を絡めしがみつく。
『グガアアアアアア!』
再度の狼の咆哮に意識が朦朧としてきたが、槍からは決して体を離さない。
ここから落ちると狼の爪が、牙が俺の身に届くからだ。
狼が暴れた勢いで槍の穂先が奴の頭に更に深く入り、前後に穂先が動く。
これが致命傷となったのか、狼の動きは急速に鈍り、ついには砂となって消えていった。
狼からは小瓶とユーカリの葉が八枚ドロップする。
や、やったぞ。
安堵の息を吐き、すぐさま木の上に登る。
狼はあれだけ大きな咆哮をあげたのだ。音に反応して他のモンスターがやって来ないとも限らないから。
気持ちとしては、今すぐにでも狼がベッドにしていたユーカリの葉を全てアイテムボックスに仕舞い込みたい。
しかし、大きな事が済んだ後こそ、危険なのだ。油断は即、死に繋がる。
自分が弱いってことを忘れないようにしないと、俺が寝込みを襲ったように油断したところをブスっとされたら元も子もない。
枝の上から周囲を窺い、耳を澄ませる――。
足音はしない。目視でもモンスターの姿は見当たらない。
よっし、今のうちに……。
狼のドロップ品とユーカリの葉を全て回収し、元の位置に戻る。
狼を倒した時、「レベルアップしました」って脳内メッセージが流れていたけど確認する余裕もなかった。
では、改めて。
『名前:草薙壮士
種族:コアラ
レベル:18
スキル:有
魔法:無』
あ、あの狼……とんでもねえ強さだったんだな。
レベルが一気に十四もあがったじゃないかよ!
これだけレベルが上がっているなら、固有スキルとかを新しく覚えているかも?
固有スキルを覚えたら、脳内メッセージで分かるんだけどさっきは脳内メッセージを読んでいない。
ゲームと違ってメッセージのログを閲覧することはできず、メッセージが流れたらそれっきりなんだよな。
だけど、ステータスのスキル一覧から確認すれば問題ない。
『スキル一覧
ユーカリサーチ』
な、何も増えてない……だと……。
もしかしたら固有スキルは一つだけなのかもしれないけど、全く増えていないことに対しやはり気分が沈む。
スキルとかレベルとか表示されるといっても、説明が全くないからなあ。
ユーカリサーチにしても、使ってみて使い方を覚えた。
チュートリアルとかスキルに対する説明文くらいあってもいいのに。
愚痴っても仕方ない。
ユーカリの葉を二百六十枚も手に入れたんだからな。贅沢を言ってはいけねえ。
といいつつも、スキルマネンジメントを閲覧してみる俺なのであった。
お、おお。
今度は画面が切り替わったぞ。
『スキルマネンジメント
現在選択可能なスキル一覧
テイスティング
牧羊
ステルス
アルケミー
調理
魔法
治療
解剖学
マッピング
格闘
剣
弓
槍
アイテム鑑定
動物学
罠
縫製
鍛冶
道具作成
解読
探索
キャンプ』
スキルマネンジメントが解放されている!
相変わらず説明は無しで、獲得したはずのスキルポイントが現在いくつあるのかも表示されていない。
スキルを取得してみるまでどうなるか分からないという不親切設計のようだ……。
スキル名が雑多に並んでいるけど、知識系、戦闘系、盗賊系、魔法、あとはよく分からないものも混じっている。
この中で一つだけを選ぶとしたら、
ステルス
以外あるまい。
次点で「罠」かな。
『ステルスを取得いたします』
ステルスを選択すると問答無用で取得になった。
「はい/いいえ」の確認もでないから、間違えて選ばないように注意しなきゃならないな……。
スキルを取得したはいいが、これ、どうやって使うんだ?
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