上 下
34 / 55
二章

23

しおりを挟む
すみません。お昼の投稿遅くなりました。
よろしくお願いします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よし!全快!」

窓の外を眺めながら握り拳を掲げて自分を鼓舞した。

〈元気なのはいいが、無理はダメじゃよ〉
『うん。もう大丈夫!無理しないよ!』

謎の解決に向けて動かなければ!
家に帰れない!


パシンと両手で頬を打った。

『無理せず頑張る!』
〈その意気じゃ〉

じじさまと顔を見合わせて笑った。






◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇


「体調はどうだい?無理してはいないか?」

ファルシュさんが気遣い心配そうに声をかけてくれた。

「大丈夫です。もう平気だから」
「無理はしないように」
「そうです。言わないのはダメだ」

心配から過剰に気にかけてくることに若干気が重くなる。こんなことで心配してもらうことに慣れていなくて戸惑ってしまう。マアディン卿も心配追随発言にも困った。気遣いされなれていないのだ。




マアディン卿が私の部屋に迎えに来たその時も一悶着があった。


「何であんなことしたのか」の質問に笑うだけだし。体調の心配して抱き抱えて運ぼうとするし。オカンか!
「田舎の貧乏貴族は丈夫だから」と言うも、「倒れた人の言葉は信用してあげません」と言われてしまった。

道中気恥ずかしくてたまらなかった。
もー!人を揶揄うなら、揶揄い返すよ!
アチラの方々にお願いして!



◇◆◇


「さて、皆が集まったのだが。話しは何かな?」

アエス王子が周りを見回した。

私が話しがあるとアエス王子に伝えてとファルシュさんに伝言を頼んだ。
そして今アエス王子の執務室に集まることになった。

「神殿について何か分かったことでも?」

ファルシュさんに聞かれた。
その質問に頷いた私だが、ちょっと自信がなくて視線が泳いでしまう。

「はい。集まって貰ったのは神殿についてですが。気になることがありまして……」

口澱む私に皆の視線が集まるのが居た堪れず居心地が悪い。

意を決して顔を上げ発言した。

「王様の後ろのアチラの方が怪しいんです!」

その発言に三人が顔を合わせた。
だよね?王様相手だもん。戸惑うよね。

「どう怪しいのかな?」
「四代前の王様が背後にいらっしゃるのです。レギール・ゼス・キュイベル王だと聞きました。白い長めの髭が特徴の王様です。
そのレギール王が神殿の話しをした時、ビクリと反応したんです。挙動不審というか……」

「明らかに何か隠しているような」と歯切れの悪いことしか言えない。
上手くニュアンスが伝えらなくてもどかしい。

アエス王子は優雅に足を組み、暫く考え込むと、「父上に話してこよう」と席を立った。


アエス王子から話を通してもらえば話は早くすみそうだ。でも王様との謁見を考えるとズンと気が滅入る思いがした。

霊体王様なら気楽話せるのに。
これで何もなかったら不敬罪とかにならないといいんだけどと心配になった。


◇◆◇


「許可が出たから応接室に行くよ」

アエス王子が許可を得て戻ってきた。

許可がもらえて良かったのか、これで違ってたらどうなるか。シーソーのように気持ちがガタガタ揺れている。

勢いよく、ふうと息を吐き、悩んでも仕方ない!と気持ちを切り替えてソファーから立ち上がり足を踏み出した。



さて苦手なカーテシーを頭の中でおさらいだ!

足が攣りませんように!




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

砕けた愛は、戻らない。

豆狸
恋愛
「殿下からお前に伝言がある。もう殿下のことを見るな、とのことだ」 なろう様でも公開中です。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

旦那様は甘かった

松石 愛弓
恋愛
伯爵夫妻のフィリオとマリアは仲の良い夫婦。溺愛してくれていたはずの夫は、なぜかピンクブロンド美女と浮気?どうすればいいの?と悩むマリアに救世主が現れ?

運命の歯車が壊れるとき

和泉鷹央
恋愛
 戦争に行くから、君とは結婚できない。  恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。    他の投稿サイトでも掲載しております。

【完結】愛していないと王子が言った

miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。 「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」 ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。 ※合わない場合はそっ閉じお願いします。 ※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

処理中です...