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第50話:成人式と貞操具(前編)
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「もう来ないで。迷惑よ。」
「そ、そんな・・・僕は身も心も貴女に捧げたと思ったのに・・・」
「本当にあなたはつまらない男だったわ。さようなら」
冷たい視線を浴びせる女性に対し、男はすがるような目をして女性を見る。
「まって・・・今あなたに捨てられたら、僕はどうしたらいいんだ・・・」
「好きに生きれば?」
女性は冷たく言い放つと、その場を去った。
女性が通りに出ると高級車が止めてあった。
「お嬢様、戯れが過ぎます。」執事と思わしき男が声をかける。
「あの男、今までの見返りにうちの会社で雇ってあげなさい。
あの男仕事だけは出来るから。」
女性はそう言って後部座席に乗り込んだ。
男性は女性を追いかけるが見失ってしまった。
「また『壊した』のですか?」
執事が車を運転しながら訪ねる。
「・・・私に入れ込み過ぎて私のために何でもやるようになっていたわ。
私と別れようが別れまいが、遅かれ早かれ壊れていたでしょう。」
女性の口調にはどこか諦めがあった。
「しかし涼香様。こう派手なことを続けると、
会社の評判にもかかわってくるのではと思います。
多少は慎みを持った行動を心がけてください・・・」
「・・・あら、生意気なことを言うようになったのね」
涼香と呼ばれる女性が執事を一睨みする。
「まあいいわ。今日は気分が良いし許してあげる」
(でもこの男を手元に置いているのは、
私の言うことをちゃんと聞いてくれるからだわ。
それにこの男は私が子供のころから裏切らない。)
涼香という女性はそう思うのであった。
「ねえ、紫雨、この後のスケジュールは?」
「・・・年明けの地元の成人式にて
先輩としてのスピーチの依頼が来ていますね。」
スーツを着た男性がスマホを見ながら答える。
「後、仕事中はその名で呼ばれませぬよう・・・」
「分かったわ。藤田」
緑山涼香は現在21歳の女子大生だ。
女性でありながら現役大学生で起業したという事で世間から注目されていた。
「恐らく『地元の有名人』として呼ばれているのでしょう。」
藤田紫雨は涼香の家に仕える男性で
年齢は30歳くらいだろうか? 黒髪短髪で細身の体躯をしている。
彼は涼香が子供の時から仕えており、まるで自分の妹のように接していた。
「ああ、そうだ。今度成人式の時着ていく服を
新調しようと思っているのだけれど・・・」
「承知しました。どのようなものがよろしいでしょうか?
ご希望をおっしゃってくだされば、あとで注文いたしますが。」
藤田は涼香に希望を訪ねた。
「そうね・・・せっかくだし紫雨に選んでほしいわ。」
「えっ・・・それはちょっと・・・」
藤田は困った顔をして答える。
「どうしてかしら?」
「いえ・・・私は男ですが?」
「それがどうかしたのかしら?」
涼香は特に気にしていない様子だった。
「私に似合う服を選んでくれたら嬉しいわ。
紫雨ならきっと素敵なものを選んでくれるはずよ。」
「・・・分かりました。それではお嬢様に似合いそうなものを
いくつかピックアップしておきます。」
藤田は少し考える素振りを見せたが、すぐに了承した
****
「今度の成人式はお互い実家に帰らないといけないな・・・」
「君はともかく、距離的に私は4,5日は実家に戻らないと駄目かな」
事が済んだ後のまったりした時間に、ベッドの中でこんな会話をしている。
実家が隣県にあるユキヤに対し、すみれはかなり遠方から出てきている。
二人とも家を出て暮らしているので、実家へ帰らない訳にはいかなかった。
「久しぶりに家族に会えるのは楽しみだけど、やっぱり少し寂しいな。」
「私がいなくて大丈夫?」「もう子供じゃないっての」
すみれはちょっと不満げにユキヤの頭を撫でる。
「ごめんね、ちょっと意地悪言っちゃった」
「いいさ、俺もすみれがいないと少し不安だから」
「じゃあ、お互いに離れないようにしないとね」
すみれはユキヤの頬に手を当てて微笑む。
「うん、ずっと一緒だよ」
ユキヤはすみれを抱きしめる。
「でも、たまにはこういうのもいいかもね」
すみれはユキヤの胸に顔を埋めながら呟く。
「確かに、すみれと一緒にいる時間が増えるのは悪くないな」
ユキヤは少し照れくさそうにする。
「ふふ、可愛い」
すみれはユキヤの顎を指で持ち上げる。
「すみれの方がかわいいけどね」
ユキヤはすみれの髪を優しく触る。
「ユキちゃん、大好き」「俺も愛しているよ」
二人は見つめ合ってキスをした。
(しかし実家か・・・随分帰ってないけど親たちは元気かな?)
「あのねユキちゃん・・・・」「何?」「浮気、しないでね。」
「そ、そんな事するわけないだろ?!」
ユキヤの顔が真っ赤になる。
「本当?私、心配なの。」
「俺は浮気なんて絶対にしない!約束する。」
ユキヤは力強く宣言するが、すみれは疑わしそうな目で見る。
「本当に?絶対のぜーったいだよ!」「おぅ!男に二言はない!」
「わかった・・・なら、これも大丈夫だね・・・」「へ?!」
ユキヤはとてつもなく嫌な予感がした・・・。
****
さて成人式の連休の少し前、遠方に実家のあるすみれは一足早く帰省する。
そんなすみれをユキヤは駅まで見送りに来ていた。
「じゃあ行ってくるからね。」「うん・・・」
ユキヤはこれ以上ないぐらい暗い顔で見送る。
「連休明けには帰ってくるんだから、そんな顔しないの。」「うう・・・」
「だって浮気しないって言ったんだから付けててもかまわないでしょ?」
そう言ってすみれは何かの鍵を見せびらかした。
「そういう問題じゃ・・・ない!」
ユキヤは顔を赤くして叫ぶ。
「これがあれば、いつでもどこでも私の事を感じられるでしょ?」
すみれが鍵を見せるたびに、ユキヤの股間は反応してしまう。
「ユキちゃんの変態」
すみれはクスリとした笑みを浮かべる。
「じゃ行ってきまーす!」そういうとすみれは電車に乗った。
実を言うとこの日の朝からユキヤには貞操具が付けられていた・・・
「うぐぐぐぐ・・・」
(こんなの付けて成人式に出ろってか!!)
ユキヤは苦り切っていた。
***
時間は2週間ほど前に遡る。
この日、すみれは店で偶然居合わせた浅葱と談笑していた・・・が
その内容はかなり問題があった。
「しゃ・・・射精管理ですか?!」
「そうっス!出来るときに始めておくといいんじゃないかなって!」
小声で話しているので、接客しているユキヤには聞こえていない。
「い、いやそのぉ・・・」
すみれは困惑しきりである。
「それ・・・前にやって実害が起きかけたんで・・・」
「だからっスよ!貞操具を使うといいっス!あれなら自分で取れないから
間違っても実害は起きないっス!」
「で、でも・・・お願いしても絶対聞いてくれないですよ。」
「そこは・・・さっちゃんの隙を突くといいっス。」「隙?」
「ちょっと断りにくい状況になった時に、畳みかけるのがコツっス」
「えぇ・・・」
「まぁすぐにとは言わないっスが・・・元から隙の多い子だから、
案外チャンスは早くめぐってくるかもしれないっスね~」
「・・・チャンス」
「ま、できるときでいいので焦らない事っすね。」
浅葱はあくまで『出来るときに』を強調して背中を押しはしなかったが・・・
****
(まさかこんなに早くチャンスが来て、しかもこんなに上手く行くなんて・・・)
電車の中ですみれは、少しだけガッツポーズをとった。
一方残されたユキヤだったが、何時までも己を悲観している場合ではなかった。
自分も明日には実家に出発しないといけなかったからだ。
「はぁ・・・どうしよう・・・」
ユキヤは途方に暮れていた。
何せ今日から4日間ずっとこのままだ。
射精管理は2度目だが、慣れるようなものでもない。
しかも今回は貞操具まで付いているのだ。
更に鍵を持つすみれは遠方に里帰りしてしまっている・・・。
「はぁ・・・」
ため息をつくユキヤ。
「仕方がない・・・」
意を決して、まずはトイレに向かうユキヤだった。
(ちゃんとトイレは出来るようになってるんだよな・・・)
ユキヤは安堵する。
そして個室に入りズボンを脱ぎ、パンツを下ろす。
そこには、格子状の物に覆われたペニスがあった。
それに掛けられた不釣り合いなほどに大きめな南京錠は
機能的なものは勿論、精神的な服従の意味もこもっているのだろう。
隙間から指は入らないが、入浴時にシャワーを使えば
数日は清潔に保てる感じだ。「ふぅ・・・」
とりあえず安心したユキヤは便座に腰掛ける。
だが、まだ問題は解決していない。
この状態でどうやって実家に帰るのか。
「ううう・・・・」
ユキヤは頭を抱える。
しかし悩んでいるだけでは事態は好転しない。
ユキヤは仕方なく、実家に向かう準備をする。
「はあ・・・」
ため息しか出ないユキヤだった。
***
ユキヤの実家は電車で1時間ほどの隣県にあった。
都会とは決して言えないが、田舎とも言い難い場所だ。
そんな場所にユキヤの家はあった。
「ただいまー・・・」
ユキヤは玄関を開ける。
すると奥の方から足音が聞こえてきた。
「おかえりなさい。」
そう言って現れたのは、ユキヤの母親だった。
「あんたの部屋、そのまんまだからそこで寝なさいね。」
「ああ、うん。」
ユキヤは靴を脱いで、家に入る。
そのまま二階に上がり自室に入った。
部屋の中にはベッドに机に本棚にクローゼット。
あとはタンスがあるくらいで、割とシンプルな内装をしている。
「ふう・・」
ユキヤはため息をついた。
成人式までは後3日ある。
それまで我慢すればいいだけだ。
「よし!」
ユキヤは気合を入れなおして、荷解きを始めた。
「スーツ、ここに置いておくわよ」
「ありがとう」
ユキヤの母親がハンガーラックにかけてくれた。
「じゃあ私は下にいるからね」
「はいよ」
ユキヤの母は一階に降りていった。
ユキヤは、まずは着替えることにした。
「うう・・・」
ユキヤは下着姿になって、自分の股間を見る。
そこには、貞操具がしっかりとはまっていた。
「はぁ・・・」
ユキヤは深いため息をつく。
この拘束感が、とても嫌だった。
『無理に取ろうとするとケガするからね』というすみれの言葉を思い出す。
確かに、これを無理やり取ろうとしたら、痛い目を見そうだ。
「どうしよう・・・」
ユキヤは途方に暮れる。
「はぁ・・・」
再びため息をつくユキヤ。
(そもそも脱毛させられている時点で浮気のしようもないだろうがよ・・・)
ユキヤは心の中で毒づく。
ユキヤの浮気癖は、すみれの調教によって矯正されたはずだった。
『でも、成人式って同級生だった女子もいっぱい来るんでしょう?』
そんなすみれの口車(?)にまんまと乗せられてしまった・・・
「はめられた・・・」
後悔してももう遅いのだが、そう思わずにはいられないユキヤだった。
それからユキヤは、成人式に向けて色々準備をする。
成人式のために友人に連絡したり、寝るための部屋の片づけをしたり、
物置の整理をしたり、粗大ゴミを出したり・・・
「物置と粗大ゴミは俺関係ないけど・・・」
「いやぁこういうの男手多い時でないとできないし・・・」
息子というのはたまに実家に帰るとこき使われる。
しかもこんな時は力仕事だ。「はあ・・・」
ため息をつきつつも、なんだかんだで手伝ってしまうのだった。
夕食を食べ終えて、風呂に入って、後は寝るだけとなった。
「さすがに疲れた・・・」
ユキヤはベッドに倒れこむ。
「はあ・・・」
そしてまた大きなため息をついてしまうユキヤだった。
(1日ぐらいはさすがに大丈夫だが・・・)
ユキヤは指折り数えながら考える。
成人式は2日後だ。
つまり今日を入れてあと3日間は我慢しなければいけない。
「はあ・・・」
ため息しか出てこないユキヤであった。
***
次の日の朝。
ユキヤは朝食をとっていた。
今日のメニューはご飯に味噌汁に卵焼きに
鮭の塩焼きに納豆に海苔である。
「いただきます」
ユキヤは手を合わせて食べ始める。
「あんた、その髪何とかならないの?」
「え?別にいいじゃん」
「まったく・・・高校まで真面目だったのに」
「はいはい」
母親との何気ないやり取りをしながら、ユキヤは食事を終えた。
「ごちそうさまでした」
食器を流し台において、洗面所に向かう。
歯磨きをして、顔を洗い、寝ぐせを整える。
「よし!」
ユキヤは鏡の前でポーズを決める。
「なにしてんのあんた・・・」
「いや、ちょっとね・・・」
母親の冷たい視線を感じながらも、ユキヤは身だしなみを整えた。
「明日着るスーツの試着、ちゃんとしときなさいよ」
「わかってるよ」
「あと、お酒はほどほどにしとくこと」
「はいよ」
ユキヤは自室に戻ってスーツを取り出した。
紺色のジャケットとズボンで、ボタンがついている。
「うわっ!これ高いんじゃね!?」
ユキヤは値段を見て驚いた。
「まあいっか」
ユキヤは早速着替える。
「うーむ・・・」
ユキヤは姿見を見ながらネクタイを締める。
「やっぱ着慣れない感が強いな・・・」
ユキヤはそうつぶやく。「まあ、なんとかなるだろう」
一方その頃のすみれは・・・
「あ、明日美容院朝5時に予約したから。」
「5時?!」
「成人式だからねぇ」
「でも早すぎない?」
「なにいってんの、女の子は色々準備があるのよ。着付だってあるし。」
「でも・・・」
「大丈夫大丈夫、うちの近所に腕のいい美容師さんがいるの。
ちゃんと起きなさいね。
あとその足で写真館で写真撮って、おばあちゃんの家に行って
見せてきてから、神社に参拝だから、目まぐるしいわよ。」
自分よりも張り切る母に辟易するすみれだった・・・
「ふぇぇ・・・聞いてるだけで疲れる・・・」
****
その夜・・・
(う・・・そろそろまずいかもしれん)
ユキヤは股間を押さえていた。
貞操具がとちょっと窮屈になっていたのだ。
『盛りが付いたときはねぇ、冷たいシャワー浴びればいいんだって』
昨日のすみれの言葉を思い出す。(俺は犬か?!)
「まさかこんな早く使うことになるとは思わなかったけど・・・」
ユキヤは風呂場に向かった。
そして冷水を浴びて、体を冷やす。
確かに股間の膨張はある程度鎮まっていった・・・。
「はあ・・・どこの修行僧だよ俺は」ユキヤはため息をつく。
「さて、寝るか・・・」
そしてユキヤはベッドに潜り込んだ。
***
次の日。
いよいよ成人式だ。
ユキヤは早めに起床して、スーツを着る。
「やっぱり俺にはこういうの似合わない気が・・・」
鏡の前でポーズを決めてみる。
「いや、なかなか様になってるじゃないか」
ユキヤは自分で自分を褒める。
「さすがイケメンだな」
謎の自画自賛しながらユキヤは玄関を出る。
結構根は単純なのかもしれない。
神社を参拝して写真を撮った後、
式典会場となる高校の体育館へと移動する。
ユキヤはそこで高校時代の友人たちを再開した。「よう!久しぶり」
「おう!元気だったか?」「お前茶木か?!随分変わったな!」
「ああ、まあな」
そんなやり取りをしているうちに、開会宣言が行われる。
「これより第○○回 ××市成人式の開始を宣言します」
市長の挨拶が始まる。
「皆さん本日はおめでとうございます。今年は・・・」
ユキヤはぼーっと話を聞き流していた。
そのほか市の関係者があいさつした後、しばし歓談の時間となった。
ユキヤは友人と話しながら時間を潰している。
「お前、高校の時は真面目だったのにな・・・」
友人の1人が言う。高校時代の彼しか知らないと、そう思うのも無理はない。
「勝手にイケメンになりやがって・・・」「努力したと言え」
「そういうところは変わってないな」
「そうか?」
「高校の頃はもっと無口だったぞ」
「そうかな・・・変わんないと思うけど」
「まあ、今の方がいいけどな。話しやすいし」
「だろ?」ユキヤはニヤリとして見せる。
「ところでお前、最近彼女できたのか?」
「ん、まぁな」ユキヤは含みを持たせた言い方をする。
「そういやさっきから女の子に全然話しかけないよな?」
「そうだっけ?」
「そうだよ、いつもなら女侍らせてるのに」
「侍らせてるて・・・何だよその言い方・・・」
「もしかして彼女嫉妬深くて、やきもちを恐れてるとか?」
友人の鋭い指摘にユキヤなちょっとドキリとする。
「そうかもな」実際嫉妬どころか貞操具までつけさせられている。
(さすがにここでこんなものつけさせられてるのは・・・俺だけだろうな)
ユキヤは苦笑する。
「なんだよ、何かおかしいかよ」
「いや、何でもねぇよ」
「なになに?何の話~?!」
かつてのクラスメイトだった女子が割り込んできた。
「いや、こいつの彼女が束縛激しいって話でさ」
「へぇ、そうなんだ。ちょっと意外」
「おい、余計なこと言わなくていいから」
「はいはい、わかったわかった」ある意味間違ってはいない。
ここで会場からアナウンスが入る。
『続きまして、ここで皆さんの先輩からの応援スピーチとなります。』
「先輩?」「誰だろ?」
『この高校の出身者で、最近は大学在学中に起業したことで話題となっている、
緑山涼香さんに本日特別にお越しいただきました!』
・・・・・!
一瞬ユキヤが固まった。
つづく
「そ、そんな・・・僕は身も心も貴女に捧げたと思ったのに・・・」
「本当にあなたはつまらない男だったわ。さようなら」
冷たい視線を浴びせる女性に対し、男はすがるような目をして女性を見る。
「まって・・・今あなたに捨てられたら、僕はどうしたらいいんだ・・・」
「好きに生きれば?」
女性は冷たく言い放つと、その場を去った。
女性が通りに出ると高級車が止めてあった。
「お嬢様、戯れが過ぎます。」執事と思わしき男が声をかける。
「あの男、今までの見返りにうちの会社で雇ってあげなさい。
あの男仕事だけは出来るから。」
女性はそう言って後部座席に乗り込んだ。
男性は女性を追いかけるが見失ってしまった。
「また『壊した』のですか?」
執事が車を運転しながら訪ねる。
「・・・私に入れ込み過ぎて私のために何でもやるようになっていたわ。
私と別れようが別れまいが、遅かれ早かれ壊れていたでしょう。」
女性の口調にはどこか諦めがあった。
「しかし涼香様。こう派手なことを続けると、
会社の評判にもかかわってくるのではと思います。
多少は慎みを持った行動を心がけてください・・・」
「・・・あら、生意気なことを言うようになったのね」
涼香と呼ばれる女性が執事を一睨みする。
「まあいいわ。今日は気分が良いし許してあげる」
(でもこの男を手元に置いているのは、
私の言うことをちゃんと聞いてくれるからだわ。
それにこの男は私が子供のころから裏切らない。)
涼香という女性はそう思うのであった。
「ねえ、紫雨、この後のスケジュールは?」
「・・・年明けの地元の成人式にて
先輩としてのスピーチの依頼が来ていますね。」
スーツを着た男性がスマホを見ながら答える。
「後、仕事中はその名で呼ばれませぬよう・・・」
「分かったわ。藤田」
緑山涼香は現在21歳の女子大生だ。
女性でありながら現役大学生で起業したという事で世間から注目されていた。
「恐らく『地元の有名人』として呼ばれているのでしょう。」
藤田紫雨は涼香の家に仕える男性で
年齢は30歳くらいだろうか? 黒髪短髪で細身の体躯をしている。
彼は涼香が子供の時から仕えており、まるで自分の妹のように接していた。
「ああ、そうだ。今度成人式の時着ていく服を
新調しようと思っているのだけれど・・・」
「承知しました。どのようなものがよろしいでしょうか?
ご希望をおっしゃってくだされば、あとで注文いたしますが。」
藤田は涼香に希望を訪ねた。
「そうね・・・せっかくだし紫雨に選んでほしいわ。」
「えっ・・・それはちょっと・・・」
藤田は困った顔をして答える。
「どうしてかしら?」
「いえ・・・私は男ですが?」
「それがどうかしたのかしら?」
涼香は特に気にしていない様子だった。
「私に似合う服を選んでくれたら嬉しいわ。
紫雨ならきっと素敵なものを選んでくれるはずよ。」
「・・・分かりました。それではお嬢様に似合いそうなものを
いくつかピックアップしておきます。」
藤田は少し考える素振りを見せたが、すぐに了承した
****
「今度の成人式はお互い実家に帰らないといけないな・・・」
「君はともかく、距離的に私は4,5日は実家に戻らないと駄目かな」
事が済んだ後のまったりした時間に、ベッドの中でこんな会話をしている。
実家が隣県にあるユキヤに対し、すみれはかなり遠方から出てきている。
二人とも家を出て暮らしているので、実家へ帰らない訳にはいかなかった。
「久しぶりに家族に会えるのは楽しみだけど、やっぱり少し寂しいな。」
「私がいなくて大丈夫?」「もう子供じゃないっての」
すみれはちょっと不満げにユキヤの頭を撫でる。
「ごめんね、ちょっと意地悪言っちゃった」
「いいさ、俺もすみれがいないと少し不安だから」
「じゃあ、お互いに離れないようにしないとね」
すみれはユキヤの頬に手を当てて微笑む。
「うん、ずっと一緒だよ」
ユキヤはすみれを抱きしめる。
「でも、たまにはこういうのもいいかもね」
すみれはユキヤの胸に顔を埋めながら呟く。
「確かに、すみれと一緒にいる時間が増えるのは悪くないな」
ユキヤは少し照れくさそうにする。
「ふふ、可愛い」
すみれはユキヤの顎を指で持ち上げる。
「すみれの方がかわいいけどね」
ユキヤはすみれの髪を優しく触る。
「ユキちゃん、大好き」「俺も愛しているよ」
二人は見つめ合ってキスをした。
(しかし実家か・・・随分帰ってないけど親たちは元気かな?)
「あのねユキちゃん・・・・」「何?」「浮気、しないでね。」
「そ、そんな事するわけないだろ?!」
ユキヤの顔が真っ赤になる。
「本当?私、心配なの。」
「俺は浮気なんて絶対にしない!約束する。」
ユキヤは力強く宣言するが、すみれは疑わしそうな目で見る。
「本当に?絶対のぜーったいだよ!」「おぅ!男に二言はない!」
「わかった・・・なら、これも大丈夫だね・・・」「へ?!」
ユキヤはとてつもなく嫌な予感がした・・・。
****
さて成人式の連休の少し前、遠方に実家のあるすみれは一足早く帰省する。
そんなすみれをユキヤは駅まで見送りに来ていた。
「じゃあ行ってくるからね。」「うん・・・」
ユキヤはこれ以上ないぐらい暗い顔で見送る。
「連休明けには帰ってくるんだから、そんな顔しないの。」「うう・・・」
「だって浮気しないって言ったんだから付けててもかまわないでしょ?」
そう言ってすみれは何かの鍵を見せびらかした。
「そういう問題じゃ・・・ない!」
ユキヤは顔を赤くして叫ぶ。
「これがあれば、いつでもどこでも私の事を感じられるでしょ?」
すみれが鍵を見せるたびに、ユキヤの股間は反応してしまう。
「ユキちゃんの変態」
すみれはクスリとした笑みを浮かべる。
「じゃ行ってきまーす!」そういうとすみれは電車に乗った。
実を言うとこの日の朝からユキヤには貞操具が付けられていた・・・
「うぐぐぐぐ・・・」
(こんなの付けて成人式に出ろってか!!)
ユキヤは苦り切っていた。
***
時間は2週間ほど前に遡る。
この日、すみれは店で偶然居合わせた浅葱と談笑していた・・・が
その内容はかなり問題があった。
「しゃ・・・射精管理ですか?!」
「そうっス!出来るときに始めておくといいんじゃないかなって!」
小声で話しているので、接客しているユキヤには聞こえていない。
「い、いやそのぉ・・・」
すみれは困惑しきりである。
「それ・・・前にやって実害が起きかけたんで・・・」
「だからっスよ!貞操具を使うといいっス!あれなら自分で取れないから
間違っても実害は起きないっス!」
「で、でも・・・お願いしても絶対聞いてくれないですよ。」
「そこは・・・さっちゃんの隙を突くといいっス。」「隙?」
「ちょっと断りにくい状況になった時に、畳みかけるのがコツっス」
「えぇ・・・」
「まぁすぐにとは言わないっスが・・・元から隙の多い子だから、
案外チャンスは早くめぐってくるかもしれないっスね~」
「・・・チャンス」
「ま、できるときでいいので焦らない事っすね。」
浅葱はあくまで『出来るときに』を強調して背中を押しはしなかったが・・・
****
(まさかこんなに早くチャンスが来て、しかもこんなに上手く行くなんて・・・)
電車の中ですみれは、少しだけガッツポーズをとった。
一方残されたユキヤだったが、何時までも己を悲観している場合ではなかった。
自分も明日には実家に出発しないといけなかったからだ。
「はぁ・・・どうしよう・・・」
ユキヤは途方に暮れていた。
何せ今日から4日間ずっとこのままだ。
射精管理は2度目だが、慣れるようなものでもない。
しかも今回は貞操具まで付いているのだ。
更に鍵を持つすみれは遠方に里帰りしてしまっている・・・。
「はぁ・・・」
ため息をつくユキヤ。
「仕方がない・・・」
意を決して、まずはトイレに向かうユキヤだった。
(ちゃんとトイレは出来るようになってるんだよな・・・)
ユキヤは安堵する。
そして個室に入りズボンを脱ぎ、パンツを下ろす。
そこには、格子状の物に覆われたペニスがあった。
それに掛けられた不釣り合いなほどに大きめな南京錠は
機能的なものは勿論、精神的な服従の意味もこもっているのだろう。
隙間から指は入らないが、入浴時にシャワーを使えば
数日は清潔に保てる感じだ。「ふぅ・・・」
とりあえず安心したユキヤは便座に腰掛ける。
だが、まだ問題は解決していない。
この状態でどうやって実家に帰るのか。
「ううう・・・・」
ユキヤは頭を抱える。
しかし悩んでいるだけでは事態は好転しない。
ユキヤは仕方なく、実家に向かう準備をする。
「はあ・・・」
ため息しか出ないユキヤだった。
***
ユキヤの実家は電車で1時間ほどの隣県にあった。
都会とは決して言えないが、田舎とも言い難い場所だ。
そんな場所にユキヤの家はあった。
「ただいまー・・・」
ユキヤは玄関を開ける。
すると奥の方から足音が聞こえてきた。
「おかえりなさい。」
そう言って現れたのは、ユキヤの母親だった。
「あんたの部屋、そのまんまだからそこで寝なさいね。」
「ああ、うん。」
ユキヤは靴を脱いで、家に入る。
そのまま二階に上がり自室に入った。
部屋の中にはベッドに机に本棚にクローゼット。
あとはタンスがあるくらいで、割とシンプルな内装をしている。
「ふう・・」
ユキヤはため息をついた。
成人式までは後3日ある。
それまで我慢すればいいだけだ。
「よし!」
ユキヤは気合を入れなおして、荷解きを始めた。
「スーツ、ここに置いておくわよ」
「ありがとう」
ユキヤの母親がハンガーラックにかけてくれた。
「じゃあ私は下にいるからね」
「はいよ」
ユキヤの母は一階に降りていった。
ユキヤは、まずは着替えることにした。
「うう・・・」
ユキヤは下着姿になって、自分の股間を見る。
そこには、貞操具がしっかりとはまっていた。
「はぁ・・・」
ユキヤは深いため息をつく。
この拘束感が、とても嫌だった。
『無理に取ろうとするとケガするからね』というすみれの言葉を思い出す。
確かに、これを無理やり取ろうとしたら、痛い目を見そうだ。
「どうしよう・・・」
ユキヤは途方に暮れる。
「はぁ・・・」
再びため息をつくユキヤ。
(そもそも脱毛させられている時点で浮気のしようもないだろうがよ・・・)
ユキヤは心の中で毒づく。
ユキヤの浮気癖は、すみれの調教によって矯正されたはずだった。
『でも、成人式って同級生だった女子もいっぱい来るんでしょう?』
そんなすみれの口車(?)にまんまと乗せられてしまった・・・
「はめられた・・・」
後悔してももう遅いのだが、そう思わずにはいられないユキヤだった。
それからユキヤは、成人式に向けて色々準備をする。
成人式のために友人に連絡したり、寝るための部屋の片づけをしたり、
物置の整理をしたり、粗大ゴミを出したり・・・
「物置と粗大ゴミは俺関係ないけど・・・」
「いやぁこういうの男手多い時でないとできないし・・・」
息子というのはたまに実家に帰るとこき使われる。
しかもこんな時は力仕事だ。「はあ・・・」
ため息をつきつつも、なんだかんだで手伝ってしまうのだった。
夕食を食べ終えて、風呂に入って、後は寝るだけとなった。
「さすがに疲れた・・・」
ユキヤはベッドに倒れこむ。
「はあ・・・」
そしてまた大きなため息をついてしまうユキヤだった。
(1日ぐらいはさすがに大丈夫だが・・・)
ユキヤは指折り数えながら考える。
成人式は2日後だ。
つまり今日を入れてあと3日間は我慢しなければいけない。
「はあ・・・」
ため息しか出てこないユキヤであった。
***
次の日の朝。
ユキヤは朝食をとっていた。
今日のメニューはご飯に味噌汁に卵焼きに
鮭の塩焼きに納豆に海苔である。
「いただきます」
ユキヤは手を合わせて食べ始める。
「あんた、その髪何とかならないの?」
「え?別にいいじゃん」
「まったく・・・高校まで真面目だったのに」
「はいはい」
母親との何気ないやり取りをしながら、ユキヤは食事を終えた。
「ごちそうさまでした」
食器を流し台において、洗面所に向かう。
歯磨きをして、顔を洗い、寝ぐせを整える。
「よし!」
ユキヤは鏡の前でポーズを決める。
「なにしてんのあんた・・・」
「いや、ちょっとね・・・」
母親の冷たい視線を感じながらも、ユキヤは身だしなみを整えた。
「明日着るスーツの試着、ちゃんとしときなさいよ」
「わかってるよ」
「あと、お酒はほどほどにしとくこと」
「はいよ」
ユキヤは自室に戻ってスーツを取り出した。
紺色のジャケットとズボンで、ボタンがついている。
「うわっ!これ高いんじゃね!?」
ユキヤは値段を見て驚いた。
「まあいっか」
ユキヤは早速着替える。
「うーむ・・・」
ユキヤは姿見を見ながらネクタイを締める。
「やっぱ着慣れない感が強いな・・・」
ユキヤはそうつぶやく。「まあ、なんとかなるだろう」
一方その頃のすみれは・・・
「あ、明日美容院朝5時に予約したから。」
「5時?!」
「成人式だからねぇ」
「でも早すぎない?」
「なにいってんの、女の子は色々準備があるのよ。着付だってあるし。」
「でも・・・」
「大丈夫大丈夫、うちの近所に腕のいい美容師さんがいるの。
ちゃんと起きなさいね。
あとその足で写真館で写真撮って、おばあちゃんの家に行って
見せてきてから、神社に参拝だから、目まぐるしいわよ。」
自分よりも張り切る母に辟易するすみれだった・・・
「ふぇぇ・・・聞いてるだけで疲れる・・・」
****
その夜・・・
(う・・・そろそろまずいかもしれん)
ユキヤは股間を押さえていた。
貞操具がとちょっと窮屈になっていたのだ。
『盛りが付いたときはねぇ、冷たいシャワー浴びればいいんだって』
昨日のすみれの言葉を思い出す。(俺は犬か?!)
「まさかこんな早く使うことになるとは思わなかったけど・・・」
ユキヤは風呂場に向かった。
そして冷水を浴びて、体を冷やす。
確かに股間の膨張はある程度鎮まっていった・・・。
「はあ・・・どこの修行僧だよ俺は」ユキヤはため息をつく。
「さて、寝るか・・・」
そしてユキヤはベッドに潜り込んだ。
***
次の日。
いよいよ成人式だ。
ユキヤは早めに起床して、スーツを着る。
「やっぱり俺にはこういうの似合わない気が・・・」
鏡の前でポーズを決めてみる。
「いや、なかなか様になってるじゃないか」
ユキヤは自分で自分を褒める。
「さすがイケメンだな」
謎の自画自賛しながらユキヤは玄関を出る。
結構根は単純なのかもしれない。
神社を参拝して写真を撮った後、
式典会場となる高校の体育館へと移動する。
ユキヤはそこで高校時代の友人たちを再開した。「よう!久しぶり」
「おう!元気だったか?」「お前茶木か?!随分変わったな!」
「ああ、まあな」
そんなやり取りをしているうちに、開会宣言が行われる。
「これより第○○回 ××市成人式の開始を宣言します」
市長の挨拶が始まる。
「皆さん本日はおめでとうございます。今年は・・・」
ユキヤはぼーっと話を聞き流していた。
そのほか市の関係者があいさつした後、しばし歓談の時間となった。
ユキヤは友人と話しながら時間を潰している。
「お前、高校の時は真面目だったのにな・・・」
友人の1人が言う。高校時代の彼しか知らないと、そう思うのも無理はない。
「勝手にイケメンになりやがって・・・」「努力したと言え」
「そういうところは変わってないな」
「そうか?」
「高校の頃はもっと無口だったぞ」
「そうかな・・・変わんないと思うけど」
「まあ、今の方がいいけどな。話しやすいし」
「だろ?」ユキヤはニヤリとして見せる。
「ところでお前、最近彼女できたのか?」
「ん、まぁな」ユキヤは含みを持たせた言い方をする。
「そういやさっきから女の子に全然話しかけないよな?」
「そうだっけ?」
「そうだよ、いつもなら女侍らせてるのに」
「侍らせてるて・・・何だよその言い方・・・」
「もしかして彼女嫉妬深くて、やきもちを恐れてるとか?」
友人の鋭い指摘にユキヤなちょっとドキリとする。
「そうかもな」実際嫉妬どころか貞操具までつけさせられている。
(さすがにここでこんなものつけさせられてるのは・・・俺だけだろうな)
ユキヤは苦笑する。
「なんだよ、何かおかしいかよ」
「いや、何でもねぇよ」
「なになに?何の話~?!」
かつてのクラスメイトだった女子が割り込んできた。
「いや、こいつの彼女が束縛激しいって話でさ」
「へぇ、そうなんだ。ちょっと意外」
「おい、余計なこと言わなくていいから」
「はいはい、わかったわかった」ある意味間違ってはいない。
ここで会場からアナウンスが入る。
『続きまして、ここで皆さんの先輩からの応援スピーチとなります。』
「先輩?」「誰だろ?」
『この高校の出身者で、最近は大学在学中に起業したことで話題となっている、
緑山涼香さんに本日特別にお越しいただきました!』
・・・・・!
一瞬ユキヤが固まった。
つづく
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