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ドラゴンと独立宣言の章
そっくりそのまま!
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鮮血が飛び散り、ダークエルフの胸に赤い血が走る。素早く距離をとったがそれでも間に合わなかったようだ。恐らく使者を斬るなどという暴挙に出るとは思っていなかったのだろう。
「使者を斬るなど・・・ゆるされない・・・」
「だまれ!我が帝国に楯突く者は何人たりとて許されんのだ!人民を惑わす悪辣な者共め覚悟するがいいぞ!」
「しかと伝える・・・貴様こそ覚悟するがいい・・・」
口から血を吐きながら睨みつけるダークエルフの執念にゲオルグも多少たじろんだが鼻を鳴らすと逃げ去ったダークエルフをただ睨み返すのみだった。
(此度の使者相手に例え今回上手く行ったとて直に戦争は避けられぬ。ならばこのようにするしかあるまい)
元より過激な対外政策を考えていたが国境から出撃したゲオルグは国土の荒廃ぶりの一端を垣間見てからはその過激さに磨きをかけていた。新しい土地を得なければ国はやせ細っていくばかりなのである。
ならばリットリオが動けず、サマルが事情を知らぬ間に事を為すしかない。
がなる部下を下がらせた後も後悔していないワケではなかったがそれ以上に国は逼迫していたのだ。
「旦那様、どうなさるおつもりですか?」
「・・・」
遺体と面会した俺は眠るように横たわる彼女に祈りを捧げていた。そんな俺にアウロラは心配そうに告げる。戦闘に関してはそれなりだったものの斥侯としては優秀だったこの少女は任務を全うして永久の眠りについた。労を労うのは当然の事だ。
「戦争になる、そうなれば祈る時間は取れなくなるだろう。その分だけ彼女に頑張ってもらうつもりだっただけさ」
「そうですか・・・」
「さて、これくらいにしておこう。彼女が恐縮してしまうだろう」
墓地に埋葬するのはもう少し後になるが親族はもう別れを済ませたのだという。一人っ子の未婚であったため彼女の一族は断絶してしまった。
「戦争ってのは本当に嫌になるな、踏み消したつもりでも何時まで燻るものもあれば突然燃え出すものもあるんだからな」
相手の国の内情を具に知れていれば変わったかもしれないがそれでも予想外だった。斬られるような事言ったのか?なんにせよ相手は此方の譲歩を蹴った。内容を聞くこともなく。
「そうなったらもうやるっきゃねえよな。後悔させるしかよぉ!」
立ち上がってそう言うと俺はアウロラに全軍を集めるように言った。開拓団と言う事はおそらくそれほどの軍勢は連れては居ないだろう。兵士は開拓に従事できないし、食料も必要だからな。そうなるとつれて歩いている人間の大半は民間人。非戦力だ。そんなお荷物を連れて歩いているのだから当然引くも進むも民間人に合わせないといけなくなるわけで。
「カウボーイは牛に殺されることも多いんだ、精々頑張るといい」
騎士達を脅かすのは難しい。だが民間人を脅かして離散させるのは簡単だ、特に獣人達はザンナルから逃げ出したがっている。戦力をぶつける前にできるだけ人員をへつってやろう。
「さて、それでは逃亡民に協力してもらおうかな」
常識知らずには非常識で立ち向かってやろう。少々法に触れたところで相手が先にやってきた事。文句は言わせねえ。
「森は俺達の庭だ。好き勝手にはさせねえぞ」
「アレから何も起こりませんね」
念のため騎士には厳戒体制を敷いていたが何も起こる気配がなかった。兵士達にも疲れが見え始めているので徐々に休憩の数を増やすなどしていたが先日解除した。開拓も着々と進んでおり乾民も奮起しているようだった。
「やはり大した事はなかったのだろう」
言い聞かせるような一言だったが部下達も納得した様子で兵士達の見回りの日程などを決めている。
そしてそれから一週間後・・・。事件が起こった。
「将軍大変です!」
「なんだ?!なにがあった!」
「ど、奴隷が一人もいません!」
「なんだとぉ!?」
民間人のキャンプから奴隷が忽然と姿を消したのである。千人近くが一晩でである。
「なぜだ・・・奴らは皆やせ細っていて此処の配給を頼みに生きていたのではないのか?」
基本的にこの開拓団に選ばれた奴隷はほとんどが口減らしの為に呼ばれており故郷で食えないからと食料にありつける開拓団に応募したのだ。それゆえに彼らはやせ細っており単独であっても昼間の過酷な労働を終えてから逃げ出せるほどの体力は無かったはずであった。
「そ、そういえば・・・」
一度だけ部下の一人が違和感を感じたことがあった。それは奴隷のキャンプに巡回にいったときであった。
「あーあ、退屈だな・・・」
乾民は人間だからまだいいが奴隷はほとんどが獣人であり、下手をすると話すら通じない事もある。また健康な状態なら獣人の女性も可愛らしいが此処にはやせ細った者達ばかりである。学もなく、獣そのものの奴らも多い。
「ん?」
そんな時だった、キャンプのテントから這い出してきた獣人がふと目に留まった。その体つきはずいぶんと屈強でまるで兵士みたいな鍛えられ方であった。さらには他の獣人達と違い育ちの良さが見えるような気さえした。
「おい・・・いやまさかな」
声を掛けようとしたがその獣人が四つんばいでテコテコ歩き出したのでやっぱり獣人は獣なのかと思い直し、感じた違和感を記憶の片隅に追いやっていた。
「使者を斬るなど・・・ゆるされない・・・」
「だまれ!我が帝国に楯突く者は何人たりとて許されんのだ!人民を惑わす悪辣な者共め覚悟するがいいぞ!」
「しかと伝える・・・貴様こそ覚悟するがいい・・・」
口から血を吐きながら睨みつけるダークエルフの執念にゲオルグも多少たじろんだが鼻を鳴らすと逃げ去ったダークエルフをただ睨み返すのみだった。
(此度の使者相手に例え今回上手く行ったとて直に戦争は避けられぬ。ならばこのようにするしかあるまい)
元より過激な対外政策を考えていたが国境から出撃したゲオルグは国土の荒廃ぶりの一端を垣間見てからはその過激さに磨きをかけていた。新しい土地を得なければ国はやせ細っていくばかりなのである。
ならばリットリオが動けず、サマルが事情を知らぬ間に事を為すしかない。
がなる部下を下がらせた後も後悔していないワケではなかったがそれ以上に国は逼迫していたのだ。
「旦那様、どうなさるおつもりですか?」
「・・・」
遺体と面会した俺は眠るように横たわる彼女に祈りを捧げていた。そんな俺にアウロラは心配そうに告げる。戦闘に関してはそれなりだったものの斥侯としては優秀だったこの少女は任務を全うして永久の眠りについた。労を労うのは当然の事だ。
「戦争になる、そうなれば祈る時間は取れなくなるだろう。その分だけ彼女に頑張ってもらうつもりだっただけさ」
「そうですか・・・」
「さて、これくらいにしておこう。彼女が恐縮してしまうだろう」
墓地に埋葬するのはもう少し後になるが親族はもう別れを済ませたのだという。一人っ子の未婚であったため彼女の一族は断絶してしまった。
「戦争ってのは本当に嫌になるな、踏み消したつもりでも何時まで燻るものもあれば突然燃え出すものもあるんだからな」
相手の国の内情を具に知れていれば変わったかもしれないがそれでも予想外だった。斬られるような事言ったのか?なんにせよ相手は此方の譲歩を蹴った。内容を聞くこともなく。
「そうなったらもうやるっきゃねえよな。後悔させるしかよぉ!」
立ち上がってそう言うと俺はアウロラに全軍を集めるように言った。開拓団と言う事はおそらくそれほどの軍勢は連れては居ないだろう。兵士は開拓に従事できないし、食料も必要だからな。そうなるとつれて歩いている人間の大半は民間人。非戦力だ。そんなお荷物を連れて歩いているのだから当然引くも進むも民間人に合わせないといけなくなるわけで。
「カウボーイは牛に殺されることも多いんだ、精々頑張るといい」
騎士達を脅かすのは難しい。だが民間人を脅かして離散させるのは簡単だ、特に獣人達はザンナルから逃げ出したがっている。戦力をぶつける前にできるだけ人員をへつってやろう。
「さて、それでは逃亡民に協力してもらおうかな」
常識知らずには非常識で立ち向かってやろう。少々法に触れたところで相手が先にやってきた事。文句は言わせねえ。
「森は俺達の庭だ。好き勝手にはさせねえぞ」
「アレから何も起こりませんね」
念のため騎士には厳戒体制を敷いていたが何も起こる気配がなかった。兵士達にも疲れが見え始めているので徐々に休憩の数を増やすなどしていたが先日解除した。開拓も着々と進んでおり乾民も奮起しているようだった。
「やはり大した事はなかったのだろう」
言い聞かせるような一言だったが部下達も納得した様子で兵士達の見回りの日程などを決めている。
そしてそれから一週間後・・・。事件が起こった。
「将軍大変です!」
「なんだ?!なにがあった!」
「ど、奴隷が一人もいません!」
「なんだとぉ!?」
民間人のキャンプから奴隷が忽然と姿を消したのである。千人近くが一晩でである。
「なぜだ・・・奴らは皆やせ細っていて此処の配給を頼みに生きていたのではないのか?」
基本的にこの開拓団に選ばれた奴隷はほとんどが口減らしの為に呼ばれており故郷で食えないからと食料にありつける開拓団に応募したのだ。それゆえに彼らはやせ細っており単独であっても昼間の過酷な労働を終えてから逃げ出せるほどの体力は無かったはずであった。
「そ、そういえば・・・」
一度だけ部下の一人が違和感を感じたことがあった。それは奴隷のキャンプに巡回にいったときであった。
「あーあ、退屈だな・・・」
乾民は人間だからまだいいが奴隷はほとんどが獣人であり、下手をすると話すら通じない事もある。また健康な状態なら獣人の女性も可愛らしいが此処にはやせ細った者達ばかりである。学もなく、獣そのものの奴らも多い。
「ん?」
そんな時だった、キャンプのテントから這い出してきた獣人がふと目に留まった。その体つきはずいぶんと屈強でまるで兵士みたいな鍛えられ方であった。さらには他の獣人達と違い育ちの良さが見えるような気さえした。
「おい・・・いやまさかな」
声を掛けようとしたがその獣人が四つんばいでテコテコ歩き出したのでやっぱり獣人は獣なのかと思い直し、感じた違和感を記憶の片隅に追いやっていた。
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