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ドラゴンと独立宣言の章
大砲とドワーフたち その4
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「さて、中抜きした砲弾の数は限りがあるから木製の筒を作るか・・・筒もメンドクサイし箱でもいいか」
とりあえず試験目的なので空洞の箱を作ることにした。フタつきの箱を幾つか作るとそこに風と火の魔法陣を書いた板を同じく作るとそれを密着させて組み込む。そして蓋を閉めて穴を開けるとそこから魔石を放り込んでみる。すると上手く反応しなかったのか開けた穴からプシューと音がしたかと思うとそれに送れて発火した。どうやら同時に反応しなかったらしい。
「ただ放り込んだだけじゃ駄目か・・・」
信管を作って同時に火と風の魔法陣に反応するようにしたい。そうなるとどうすればいいんだろうか?
「しっかし木を削っているとカラクリ箱を思い出すな・・・」
その昔骨董品コレクターの友人が秘密箱を集めていたのを思い出した。腕力で開閉したら二度と触らせてくれなくなったので一メートル離れた距離から観察したり友人がカラクリを解いて見せてくれたのはバカなりに興味深く楽しげなものだった。
「パズルは苦手だったが・・・ん?パズル?」
ひらめいたかもしれない!早速作ってみよう!
「この閉鎖機ってのが難しいな・・・」
「しかしこの大砲の威力から察するに爆発の力を最大限に発揮するには空気が抜けないようにしないといけねえんだろ・・・バネ作ってる時に教わったネジが役に立つんじゃねえか?」
「ネジで蓋するってのか?確かにそれなら漏れないか・・・よし!さっそくやってみよう!」
ゴンゾ達の大砲製造も飛躍的に発展していた。知識はヴォルカンから湯水のように流れてくるので彼らはそれを試行錯誤の末再現するので簡単ではないがまたゼロから開発するほど難しすぎるという事もなかった。
「ネジで蓋すると簡単だが締めるのに時間が掛かるな」
「しかし耐久度から考えてもこれは凄いぞ、空気漏れもほとんどないし」
「そういえば掛け金の鍵があったろ?」
「なんでぇ藪から棒に、そういやあれ簡単な割りに頑丈にしやすくて錠前引っかけりゃ二重鍵にもできるからな」
「あれみたくちょっとねじったら締まるようにすりゃ頑丈さと時間短縮両方できるんじゃね?」
「「「「なるほど!」」」」
「そんでよ、蝶番で開閉式にすりゃさらに時間が短くなるんじゃね?」
「「「「それだ!」」」」
閉鎖機に関しての機構に納得がいったドワーフ達は次に発射機構に関して議論する。
「頑丈に蓋しちまったらどうやって炸薬とやらに火をつけるんだ?」
「ふらんき砲には点火孔があったが・・・そんなもん作ったら威力アップは見込めないし・・・」
「分厚い金属を通して炸薬に点火できるほどの魔法使いはすくねえぞ、火の魔法陣でも仕込むか?」
「そういえば大将が雷管ってのを作りたがってたが要は砲弾のケツに火をつけれりゃいいわけだろ」
「なんかいい方法あるのかよ?」
「魔法陣付きの板かなんか仕込んで・・・そういや炸薬の量も一定にしないと砲身が爆発するだろ?閉鎖機は出来たんだし次は容器作っちまおうぜ、砲弾と炸薬と点火装置つきの奴」
数人がかりの開発は金属板の製造と砲身の製造と同時進行で進められながら急ピッチで進んでいった。
そしてこの世界で後装填式から始まった大砲の開発は薬莢の開発へとシフトしようとしていた。
幸いながら発火に必要な術式と魔力という電気に近い性質を人間でも容易に起こせた為電気式雷管に近い物が出来上がりつつあった。
一方、下層民の流出に対する対応に追われるザンナル帝国でも動きがあった。
「大臣閣下、潤民の出自が判明しました!」
帳簿を見て頭を抱えるクリムツカの元に部下の報告が舞い込む。
「誰だった?」
「エルフの一団の様です。わが国の歴史の影に隠れるようにエルフ達は過ごしていたようです、ですが近年エルフ達の出国が相次いでいました。今回は富裕層の出奔ということで人数も相まって表面化したようです」
「文献では先祖の遺跡から出土した記録と照らし合わせても200年近く前から交流があった・・・それが何故?」
椅子に体を預け、天井を睨んでも現状では情報が少なすぎる。
「わかりません、ですがエルフ達はわが国だけでなくさまざまな地方に散っているといいます」
「やはり誰かがエルフを操ってなにか良からぬ事を企んでいるのではないだろうか?」
「たしかエルフは獣人達亜人の保護を訴えていると聞きますが・・・」
エルフの思想は神の代理人たるドラゴンを頂点とし、他は種族の隔てなく交わるべしという宗教を立ち上げるものも居る。それゆえに王族や貴族からは階級の破壊者とするものもおり、昔から弾圧や譲歩の元折り合いをつけてきた。
(しかし彼女達が動くとしてもこの国で影響力があるのは獣人や亜人に対してだけだ・・・彼らには武器はおろか知識や教育すら満足受けないせいで文字はおろか魔法すら使えない。魔力のコントロールすら覚束無いから兵力としてもキビしい。混乱させるにしたって彼らは都市の外郭にほとんど集められていて襲撃もできないはず・・・となると、彼らを支援する新しい組織が?)
そろってフィゼラーに逃げ出すことと含めて推理を進めるクリムツカは今日も見えない敵に対する恐怖感を募らせていた。
とりあえず試験目的なので空洞の箱を作ることにした。フタつきの箱を幾つか作るとそこに風と火の魔法陣を書いた板を同じく作るとそれを密着させて組み込む。そして蓋を閉めて穴を開けるとそこから魔石を放り込んでみる。すると上手く反応しなかったのか開けた穴からプシューと音がしたかと思うとそれに送れて発火した。どうやら同時に反応しなかったらしい。
「ただ放り込んだだけじゃ駄目か・・・」
信管を作って同時に火と風の魔法陣に反応するようにしたい。そうなるとどうすればいいんだろうか?
「しっかし木を削っているとカラクリ箱を思い出すな・・・」
その昔骨董品コレクターの友人が秘密箱を集めていたのを思い出した。腕力で開閉したら二度と触らせてくれなくなったので一メートル離れた距離から観察したり友人がカラクリを解いて見せてくれたのはバカなりに興味深く楽しげなものだった。
「パズルは苦手だったが・・・ん?パズル?」
ひらめいたかもしれない!早速作ってみよう!
「この閉鎖機ってのが難しいな・・・」
「しかしこの大砲の威力から察するに爆発の力を最大限に発揮するには空気が抜けないようにしないといけねえんだろ・・・バネ作ってる時に教わったネジが役に立つんじゃねえか?」
「ネジで蓋するってのか?確かにそれなら漏れないか・・・よし!さっそくやってみよう!」
ゴンゾ達の大砲製造も飛躍的に発展していた。知識はヴォルカンから湯水のように流れてくるので彼らはそれを試行錯誤の末再現するので簡単ではないがまたゼロから開発するほど難しすぎるという事もなかった。
「ネジで蓋すると簡単だが締めるのに時間が掛かるな」
「しかし耐久度から考えてもこれは凄いぞ、空気漏れもほとんどないし」
「そういえば掛け金の鍵があったろ?」
「なんでぇ藪から棒に、そういやあれ簡単な割りに頑丈にしやすくて錠前引っかけりゃ二重鍵にもできるからな」
「あれみたくちょっとねじったら締まるようにすりゃ頑丈さと時間短縮両方できるんじゃね?」
「「「「なるほど!」」」」
「そんでよ、蝶番で開閉式にすりゃさらに時間が短くなるんじゃね?」
「「「「それだ!」」」」
閉鎖機に関しての機構に納得がいったドワーフ達は次に発射機構に関して議論する。
「頑丈に蓋しちまったらどうやって炸薬とやらに火をつけるんだ?」
「ふらんき砲には点火孔があったが・・・そんなもん作ったら威力アップは見込めないし・・・」
「分厚い金属を通して炸薬に点火できるほどの魔法使いはすくねえぞ、火の魔法陣でも仕込むか?」
「そういえば大将が雷管ってのを作りたがってたが要は砲弾のケツに火をつけれりゃいいわけだろ」
「なんかいい方法あるのかよ?」
「魔法陣付きの板かなんか仕込んで・・・そういや炸薬の量も一定にしないと砲身が爆発するだろ?閉鎖機は出来たんだし次は容器作っちまおうぜ、砲弾と炸薬と点火装置つきの奴」
数人がかりの開発は金属板の製造と砲身の製造と同時進行で進められながら急ピッチで進んでいった。
そしてこの世界で後装填式から始まった大砲の開発は薬莢の開発へとシフトしようとしていた。
幸いながら発火に必要な術式と魔力という電気に近い性質を人間でも容易に起こせた為電気式雷管に近い物が出来上がりつつあった。
一方、下層民の流出に対する対応に追われるザンナル帝国でも動きがあった。
「大臣閣下、潤民の出自が判明しました!」
帳簿を見て頭を抱えるクリムツカの元に部下の報告が舞い込む。
「誰だった?」
「エルフの一団の様です。わが国の歴史の影に隠れるようにエルフ達は過ごしていたようです、ですが近年エルフ達の出国が相次いでいました。今回は富裕層の出奔ということで人数も相まって表面化したようです」
「文献では先祖の遺跡から出土した記録と照らし合わせても200年近く前から交流があった・・・それが何故?」
椅子に体を預け、天井を睨んでも現状では情報が少なすぎる。
「わかりません、ですがエルフ達はわが国だけでなくさまざまな地方に散っているといいます」
「やはり誰かがエルフを操ってなにか良からぬ事を企んでいるのではないだろうか?」
「たしかエルフは獣人達亜人の保護を訴えていると聞きますが・・・」
エルフの思想は神の代理人たるドラゴンを頂点とし、他は種族の隔てなく交わるべしという宗教を立ち上げるものも居る。それゆえに王族や貴族からは階級の破壊者とするものもおり、昔から弾圧や譲歩の元折り合いをつけてきた。
(しかし彼女達が動くとしてもこの国で影響力があるのは獣人や亜人に対してだけだ・・・彼らには武器はおろか知識や教育すら満足受けないせいで文字はおろか魔法すら使えない。魔力のコントロールすら覚束無いから兵力としてもキビしい。混乱させるにしたって彼らは都市の外郭にほとんど集められていて襲撃もできないはず・・・となると、彼らを支援する新しい組織が?)
そろってフィゼラーに逃げ出すことと含めて推理を進めるクリムツカは今日も見えない敵に対する恐怖感を募らせていた。
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