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ガルデンヘイム王国王都で
アイテム袋を取り返す!
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屋根が低くなっていくので私は近くで一番背の高い教会らしき建物に登って男の子達を見守ってみる。しかしこんな稼ぎをするというのは感心しないよね。
「お、ガラの悪そうな大人と合流した」
どうやら子供に悪さをさせて小金を渡している悪党がいるようだ。白黒ピエロに密告したら面白い事になりそうだけどどうしようかな。と、思ったらなんか雲行きが怪しい。
「・・・!」
「・・・」
「・・・!・・・!」
良く聞こえないが直ぐに立ち去ろうとした男達に男の子が何か言っている。そしてその返答に対して納得が出来なかったのか言い争いになっている。あ、蹴られた。そして私から掏り取ったアイテム袋を取り上げられてしまった。
「可哀想って言葉で片付けるのもアレだし、ちょいと助けてあげようかな」
男達が居なくなった後、とぼとぼと踵を返した二人を追いかけていく。アイテム袋はいつでも取り返せるけどあの子達を此処で見つけるのは大変だしね。観察しているとチビッ子達は教会らしき建物へと向かう。
「あそこで何がって・・・あれは炊き出しか」
近づくに連れていいにおいがしてきたと思うと建物の前でシスターの格好をした人達が食事を配っているのが見える。そしてチビッ子達もその列の最後尾に並び、スープとパンを受け取って二人で食べ始めた。
「あそこにこの格好で近づくのは気が引けるけど・・・ま、いっか」
屋根から飛び降りて着地すると周囲の注目が集まる。貴族が着るような服装を身に纏った少女が突然現れたのだから当然か。
「ごきげんよう」
にこやかに答えると皆がポカンとしたまま私を見つめている。やめてよ、私そんなにメンタル強くないんだけど。
「あの・・・どちら様でしょうか?」
「名乗るほどではありません・・・えっと、人探しをしているんですけど?」
「人探し・・・ですか?」
明らかなこの場における不純物に勇気をだして話しかけてきたのは若いシスターでした。
圧倒的アウェー感に泣き出したいんだけど・・・。
「小さな男の子と女の子の兄妹なんだけど」
「そうですか・・・ですが子供といいましても数はそれなりに居ますし、孤児の面倒も此方で見ておりますので・・・」
「そうですか・・・実は彼らに高価な品を預けたのですが・・・」
「えっ?!高価な品ですか!」
なにやってんだといわんばかりのシスターの顔に負けそうになりながらも私はかろうじて用件を伝える。
「彼らに物を預けたのは確かなんですよ?」
「・・・はぁ」
「それで、その中には孤児院とこの炊き出しを円滑に進めていただくための寄付金が入っているので・・・」
そう言うとシスターは再びなにやってんだと言わんばかりの表情になる。やめて、もう泣きそうだよ。寄付金は嘘だけど国王陛下に対する献上品が入っているのでそれをしても良い位の価値があるはず。なによりあの小さな子供を犯罪者にするのはちょいと後味が悪い。孤児院があるならそっちの名誉にも関わるしね。しかしそれよりその残念そうな子を見る目で私を見ないでよ・・・。
「うぅ・・・」
「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
「金貨の単位ならお役に立てると思ったので・・・それが無駄になったのではと思うと」
「それは・・・なんといったらいいか・・・そんなに悲しまないでください」
どうやら彼女は私の誠意を感じ取ってくれたようだ。嘘です、アウェー感とシスターの視線に負けて泣きそうになってるだけです。ぶっちゃけ金貨とかはどうでもいい。隠したら罪でも盗まれたなら罪には問われないだろうし、適当に理由つけて皇太子のお坊ちゃんに会わなくてよくなるし。
最悪袋だけ戻ってきてくれればOKなのだけど。
「と、とりあえず小さな女の子と男の子に・・・あ、あの子達だ」
こっそりほかの人のパンをくすねている男の子とそれを心配そうに見つめる女の子がいた。
私のアイテム袋を盗んだ男の子達だ。
「あの二人は・・・たしか孤児院のリッキーとアイナですね。男の子がリッキーで女の子がアイナです」
「なるほど、あの子達が・・・しかし彼らが貴女たちの所に私の寄付金を届けに来る事はなかった・・・」
「ですが、あの子達がどうして・・・」
心配そうにしているシスター。そりゃ孤児院に居る子供が悪事を働いているなんて考えたくないよね。
「きっと金品を持たせた時に誰かに盗られたのでは無いでしょうか」
「そうですね、その方が辻褄が合います!」
そうに違いない!といった様子のシスターさん。ああ、この人良い人そうだな。とりあえず盗まれた事は伏せといたほうがいいね。
「お、ガラの悪そうな大人と合流した」
どうやら子供に悪さをさせて小金を渡している悪党がいるようだ。白黒ピエロに密告したら面白い事になりそうだけどどうしようかな。と、思ったらなんか雲行きが怪しい。
「・・・!」
「・・・」
「・・・!・・・!」
良く聞こえないが直ぐに立ち去ろうとした男達に男の子が何か言っている。そしてその返答に対して納得が出来なかったのか言い争いになっている。あ、蹴られた。そして私から掏り取ったアイテム袋を取り上げられてしまった。
「可哀想って言葉で片付けるのもアレだし、ちょいと助けてあげようかな」
男達が居なくなった後、とぼとぼと踵を返した二人を追いかけていく。アイテム袋はいつでも取り返せるけどあの子達を此処で見つけるのは大変だしね。観察しているとチビッ子達は教会らしき建物へと向かう。
「あそこで何がって・・・あれは炊き出しか」
近づくに連れていいにおいがしてきたと思うと建物の前でシスターの格好をした人達が食事を配っているのが見える。そしてチビッ子達もその列の最後尾に並び、スープとパンを受け取って二人で食べ始めた。
「あそこにこの格好で近づくのは気が引けるけど・・・ま、いっか」
屋根から飛び降りて着地すると周囲の注目が集まる。貴族が着るような服装を身に纏った少女が突然現れたのだから当然か。
「ごきげんよう」
にこやかに答えると皆がポカンとしたまま私を見つめている。やめてよ、私そんなにメンタル強くないんだけど。
「あの・・・どちら様でしょうか?」
「名乗るほどではありません・・・えっと、人探しをしているんですけど?」
「人探し・・・ですか?」
明らかなこの場における不純物に勇気をだして話しかけてきたのは若いシスターでした。
圧倒的アウェー感に泣き出したいんだけど・・・。
「小さな男の子と女の子の兄妹なんだけど」
「そうですか・・・ですが子供といいましても数はそれなりに居ますし、孤児の面倒も此方で見ておりますので・・・」
「そうですか・・・実は彼らに高価な品を預けたのですが・・・」
「えっ?!高価な品ですか!」
なにやってんだといわんばかりのシスターの顔に負けそうになりながらも私はかろうじて用件を伝える。
「彼らに物を預けたのは確かなんですよ?」
「・・・はぁ」
「それで、その中には孤児院とこの炊き出しを円滑に進めていただくための寄付金が入っているので・・・」
そう言うとシスターは再びなにやってんだと言わんばかりの表情になる。やめて、もう泣きそうだよ。寄付金は嘘だけど国王陛下に対する献上品が入っているのでそれをしても良い位の価値があるはず。なによりあの小さな子供を犯罪者にするのはちょいと後味が悪い。孤児院があるならそっちの名誉にも関わるしね。しかしそれよりその残念そうな子を見る目で私を見ないでよ・・・。
「うぅ・・・」
「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
「金貨の単位ならお役に立てると思ったので・・・それが無駄になったのではと思うと」
「それは・・・なんといったらいいか・・・そんなに悲しまないでください」
どうやら彼女は私の誠意を感じ取ってくれたようだ。嘘です、アウェー感とシスターの視線に負けて泣きそうになってるだけです。ぶっちゃけ金貨とかはどうでもいい。隠したら罪でも盗まれたなら罪には問われないだろうし、適当に理由つけて皇太子のお坊ちゃんに会わなくてよくなるし。
最悪袋だけ戻ってきてくれればOKなのだけど。
「と、とりあえず小さな女の子と男の子に・・・あ、あの子達だ」
こっそりほかの人のパンをくすねている男の子とそれを心配そうに見つめる女の子がいた。
私のアイテム袋を盗んだ男の子達だ。
「あの二人は・・・たしか孤児院のリッキーとアイナですね。男の子がリッキーで女の子がアイナです」
「なるほど、あの子達が・・・しかし彼らが貴女たちの所に私の寄付金を届けに来る事はなかった・・・」
「ですが、あの子達がどうして・・・」
心配そうにしているシスター。そりゃ孤児院に居る子供が悪事を働いているなんて考えたくないよね。
「きっと金品を持たせた時に誰かに盗られたのでは無いでしょうか」
「そうですね、その方が辻褄が合います!」
そうに違いない!といった様子のシスターさん。ああ、この人良い人そうだな。とりあえず盗まれた事は伏せといたほうがいいね。
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