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旅立ちの日に
山賊騒ぎもそろそろおしまいかな
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感動の再会から少しして山賊討伐の証として山賊達の遺体を一部保存することにした。王都ではこういった重罪人をさらし者にすることがあるそうだ。趣味悪いね。なにより身元の照会も必要だそうだ。彼らが名のある山賊ならば討伐されたことは大々的に発表されるし、有名人を騙った偽物ならば見せしめとしてさらに無残な姿で晒されることになる。とりあえず戦闘でついた傷って事にして魂を回収、そののちに獣に食べられないようにグレイウルフたちに見張ってもらうことにした。
「再会の後の仕事としちゃちょいとばかし血生臭いけど・・・ま、いっか」
心臓部を切り開けとの事だったが魂の抽出にそこまでする必要はない。魔術師である先生の弟子である私を舐めないでほしい。
「ほいっと、死ぬと魂はあっさりと抜ける」
心臓部に手を翳し、魔力で無理矢理引き剥がすのだ。人間は魂、幽体、肉体の三層で構成されると先生から聞いた。
その内死ぬと幽体が真っ先に変質して魂と肉体を繋ぐ役割を失う。それ故に魂は肉体から離れて死神や世界の力によって吸い上げられて世界を循環するがその際に強い力は必要ない、つまり死んだら魂は無防備なのだ。
そして魂が抜ければ動く事もなく、アンデッドになる事もない。アンデッドは死んでも残る魂の衝動が幽体が壊れきる前に変質して魂と肉体を繋ぎ続けるから復讐や生存本能がクローズアップされた状態になる。幽体の変質と一度死ぬレベルの肉体の損傷を受ける事で脳が傷むとかなんとか聞いたけど脳のしくみは私にもよくわからないのでスルー。
「おー、どす黒い・・・」
悪魔の彼、名前が無いっていうか真名に縛られるらしいので教えてもらえなかった。なので便宜上ジョンと呼ぶことにした。名無しなのでジョン・スミスなんてどうだろうか。先生のカルテの中に名無しの人を便宜上そう呼んでいたのを覚えている。そんなジョンが持っていたレンズは魂が邪悪に染まっているか、善性に寄っているかを見極めることができる。山賊の頭目の魂は分かりやすい黒。
「ジョンのレンズって便利よね、モノクル?だっけ」
『リーシュでは嵌められないだろうが普通はこうやって目に掛けるんだ、眼鏡みたいなものだよ』
影が隆起して実体化したジョンがモノクルを掛ける。確かにこれは私じゃ無理だわ、ってかサイズが人間サイズじゃないし。私の目は掌より大きくないわ。
『さて、魂が回収し終わったら町とやらに行こうじゃないか。私もベッドで寝たいなぁ』
影の中は快適ではあるらしいが情緒というか風情がないらしくそれを彼はとても不満に思っている。悪魔は享楽に対して造詣が深いし、こだわりもあるから仕方ないけど。
そんなこんなで魂の回収は完了、後は戻って無事を報告するだけだ。
「ただいまー・・・」
「お姉ちゃん!」
「うわっと!」
門の近くに行くと黒山の人だかりが。そっと近づいて帰ってきたことを伝えるとリッキーが飛びついてきた。
そしてそこにはおじさんと僧侶の人たちもいて、私達を見つけると駆け寄ってきた。
「大丈夫だったか?!心配かけさせやがって!」
「お怪我はありませんか!貴女がたのお陰で無事に帰る事ができました・・・なんとお礼を言ったらいいか」
フェルグスおじさんの言葉を皮切りに皆が私達の心配をしてくれている。特に僧侶さんと私達が殿を引き受けた時にすれ違った冒険者さんたちからの心配の声が多かった。
「とりあえず私達は無事よ、でもアンデッドの処理は済んでないからまた出張る必要があるかも」
「アンデッドもそれを悪用する奴らが居なければどうってことはないですよ、腐肉を食べる魔物が出張ってきて処理してくれることもあるから当面は道の周囲を固めればなんとかなります」
この世界の分解者はかなりアグレッシブだ。腐食性というヤツらしいが大形の魔物なんかが出たりする。彼らは大体死骸や腐肉を食べるのだがその中で魔力を帯びた腐肉、要はアンデッドが大好物なのだ。好きすぎて墓を荒らしたりもするが外にアンデッドがうろうろしている内は問題ない。それに彼らは腐肉以外には目もくれないので中にはアンデッド対策の切り札として飼っている人もいるらしい。
「とりあえずお嬢ちゃんが無事でよかった・・・それで、そこのお嬢さんはだれだ?」
「僧侶さんを此処に連れて来た張本人で身内なの、とりあえず宿に戻ったら事情は話すわ」
「なんかワケありっぽいな、とりあえずそう言うことなら後で構わねえが・・・体力的にはどうだ?」
「問題ないわ、ジェイナ!貴女は?」
「問題ないよ」
問題ないと答えると山賊の身元照会にギルドのメンバーと再度山に登ることになった。アンデッドがうろついてないかも気になるそうだ。そして今回はリッキーとフェルグスおじさんも同行することになった。
「再会の後の仕事としちゃちょいとばかし血生臭いけど・・・ま、いっか」
心臓部を切り開けとの事だったが魂の抽出にそこまでする必要はない。魔術師である先生の弟子である私を舐めないでほしい。
「ほいっと、死ぬと魂はあっさりと抜ける」
心臓部に手を翳し、魔力で無理矢理引き剥がすのだ。人間は魂、幽体、肉体の三層で構成されると先生から聞いた。
その内死ぬと幽体が真っ先に変質して魂と肉体を繋ぐ役割を失う。それ故に魂は肉体から離れて死神や世界の力によって吸い上げられて世界を循環するがその際に強い力は必要ない、つまり死んだら魂は無防備なのだ。
そして魂が抜ければ動く事もなく、アンデッドになる事もない。アンデッドは死んでも残る魂の衝動が幽体が壊れきる前に変質して魂と肉体を繋ぎ続けるから復讐や生存本能がクローズアップされた状態になる。幽体の変質と一度死ぬレベルの肉体の損傷を受ける事で脳が傷むとかなんとか聞いたけど脳のしくみは私にもよくわからないのでスルー。
「おー、どす黒い・・・」
悪魔の彼、名前が無いっていうか真名に縛られるらしいので教えてもらえなかった。なので便宜上ジョンと呼ぶことにした。名無しなのでジョン・スミスなんてどうだろうか。先生のカルテの中に名無しの人を便宜上そう呼んでいたのを覚えている。そんなジョンが持っていたレンズは魂が邪悪に染まっているか、善性に寄っているかを見極めることができる。山賊の頭目の魂は分かりやすい黒。
「ジョンのレンズって便利よね、モノクル?だっけ」
『リーシュでは嵌められないだろうが普通はこうやって目に掛けるんだ、眼鏡みたいなものだよ』
影が隆起して実体化したジョンがモノクルを掛ける。確かにこれは私じゃ無理だわ、ってかサイズが人間サイズじゃないし。私の目は掌より大きくないわ。
『さて、魂が回収し終わったら町とやらに行こうじゃないか。私もベッドで寝たいなぁ』
影の中は快適ではあるらしいが情緒というか風情がないらしくそれを彼はとても不満に思っている。悪魔は享楽に対して造詣が深いし、こだわりもあるから仕方ないけど。
そんなこんなで魂の回収は完了、後は戻って無事を報告するだけだ。
「ただいまー・・・」
「お姉ちゃん!」
「うわっと!」
門の近くに行くと黒山の人だかりが。そっと近づいて帰ってきたことを伝えるとリッキーが飛びついてきた。
そしてそこにはおじさんと僧侶の人たちもいて、私達を見つけると駆け寄ってきた。
「大丈夫だったか?!心配かけさせやがって!」
「お怪我はありませんか!貴女がたのお陰で無事に帰る事ができました・・・なんとお礼を言ったらいいか」
フェルグスおじさんの言葉を皮切りに皆が私達の心配をしてくれている。特に僧侶さんと私達が殿を引き受けた時にすれ違った冒険者さんたちからの心配の声が多かった。
「とりあえず私達は無事よ、でもアンデッドの処理は済んでないからまた出張る必要があるかも」
「アンデッドもそれを悪用する奴らが居なければどうってことはないですよ、腐肉を食べる魔物が出張ってきて処理してくれることもあるから当面は道の周囲を固めればなんとかなります」
この世界の分解者はかなりアグレッシブだ。腐食性というヤツらしいが大形の魔物なんかが出たりする。彼らは大体死骸や腐肉を食べるのだがその中で魔力を帯びた腐肉、要はアンデッドが大好物なのだ。好きすぎて墓を荒らしたりもするが外にアンデッドがうろうろしている内は問題ない。それに彼らは腐肉以外には目もくれないので中にはアンデッド対策の切り札として飼っている人もいるらしい。
「とりあえずお嬢ちゃんが無事でよかった・・・それで、そこのお嬢さんはだれだ?」
「僧侶さんを此処に連れて来た張本人で身内なの、とりあえず宿に戻ったら事情は話すわ」
「なんかワケありっぽいな、とりあえずそう言うことなら後で構わねえが・・・体力的にはどうだ?」
「問題ないわ、ジェイナ!貴女は?」
「問題ないよ」
問題ないと答えると山賊の身元照会にギルドのメンバーと再度山に登ることになった。アンデッドがうろついてないかも気になるそうだ。そして今回はリッキーとフェルグスおじさんも同行することになった。
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