6 / 76
愛玩人形
2
しおりを挟む
「このビスク・ドールは他の人形とは遥かに違います。これこそがまさに究極のドールでございます。きっと貴方様も驚くに違いません。今から話すことは他言無用です。誰にもこのことを話してはなりません。いいですねローゼフ様?」
「――ああ、わかった。これはお前と私だけの秘密だ」
商人は彼の返事を聞くと、人形を手に取って真剣な表情で話し始めた。
「最初に言いますが貴方様は霊の存在を信じておられます。それこそ超自然現象や、神や天使や、悪魔さえ信じておられます」
「そうだ。だったらなんだと言うのだ?」
「まさにそこなんです! 今から話すことはまさにそれなのです!」
アーバンは興奮気味の様子で話すと軽く咳払いをした。
「ゴホン……いいですかローゼフ様、これは特別な骨董品でございます。きっと今まで貴方様がみてきた骨董品とは遥かに違います。タロット占いも、水晶占いも、ウィジャボードも、霊との交霊術よりも、遥かに魅力的なものです」
商人の言葉に思わず聞き返した。
「知っていたのか……?」
「はい、貴方様の執事が私にそう話したのです。貴方様がオカルトに手を出していることを嘆いていました」
その話に頭がカッとなると、舌打ちをして愚痴をこぼした。
「あのおしゃべり執事め……!」
「この人形を一言で例えると摩可不思議な人形でございます。もっと砕いて言います。とこの人形は人の愛を欲しがる人形です!」
「あ、愛……? 愛を欲しがる人形……? バカな! 急に何を言っているのだお前は!?」
彼はその言葉に思わず反応すると、両手で胸ぐらを掴んで問い詰めた。
「お、落ち着いて下さいローゼフ様……!」
「これが落ち着いていられるか! 人形が人の愛を欲しがるわけがないだろ! 人形は人形なんだぞ!?」
ローゼフは興奮した様子で問い詰めると、商人は困った表情で言い返した。
「本当に本当なんです! この人形は愛玩ドールと言う幻の人形なんです!」
「愛玩ドール?」
その言葉に掴んだ胸ぐらをパッと離した。
「さようです。この人形は人の愛を欲しがる人形であり、その為に作られた特別な人形なのです……! まさに人形の中の究極のドールとも言えます!」
商人の話に思わず、彼は不思議とその話を聞き入れた。
「愛を欲しがる人形だと……? ばかな! それではまるで生きてるみたいではないか……!?」
ローゼフは気味悪そうな表情で言い返すと、人形が入った青い鞄を指差した。
「確かにその通りです。このままだとただの人形でございます。ですがあることをすると人形に魂が宿り、人に姿を変えるのです……!」
「なっ、なんだと……!?」
「言ったでしょう。この人形は不思議な人形だと――」
「あっさりと言うな! お前、気持ち悪いと思わないのか!? 人形が生きてるんだぞ……!?」
激しく動揺する彼の様子とはうってかわり、商人は落ち着いていた。
「すみません。職業病なのでそう言ったことについては免疫がついているので、あまり驚かなくなってしまったんです……」
「た、確かにお前みたいな変な骨董品屋は変わってるしか言いようがないな――」
彼はそう話すと両腕を組んで、あきれた表情を浮かべた。
「――ああ、わかった。これはお前と私だけの秘密だ」
商人は彼の返事を聞くと、人形を手に取って真剣な表情で話し始めた。
「最初に言いますが貴方様は霊の存在を信じておられます。それこそ超自然現象や、神や天使や、悪魔さえ信じておられます」
「そうだ。だったらなんだと言うのだ?」
「まさにそこなんです! 今から話すことはまさにそれなのです!」
アーバンは興奮気味の様子で話すと軽く咳払いをした。
「ゴホン……いいですかローゼフ様、これは特別な骨董品でございます。きっと今まで貴方様がみてきた骨董品とは遥かに違います。タロット占いも、水晶占いも、ウィジャボードも、霊との交霊術よりも、遥かに魅力的なものです」
商人の言葉に思わず聞き返した。
「知っていたのか……?」
「はい、貴方様の執事が私にそう話したのです。貴方様がオカルトに手を出していることを嘆いていました」
その話に頭がカッとなると、舌打ちをして愚痴をこぼした。
「あのおしゃべり執事め……!」
「この人形を一言で例えると摩可不思議な人形でございます。もっと砕いて言います。とこの人形は人の愛を欲しがる人形です!」
「あ、愛……? 愛を欲しがる人形……? バカな! 急に何を言っているのだお前は!?」
彼はその言葉に思わず反応すると、両手で胸ぐらを掴んで問い詰めた。
「お、落ち着いて下さいローゼフ様……!」
「これが落ち着いていられるか! 人形が人の愛を欲しがるわけがないだろ! 人形は人形なんだぞ!?」
ローゼフは興奮した様子で問い詰めると、商人は困った表情で言い返した。
「本当に本当なんです! この人形は愛玩ドールと言う幻の人形なんです!」
「愛玩ドール?」
その言葉に掴んだ胸ぐらをパッと離した。
「さようです。この人形は人の愛を欲しがる人形であり、その為に作られた特別な人形なのです……! まさに人形の中の究極のドールとも言えます!」
商人の話に思わず、彼は不思議とその話を聞き入れた。
「愛を欲しがる人形だと……? ばかな! それではまるで生きてるみたいではないか……!?」
ローゼフは気味悪そうな表情で言い返すと、人形が入った青い鞄を指差した。
「確かにその通りです。このままだとただの人形でございます。ですがあることをすると人形に魂が宿り、人に姿を変えるのです……!」
「なっ、なんだと……!?」
「言ったでしょう。この人形は不思議な人形だと――」
「あっさりと言うな! お前、気持ち悪いと思わないのか!? 人形が生きてるんだぞ……!?」
激しく動揺する彼の様子とはうってかわり、商人は落ち着いていた。
「すみません。職業病なのでそう言ったことについては免疫がついているので、あまり驚かなくなってしまったんです……」
「た、確かにお前みたいな変な骨董品屋は変わってるしか言いようがないな――」
彼はそう話すと両腕を組んで、あきれた表情を浮かべた。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる