29 / 193
第2章―戦いの砲火―
20
しおりを挟む
「――随分と俺を高く評価するんだな?」
美岬がそう話すと整備士の彼は隣で言い返した。
「だって君は、あの有名なウィクトリア精鋭部隊のパイロットだろ?」
不思議そうに聞き返すとアビスを再び見上げた。その言葉に美岬は隣で呆れるように少し笑うと、アビスに搭乗する意思を伝えた。もうそこには彼自身に迷いはなかった。ただ、自分が何をすればいいのか解っていた。
整備士の彼は、美岬が乗る決意を固めると隣で頷いた。そして、慌ただしく走るとコントロールパネルがあるルームへと急いで向かった。
扉を開けて直ぐにロボットの起動作業に入った。彼は素早く操作をすると、アビスの起動システムボタンを押した。その瞬間、大きな機械音が格納庫の中で響いた。まるで唸り声をあげるように――。
アビスが起動すると彼は搭乗者専用の乗り物に乗るようにマイクで指示をだした。美岬は素早く搭乗者専用の乗り物に乗り、そのまま上の階へと辿り着いた。そして、コックピットの入り口の前に急いで向かうと教えられたコードを入力して、アビスのドアのハッチを開けた。
中からハッチが開くとコックピットの中に急いで乗り込んだ。そして、目の前にあるパイロットの操縦席に座った。美岬は席に座ると、起動画面に向かってパイロット認証の暗証番号を素早く入力した。
コントロールシステムを起動させるとアビスとのリンクをその場で開始させたのだった。美岬はたった僅か数秒でアビスの全起動システムの入力を終えた。そして、システムは正常に作動するといつでも発進出来る状態になった。
全ての作業が終ると美岬は操縦席の後ろに凭れて深呼吸をした。そして、目を瞑ってそこで考え事をしながら不意に呟いた。
「――…より、能力が低い機体でもやり方次第では何とかなる。どんな機体でも俺は必ず使いこなしてみせる!」
美岬はパイロットの操縦席の前で力強く呟いた。整備士は上にあがるとコックピットの入口に辿り着き、ハッチを開けてそこから顔を覗かせた。
「今から機体の安全装置を解除する。外は戦場だ、気を抜くなよ!?」
「ああ……!」
整備士は最後に言った。
「何か伝える事は……?」
美岬は瞳を閉じて静かに答えた。
「ない…――」
整備士は黙ると何も言わずに、コックピットから離れようとした。その時、美岬は再び目を開いて立ち去る整備士に声をかけた。
美岬がそう話すと整備士の彼は隣で言い返した。
「だって君は、あの有名なウィクトリア精鋭部隊のパイロットだろ?」
不思議そうに聞き返すとアビスを再び見上げた。その言葉に美岬は隣で呆れるように少し笑うと、アビスに搭乗する意思を伝えた。もうそこには彼自身に迷いはなかった。ただ、自分が何をすればいいのか解っていた。
整備士の彼は、美岬が乗る決意を固めると隣で頷いた。そして、慌ただしく走るとコントロールパネルがあるルームへと急いで向かった。
扉を開けて直ぐにロボットの起動作業に入った。彼は素早く操作をすると、アビスの起動システムボタンを押した。その瞬間、大きな機械音が格納庫の中で響いた。まるで唸り声をあげるように――。
アビスが起動すると彼は搭乗者専用の乗り物に乗るようにマイクで指示をだした。美岬は素早く搭乗者専用の乗り物に乗り、そのまま上の階へと辿り着いた。そして、コックピットの入り口の前に急いで向かうと教えられたコードを入力して、アビスのドアのハッチを開けた。
中からハッチが開くとコックピットの中に急いで乗り込んだ。そして、目の前にあるパイロットの操縦席に座った。美岬は席に座ると、起動画面に向かってパイロット認証の暗証番号を素早く入力した。
コントロールシステムを起動させるとアビスとのリンクをその場で開始させたのだった。美岬はたった僅か数秒でアビスの全起動システムの入力を終えた。そして、システムは正常に作動するといつでも発進出来る状態になった。
全ての作業が終ると美岬は操縦席の後ろに凭れて深呼吸をした。そして、目を瞑ってそこで考え事をしながら不意に呟いた。
「――…より、能力が低い機体でもやり方次第では何とかなる。どんな機体でも俺は必ず使いこなしてみせる!」
美岬はパイロットの操縦席の前で力強く呟いた。整備士は上にあがるとコックピットの入口に辿り着き、ハッチを開けてそこから顔を覗かせた。
「今から機体の安全装置を解除する。外は戦場だ、気を抜くなよ!?」
「ああ……!」
整備士は最後に言った。
「何か伝える事は……?」
美岬は瞳を閉じて静かに答えた。
「ない…――」
整備士は黙ると何も言わずに、コックピットから離れようとした。その時、美岬は再び目を開いて立ち去る整備士に声をかけた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ハッチョーボリ・シュレディンガーズ
近畿ブロードウェイ
SF
なぜか就寝中、布団の中にさまざまな昆虫が潜り込んでくる友人の話を聞き、
悪ふざけ100%で、お酒を飲みながらふわふわと話を膨らませていった結果。
「布団の上のセミの死骸×シュレディンガー方程式×何か地獄みたいになってる国」
という作品が書きたくなったので、話が思いついたときに更新していきます。
小説家になろう で書いている話ですが、
せっかく アルファポリス のアカウントも作ったのでこっちでも更新します。
https://ncode.syosetu.com/n5143io/
・この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません
・特定の作品を馬鹿にするような意図もありません
チャンス・オブ・ア・ライフタイム 《両性で見た目美女能力者になった俺は憧れのヒーローになる》
月影光貴
SF
宇宙からの隕石により特殊能力などに目覚める生物達
未だに、漫画や特撮のスーパーヒーローに憧れ続けているお喋り躁鬱不眠病弱無職のクソ野郎こと梶原貴音(カジハラ タカネ)(22歳)が、地球に降り注いだ隕石の物質が原因で世界中の一部の生物が異能などに目覚め、自分も典型的なスーパーヒーローの様な能力を手に入れた事と身体の変化(両性化)に気がつき己の夢(ヒーロー)の為に行動するが......
レジェンド・オブ・ダーク 遼州司法局異聞
橋本 直
SF
地球人類が初めて地球外人類と出会った辺境惑星『遼州』の連合国家群『遼州同盟』。
その有力国のひとつ東和共和国に住むごく普通の大学生だった神前誠(しんぜんまこと)。彼は就職先に困り、母親の剣道場の師範代である嵯峨惟基を頼り軍に人型兵器『アサルト・モジュール』のパイロットの幹部候補生という待遇でなんとか入ることができた。
しかし、基礎訓練を終え、士官候補生として配属されたその嵯峨惟基が部隊長を務める部隊『遼州同盟司法局実働部隊』は巨大工場の中に仮住まいをする肩身の狭い状況の部隊だった。
さらに追い打ちをかけるのは個性的な同僚達。
直属の上司はガラは悪いが家柄が良いサイボーグ西園寺かなめと無口でぶっきらぼうな人造人間のカウラ・ベルガーの二人の女性士官。
他にもオタク趣味で意気投合するがどこか食えない女性人造人間の艦長代理アイシャ・クラウゼ、小さな元気っ子野生農業少女ナンバルゲニア・シャムラード、マイペースで人の話を聞かないサイボーグ吉田俊平、声と態度がでかい幼女にしか見えない指揮官クバルカ・ランなど個性の塊のような面々に振り回される誠。
しかも人に振り回されるばかりと思いきや自分に自分でも自覚のない不思議な力、「法術」が眠っていた。
考えがまとまらないまま初めての宇宙空間での演習に出るが、そして時を同じくして同盟の存在を揺るがしかねない同盟加盟国『胡州帝国』の国権軍権拡大を主張する独自行動派によるクーデターが画策されいるという報が届く。
誠は法術師専用アサルト・モジュール『05式乙型』を駆り戦場で何を見ることになるのか?そして彼の昇進はありうるのか?
ジョン船長の日記 【週間連載長編作品】
Grisly
SF
今から少し先の未来。
ジョン船長の航海日記が発見される。
それは古びた本だったが、
宇宙の数々の星々を旅して来た
彼の記録が遺されていた。
人々は夢中で読み、また見ぬ宇宙へと
思いを馳せるのだった。
装甲を纏い戦う者達
ブレイブ
SF
未知の物質が発見され、未知の物質はアルカディアと命名され、アルカディアが適応すれば人に驚異的な力を与える。人をほおっては置けない白黒忌子はただの学生として過ごしていたが、特異災害、アドヴァルサの侵略攻撃の中、忌子の想いによって力が目覚めた
「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.
あおっち
SF
海を埋め尽くすAXISの艦隊。
飽和攻撃が始まる台湾、金門県。
海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。
同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。
苫小牧市を守るシーラス防衛軍。
そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った!
SF大河小説の前章譚、第5部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
アルビオン王国宙軍士官物語(クリフエッジシリーズ合本版)
愛山雄町
SF
ハヤカワ文庫さんのSF好きにお勧め!
■■■
人類が宇宙に進出して約五千年後、地球より数千光年離れた銀河系ペルセウス腕を舞台に、後に“クリフエッジ(崖っぷち)”と呼ばれることになるアルビオン王国軍士官クリフォード・カスバート・コリングウッドの物語。
■■■
宇宙暦4500年代、銀河系ペルセウス腕には四つの政治勢力、「アルビオン王国」、「ゾンファ共和国」、「スヴァローグ帝国」、「自由星系国家連合」が割拠していた。
アルビオン王国は領土的野心の強いゾンファ共和国とスヴァローグ帝国と戦い続けている。
4512年、アルビオン王国に一人の英雄が登場した。
その名はクリフォード・カスバート・コリングウッド。
彼は柔軟な思考と確固たる信念の持ち主で、敵国の野望を打ち砕いていく。
■■■
小説家になろうで「クリフエッジシリーズ」として投稿している作品を合本版として、こちらでも投稿することにしました。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる