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第7章―消えゆく命の残り火―

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 ジョンが装置を探している中、カーターは本部との連絡に全力でとりかかった。だが、なかなか連絡がとれない状況が続いた。

周りがより一層焦る中、カーターは最後の手段でケイニッフィ大佐のIDを勝手に使って、それを通信回線のデータに直接入力した。本来は他人のIDを使うことは良くないことだが、この状況下ではやむを得なかった。

一か八かでやってみると彼のIDで本部との通信回線が開いた。オペレーターのディックは、ケイニッフィからの連絡が入ると真っ先に冴嶋に報告した。

「冴嶋総司令官! ケイニッフィ大佐から連絡が入りました!」

「ついに連絡がとれたか……! 連絡がとれない状況でよくやった! 早く通信回線を開いて彼とコンタクトを開始しろ!」

「了解です、モニター画面の回線に繋ぎます!」

そう言って彼に報告し終えると、モニター画面に繋いだ。司令室の中央にある大きなモニター画面には、画像は悪いがそこにはカーターが映し出されていた。

「こちら、第1空戦部隊のカーター・マーティンです! わけあってケイニッフィ大佐のIDから直接本部に連絡しました! 現在こちらからは、本部との連絡が困難になっています…――!」

 カーターがそう話すと冴嶋は直ぐに尋ねた。

「状況は我々も同じだ。情報ともに現在も混乱が続いている。ケイニッフィ大佐が出られない状況は了解した。他にはないか?」

彼が冷静に尋ねるとカーターは今の状況を詳しく伝えた。

「総司令官、空戦部隊は今、外から侵入を図る敵と交戦中です! 状況はかなり悪いですが、なんとか敵の侵入を防いでいます! ですが、敵機の数が多すぎて我々も苦戦しています! このままでは敵に防衛線を突破されて、再びコロニー内部に侵入される恐れがあります! なので今から我々は外から、プロテクトシールドを再起動させます…――!」

『何っ!?』

  その報告に思わず、声を上げて聞き返した。

「バカを言うな! 外のシールドは敵が襲撃しに来た時に防衛施設共々に破壊されて、今は再起動できる状態ではない!」

「そ、そうです総司令官……! ですが、我々はプロテクトシールドを、再起動させる方法を思いついたんです!」

「何だと…――!?」

 冴嶋は彼のその言葉に表情が変わった。
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