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第2章―戦いの砲火―

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「大佐の癖に尻込みかっ!? ええい、だったらお前ヌキで奴等の戦艦を一網打尽で沈めてやる! お前は部下達が帰ってくるまで、そこで大人しく見てろ!」

「ジョン、お前…――!」

 ケイニッフィの話も聞かずに彼は独断で行動に出た。

「聞け、シルマ部隊の野郎ども! リゲル部隊のリーダーは尻込みしているようだから残り戦艦は俺達が一気に叩きに行くぞ、野郎ども俺について来い! 奴らに空戦部隊の恐ろしさをとくと思い知らせてやれ!」

 彼がそう話すとシルマ部隊はカペラ部隊と共に敵艦隊を畳み掛けに行った。そして、後から違う部隊もカペラ部隊と一斉に続いた。ケイニッフィはその様子を見ると大きく叫んだ。

『やめろぉおおおっ! お前たち戻って来い!』

 敵艦隊が後退して行くとジョンはシルマ部隊と他の部隊を引き連れて、追い撃ちを仕掛ける為に果敢にも突撃した。

「お前らは援護を頼む、俺達カペラ部隊はシルマ部隊と共に残りの7隻とプロキオンを沈める! お前達、空戦部隊の意地と底力をみせてやれ!」

 ジョンは勇ましくその事を言い放ち、後退して行く敵艦隊に向かって怯む事もなく果敢にも突撃しに行った。宇宙空間では、銃撃戦が一層激しくなった。シルマ部隊とカペラ部隊は一気に攻撃を仕掛けた。その光景を見ていた他の部隊は仲間の勇姿に自分達も心を打たれて、再び闘志を燃やすと現場の指揮力はさらに高まった。

 そこにいた誰もが絶望の淵から這い上がろうとしていた。そして、絶望的な状況を希望に変える為、彼らは勝つという信念のみで敵軍と戦い続けたのだった。突撃を仕掛けに来たカペラ部隊と、シルマ部隊の方へと敵艦隊は砲撃を放ち、徐々に後退しながら応戦した。

敵艦から撃たれた無数のキャノンが近くの小惑星に当たり、その場で砕け散り。砕け飛んだ欠片がカペラ部隊とシルマ部隊の方へと襲いかかった。そして、後退して行く前方の左右2隻の間から、突如として第8艦隊プロキオンが姿を現した。

カペラ部隊とシルマ部隊は、砕けた小惑星の欠片の群れに苦戦しつつも。機体を上手く操作して、何とか危機を回避させた。だがしかし、小惑星の砕けた欠片を回避する事に気をとられた彼らは、突然と自分達の前に現れたプロキオンの存在には気づかなかった。

 気づいた時にはすでに遅かった。プロキオンの主砲からは高エネルギーの強力なキャノンが発射された。それは雷の如く凄まじく、一度当たれば跡形もなく消し飛んでしまうほどの驚異的な恐るべき威力だった。

 プロキオンの主砲からは、敵が恐れをなす『炎の雷ヴァリトラ』と呼ばれるキャノンが発射されると、それは一撃の矢の如く。辺りを瞬く間に貫いた。そして、次の瞬間に高エネルギーの光が宇宙の中で爆発しながら全てを呑み込んで消滅させた。
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