上 下
34 / 193
第2章―戦いの砲火―

25

しおりを挟む
「ケイニッフィ大佐どうか気をつけて下さい!」

 基地へと引き返す際に部下の1人が心配そうにそう言って言葉を残した。ケイニッフィは部下にその事を言われると、軽く拳を握って親指を立てると、部下に合図を送ったのだった。

「お前達も十分気をつけて補給に行け!」

 大佐が無線を通してそう言うと、部下の1人が話しかけた。

「たっ、大佐は我々と補給には行かないんですか……!?」

 オドオドした口調で部下の1人が、そのことを尋ねた。

「バカ者、この俺様を誰だと思っている!?  空飛ぶ無敵の鷹の異名を持つこの俺が簡単にやられると思ったか!? ええい! ふざけたことを俺様に聞きやがって……! おい、ハンバーグ! この戦いが終わったら、お前は今日は飯抜きだと思えよっ!? これは大佐命令だ!」

「そっ、そんなぁ~~っ!!」

 ケイニッフィがそのことを命令口調で言うと、ハンバーグと言うあだ名がついている部下の1人が女々しく返事を返した。

「大佐、飯抜きはやめて下さいよ~! 俺の唯一の楽しみはご飯を食べることなんですから、一日でもご飯を食べなかったら死んじゃいますよ! 俺を飢え死にさせる気ですか!?」

 ハンバーグと呼ばれる部下の1人がそのことを彼に言うと、周りにいた部下達が無線機を通して一斉に笑い出した。

「大佐! ハンバーグは日頃から食べ物の事しか考えてない奴ですから、そんな奴を飯ヌキの刑にしたらきっとハンバーグが飢えて死にますよ!」

 仲間はそう言うと戦闘中だと言うことを忘れて爆笑した。

「ひでぇよ、みんな! 俺のことバカにして~。そりゃ、飯の事しか考えてないけどさ、皆で笑うなんてあんまりだよ!」

 ハンバーグは半泣きした感じで訴えた。

「コラ、お前達! ハンバーグをイジルのはそれくらいにして戦闘に集中しろ! でないと戦いに気をとられていたら…――!」

ケイニッフィがその事を言った直後、敵の戦闘機から放たれたビームが大佐の機体を直撃した。

「チッ、俺とした事がしくじったぜ!」

「大佐!?」

部下達は心配すると一斉に声をかけた。心配して狼狽える彼らに対して、ケイニッフィは凛とした口調で答えた。

「俺の事は心配するな、大丈夫だ。お前達は早く補給しに行け、これは大佐の命令だ!」

 心配する部下達は大佐の気丈な振る舞いに胸を打たれると、一同は返事を返した。

「了解です! では、我々は今から基地へと補給に行って参ります。補給を終えたら直ぐに戻って来ますので、どうかそれまで貴方もご無事でいて下さい。大佐に女神イヴのご加護と幸運があらんことを…――!」

一人の部下がそう言い残すと、速やかに基地へと帰還しに行こうとした。すると彼は無線を通して一言伝えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

性転換ウイルス

廣瀬純一
SF
感染すると性転換するウイルスの話

PSY・サティスファクト

韋虹姫 響華
SF
超能力────。 それは人間の中に潜む第六感とも言われている能力の一つとも言えるだろう。 ある時、そんな超能力が犯罪に利用されてしまった事で警察や探偵等の一般の考えでは解決や対処の出来ない怪事件が勃発する。 PSYパッケージと呼ばれた自発的か誘発的か分からない超能力の発現によって行われる超能力犯罪───、それに対抗すべく政府が施策した対超能力捜査一課。 しかし、超能力には同じ超能力による対処をすべく一課配属された超能力者はPSYコードと呼ばれ、怪事件を数多く解決する者達であった。 これは、出生が不明であるPSYコード達と一人の少年が出会った事で動き出す物語である。 ※表紙イラストはAIイラストを使用しています。イラストレーターが決まり次第、変更・編集予定です

レジェンド・オブ・ダーク 遼州司法局異聞

橋本 直
SF
地球人類が初めて地球外人類と出会った辺境惑星『遼州』の連合国家群『遼州同盟』。 その有力国のひとつ東和共和国に住むごく普通の大学生だった神前誠(しんぜんまこと)。彼は就職先に困り、母親の剣道場の師範代である嵯峨惟基を頼り軍に人型兵器『アサルト・モジュール』のパイロットの幹部候補生という待遇でなんとか入ることができた。 しかし、基礎訓練を終え、士官候補生として配属されたその嵯峨惟基が部隊長を務める部隊『遼州同盟司法局実働部隊』は巨大工場の中に仮住まいをする肩身の狭い状況の部隊だった。 さらに追い打ちをかけるのは個性的な同僚達。 直属の上司はガラは悪いが家柄が良いサイボーグ西園寺かなめと無口でぶっきらぼうな人造人間のカウラ・ベルガーの二人の女性士官。 他にもオタク趣味で意気投合するがどこか食えない女性人造人間の艦長代理アイシャ・クラウゼ、小さな元気っ子野生農業少女ナンバルゲニア・シャムラード、マイペースで人の話を聞かないサイボーグ吉田俊平、声と態度がでかい幼女にしか見えない指揮官クバルカ・ランなど個性の塊のような面々に振り回される誠。 しかも人に振り回されるばかりと思いきや自分に自分でも自覚のない不思議な力、「法術」が眠っていた。 考えがまとまらないまま初めての宇宙空間での演習に出るが、そして時を同じくして同盟の存在を揺るがしかねない同盟加盟国『胡州帝国』の国権軍権拡大を主張する独自行動派によるクーデターが画策されいるという報が届く。 誠は法術師専用アサルト・モジュール『05式乙型』を駆り戦場で何を見ることになるのか?そして彼の昇進はありうるのか?

五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。

あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。 夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中) 笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。 え。この人、こんな人だったの(愕然) やだやだ、気持ち悪い。離婚一択! ※全15話。完結保証。 ※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。 今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。 第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』 第二弾『そういうとこだぞ』 第三弾『妻の死で思い知らされました。』 それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。 ※この話は小説家になろうにも投稿しています。 ※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。

ヒューストン家の惨劇とその後の顛末

よもぎ
恋愛
照れ隠しで婚約者を罵倒しまくるクソ野郎が実際結婚までいった、その後のお話。

全ての悩みを解決した先に

夢破れる
SF
「もし59歳の自分が、30年前の自分に人生の答えを教えられるとしたら――」 成功者となった未来の自分が、悩める過去の自分を救うために時を超えて出会う、 新しい形の自分探しストーリー。

処理中です...