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第2章―戦いの砲火―

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「貴様、死にないなら今直ぐ死ね! お前がその『程度』の人間だったっていうことが証明されるだろう!」

冴嶋は厳しい口調で話すと上から男に向かって、その言葉を吐き捨てた。彼は悔しさの余りに涙声をあげて泣いた。

『うぁあああああああああああっっ!!』

本部に泣き声が響く中、そこにいた誰もが呆然と息を呑んだ。冴嶋は司令室の中央に黙って立つとそこで堂々と部下の前で話をした。

「最善を尽くせ、あそこで恐怖心を堪えて戦っている子供達に我々大人が一体、彼らに何が出来るのかを今一度、思い出すんだ!」

 真っ直ぐな揺るぎないその言葉に、部下達は訳もわからずにその場で涙を流した。彼の瞳は曇ることもなく、ただ力強く前だけを見ていた。その眼差しは揺るぎない暁の焔の如く燃えていた。

「無理は言わない。最後まで諦めずに私についてくる者は最後までここに居ろ……! だが、既に生きる事を諦めた者が今この中にいるなら、躊躇わずに自分に向けて引き金を引け。その時は私がお前の最後の終わりを見届けてやる…――!」

 そう言うとそこにいる部下達に向かって力強く何も言わずに敬礼をした。彼のその言葉に、心を動かされた部下の1人は冴嶋の下に駆け寄った。

「冴嶋総司令官、私達は最後まで共に戦い貴方について行きます! 例え苦難な道でも私達は最後までこの逆境を耐えてみせます…――!」

部下の1人が決意を話すと冴嶋の周りに部下達が次々に駆け寄った。そして、彼らは一斉に両手をあげて声を大きく上げた。

『ラケシス総司令官万歳!』

その言葉を皮切りに万歳の声が次々に上がった。冴嶋はその言葉に顔を下に俯かせると、自分の中で込み上がる感情をグッと堪えたのだった。

――そう、誰も気づくことはなかった。

 常に部下達の前では、毅然とした態度をとっていた冴嶋三齊さえじまみつなりという男が、その時だけ一人の人間として、心で打ち震えていた事を誰も気づく事はなかった。
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