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第8章―輝き―アグライア

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「今はこんなクソみたいな世の中で生きるか死ぬかの戦争をワシらはしているけれども、いつかは変わる日が来る! それが、今日か明日かも誰にもわからない。けれど、これだけは言える……! こんな地獄の日々が続いた日を、いつかは戦争が終わった日の事を頃を振り返って、あの時死なずに生きてて良かったと言える日が来るのを信じて戦って生きるんじゃ…――!」

「バッツじぃさん……!」

「生きたくてもいけなかった死者の儚い願いを我々は彼らの変わりに背負って生きるだ。それが生きとし生けるもののせめての務めじゃ。たとえどんなに辛くて苦しくても耐え抜くんじゃ、Kよ!」

 年老いた老人の瞳には、死んで逝った仲間達の姿が目に浮かんだ。死んだ仲間の散った命の儚さを幾度もなく目にした彼からは、その命の重みと使命を誰よりも理解していた。バッツは力強い声で彼の背中を押した。

「行け、お前には翼がある! その翼は、決してもがれる事はない! ワシを信じろ…――!」 

その言葉に胸を打たれるとケイニッフィは、込み上がる涙を手で拭った。

「っかやろぉ……! こんな時にカッコなんかつけやがって。じーさんに言われなくても俺はそうするぜ、此処で死んでたまるよ。ああ、そうさ。翼はもげない。武力で屈してたまるかってんだ。アイツらに空の自由は奪わせない!」

 彼は其処から立ち上がると自分のヘルメットを持った。そして、背中を向けて一言告げた。

 「俺は行く。じぃさん、絶対に死ぬんじゃねーぞ!」

 「ああ、お前もな……!」

 二人はそこで別れるとケイニッフィは迷わずに自分の機体に乗り込んだ。そしてコックピットの座席に座って素早く操作をした。

 エンジンが掛かると機体は唸りを声を上げた。彼はコックピットの前で最後にバッツの姿を見ると、去り際に不意に呟いた。

「アンタに女神さんの幸運と加護を――」

彼は柄でも無い言葉を口にすると、操縦桿を強く握ってインフィニティを空に向け羽ばたかせた。エンジンが吹き上がると、翼は速度を上げて前に加速度すると空に舞い上がった。

「行けインフィニティ、仲間の所に!」

 其処に迷いは無かった。彼は真っ直ぐな瞳で前だけを見た。
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