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第8章―輝き―アグライア

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「バカ野郎、死んだかと思ったじゃねえか……! 脅かすなよなじいさん…――!」

 彼はそう言ってバッツを責めると心配した様子だった。

「ワシを勝手に殺すな、まだ生きているわい! それより此処にいた他の若造達はどうした?」

 バッツの問いかけに、ケイニッフィは急に顔の表情を曇らせた。

「………死んださ、もう生きちゃいない。俺達は運が良かったんだ――」

 そう言って彼は視線を反らすと自分の唇を食いしばっていた。そこから込み上げてくるのは怒りと憎しみと悲しみだった。

 彼がそう答えるとバッツは目の前で焼け死んだ遺体を目にしたのだった。地面に倒れている様子は、もはや人間の型ではなかった。さっきまで、生きていたとは思えないほどの悲惨な焼け死に方だった。その惨たらしい姿に言葉を失って、ただ遺体を見つめた。

「――見ろ、これが戦争の姿じゃ。戦争の前では人の命は一瞬にして吹き飛ぶ。まだ若かったのに戦争は残酷じゃのう……」

 バッツはそう言って焼け死んだ遺体に哀れみの言葉をかけた。老人のその言葉は重く、彼の心に刻まれた。焼け死んだ遺体は原型すらとどめない程の灰になった姿になった。

もう誰だかわからない。そして、辺りには小さな炎が燃えていたのだった。ケイニッフィは、負傷して動けないでいるバッツを他の場所に移そうとした。すると彼はその手を払った。

「何をぐすぐすしている! さあ、早くお前さんは機体に乗って飛び立つんだ!」

「じいさん……!?」

「ここはもう安全じゃない、次にミサイルが飛んできたら助からないぞ!」

「でっ、でもじいさんが……!」

 ケイニッフィはバッツに怒鳴られると、その場から動けずにいた。

「このたわけ者が、お前さんに心配されなくてもワシは大丈夫じゃ! そんなことよりもお前さんは早く、インフィニティに乗ってここから今すぐ飛び立つのだ!」

 そう言ってバッツは彼の機体を指差した。その気迫の籠もった表情に、ケイニッフィは彼の瞳を見つめた。

「ワシは地べたを這ってでもトコトン生き抜いてやるわい! そしてお前さんも必ず生きるんだ! 戦争で死んで逝った仲間達の死を無駄にするな、そしてこの無駄な戦いを早く終わらせるのじゃっ!!」

「じいさん…ーー!」

 彼のその言葉に内に秘めた想いが揺れた。

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